前概念から真の概念へ
ヴィゴツキーによると青年期に起きる前概念から真の概念への移行は、以前に一般化された諸対象の一般化によって行われる。
前概念
例
小学生の算数
真の概念
例
代数
小学校時代の算数は対象からの数の抽象・一般化にすぎず、これはまだ真の概念とは言い切れないのである。これに対して、代数は対象から抽象した数からの抽象であり、その抽象に基づく数と数の任意の関係の一般化である。つまり、代数は算数の抽象・一般化であれ、二重の抽象・一般化なのである。ヴィゴーツキーは、このような代数の概念のことを真の概念と呼んでいるのである。
ヴィゴーツキーによれば、話し言葉に対する書き言葉の関係も、ちょうど算数に対する代数と同じ関係にある。書き言葉では、無自覚に用いられてきた話し言葉から言葉の体系的構造(文法)を抽象し、認識し、随意的な活用によって初めて筋道だった文章が可能になるからである。
真の概念に媒介された概念的思考は、その体系性ゆえに心理過程そのものの自覚性と随意性をもたらすことから、まさに、思春期の少年は自分自身の内面過程を自覚し、反省が可能になり、自己意識を分化されていく。自己意識の分化は、はるかに深く広い他者理解をもたらし、この社会的発達がさらに人格の形成を促していくのである。
幼児は話せるのに、作文となると書けなくなってしまう。
----
学校教育を受けず非識字者となった者は、反省ができなかったり、他者理解の程度が低かったりするのだろうか。