具体と抽象
別名:具象と抽象
具体と抽象の違い
table:具体と抽象
具体 抽象
人間のスケールに近づく 人間のスケールから遠のく
目に見えるようになる 目に見えなくなる
触れられる 触れられなくなる
記号
言葉
数
非共通項目による個別化 共通項目による集合化
解釈の幅が狭い 解釈の幅が広い
抽象は質の評価が緩く、具体化は厳しい非対称性がある。
捨象は具象化は単に足すのではなく、コンテキストに適合した情報を加えなければならないという点でマッチング問題
具体と抽象の誤用
抽象と具体は誤解しやすい。
抽象的とは、分かりにくいこと。
具体的とは、分かりやすいこと。
分かりやすさと抽象具体の混同
難しい言葉に出会ったときも、本当に抽象的なのか具体的なのかではなく、間接的に分かりにくいことを湾曲して伝える際に「抽象的」だという使い方がされる場合がある。同じように、わかりやすさの湾曲表現として「具体的だ」という使い方がされる場合がある。
例
「抽象的なので具体的にいってもらえますか?」
「難しいのでわかりやすくして欲しい」の言い換えになっている
例
○ 育成=>目標管理=>今回の目標管理
× 目標管理=>目標設定 (個別化、または階層関係との混同。部と課の関係と混同)
他の誤用
抽象化は非日常的な難しい言葉にすることだと考えがち。
具体化は細かい言葉にすることだと考えがち。
抽象化と具体化を学ぶことなく引き出す方法
テーマを用いず、質問を通してテーマをあぶり出す時
1.並列を出す
2.何に含まれているか
3.何が含まれているか
例 京都
Q1.京都の隣は何ですか?
A1.滋賀、大阪、兵庫です
Q2.それらをまとめると何になりますか?
A2.関西になりそうです。
※関西の全てをだすことなく抽象化している。関西の都道府県(2府4県や2府7県)を聞いているわけではない。
Q3.京都には何がありますか?
A3.京都が京都府だとすると、京都市、舞鶴市、亀岡市などがあります。
※A1では府が省略されているが、都道府県というレイヤーで考えていたことが分かる。
言い換え 問いかけを用いた意味ネットワークの空間移動
空間を用いた問い掛け
1.隣には何がありますか
2.まとめると何になりますか
3.何が入っていますか・何が取り出せますか
集合を用いた問い掛け1
1.並列要素は何ですか
2.全体要素は何ですか
3.部分要素は何ですか
集合を用いた問い掛け2
1.隣には何がありますか
2.隣と一緒に、何に含まれますか(または「何に含まれますか? 隣も一緒に含まれますか?」)
3.何が含まれていますか
種類を用いた問い掛け
1.同じ種類に何がありますか
2.(上記に対して)これらは何という種類になりますか
3.どのような種類に分けられますか
メタファーを用いた問い掛け
1.親戚はなんでしょう
2.親戚を含めて何と呼ばれるでしょう
3.家族一人一人を読み上げると何と呼ばれるでしょう
具体と抽象の例(←具体・抽象→)
・アマガエル/カエル/両生類
・家/建物/資産
・マウス/周辺機器/電気製品
・この電球/電球/照明
・短くなったこの鉛筆/鉛筆/文房具
誤った具体と抽象の関係
・戦略と戦術
・目的と手段
・上位と下位
・紙と本
・レンズとメガネ
二重の抽象
誤用
参考
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具体的な知識から抽象的な知識を構築する
発達心理学者のジャン・ピアジェ(Jean Piaget)のもっとも広く受け入れられている発見の1つは、学習の自然な進み方は、より具体的な情報からはじまって、徐々に抽象的な知識を身につけることができるようになるというものである。ピアジェの影響は1960〜1970年代に広がり、ブロックや色の付いた棒などの"操作可能なもの(manipulatives)"が算数の授業で広く用いられた。 抽象的なものを具体的にするプロセスで、こうしたシステムは生徒が抽象的な概念的知識を明確化するための足場かけとなる。すなわち、生徒の明確化した内容が単なる言語化ではなく可視化・図式化でき、多くの場合視覚的・空間的理解が先行し、それが言語的理解の足場かけになるのである。
出典