所得税
多くの国で税制の中で基幹的な役割を果たすもの
所得を担税力の尺度として課税するものであり、高所得者ほど税負担率が高くなる累進的な構造
担税力を測る際の経済単位として個人とするか世帯 (夫婦) とするかは所得税制の設計段階で大きなテーマ
世帯単位での課税の場合、世帯人員の所得を合算して非分割と分割に分けられるが、一般的には世帯人員の規模を考慮する合算分割 (2 分 2 乗や N 分 N 乗) が採用される
個人単位の課税においても、所得が同じでも扶養家族の人数や経済力を減少させる事情を考慮するために、所得から所得控除を差し引いた課税標準を利用する
日本における所得税
居住者や法人に課せられる国税
創設は 1887 年 (明治 20 年)
軍事費に充てるためというのが創設の動機
広く税負担の公平を求めることも目標
創設当初の所得税は法人には課税されず個人のみが課税対象で、世帯単位課税
年間所得が 300 円以上ある者が納税者で、富裕層に対する課税
所得税法 (昭和四十年法律第三十三号) によって規定される
税収全体の約3割 (2022 年度一般会計予算では 31 %) を個人所得に対する課税が占める
シャウプ勧告以降、日本の所得税は、一貫して個人単位での課税が行われており、世帯人員の違いによる担税力の調整は、所得控除を設けることで実施
居住者の所得税の計算方法 (所得税法 (昭和四十年法律第三十三号) 21 条より)
以下の流れで計算する
1. 所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得に区分し、これらの所得ごとに所得の金額を計算
2. 1 の所得の金額を基礎として、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算
3. 所得控除の規定により、前の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から基礎控除その他の控除をして課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を計算
4. 課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を基礎として、所得税の額を計算
5. 配当控除、分配時調整外国税相当額控除及び外国税額控除を受ける場合には、4 の所得税の額に相当する金額からその控除をした後の金額をもつて所得税の額とする
年の中途で非居住者が居住者となった場合や、確定申告書の提出がない場合の税額の特例が存在する
参考文献
所得税の人的控除に関する研究
関連
人的控除