波状言論
ised@glocomディレクターの東浩紀が責任編集をつとめる、2004年1月から2005年1月まで配信される(された)期間限定のメールマガジン。ised@glocomと通ずる内容が多々あり、以下に参照する。 ■ 著作権における経済と文化のすり替えという問題
isedglocom:第1回倫理研の講演『情報社会の倫理と民主主義の精神』(1) 鈴木謙介:しかしこれらは、「著作者の権利を保護する」といいながら、著作財産権=著作物でお金を稼ぐ権利を保護せんとするものであり、著作権という言葉が含意する「文化」的領域の問題として捉えることはむしろ適切でない――文化問題ではなく経済問題である――という印象すら受けます。 鈴木謙介:(著作権をめぐる昨今の問題は、)文化の問題であると掲げることで反論できまい、という目論見のもとに様々な著作権をめぐる政治が進行しているように見える。単なる経済合理性で処理すべき問題がすり替えられてしまっているのではないか。(中略)反対にユーザ側はユーザ側で、文化を守るんだ、と言っているけれども、裏返せばCDが高い!音質が悪い!と叫んでいるだけに見えてしまう。つまり、「それってお前の買うCDが高いだけだろう」ということですね。これはこれで問題のすり替えが起きてしまっている。一方で「文化を政治的に巧みに利用する政治の側」と、「文化の話をしているつもりが消費者問題に落とし込まれているユーザ側」という、著作権をめぐるまったく異なるコミュニケーションというのがいまの状況をもたらしているんじゃないかと思うんです。