プロダクト(製品)
消費者の問題を解決する便益の束
プロダクトとは、取引可能な部分を含めた便利の集合体
医療用機器はみんな白い
ニーズとウォンツを満足させるため,注目・取得・使用・消費を目的として市場に提供されるもの
市場において顧客となりうる個人や団体に価値を提供するもの
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製品とは、収入を生み出す能力を備えた何か
製品の構造
製品の分類
ただし、サービスとモノの境界はそれほど明確な物ではない。たとえば顧客はモノを買っても、それを生産する工場は所有しない。工場をサービスとして購入しているとも見ることができる。
物理的な特性による分類
耐久性が高く、一年以上使われる製品
例:自動車、PC、机、椅子
耐久性が一年以下の製品
例:食品、洗剤、文房具
物質ではなく、機能そのものを提供するプロダクト
例:タクシーによる移動、ホテルの宿泊、ATMから現金の引き出し、専門家への相談
使用目的による分類
個人が消費する製品で、機能だけでなく情緒的な感性が求められる場合がある
例:食品、衣服、本、映画、ゲーム
製品を生産するために用いられる製品で、関心の中心は性能や機能
例:材料、部品、建物、工場の加工機械といった設備、ERPシステム、保守サービス
購買行動による分類
最寄りの店で購入されるような製品
例:雑誌、弁当やおにぎり、惣菜、日用消耗品
いくつかの候補のなかから十分に比較検討した後に購入する製品
例:テレビや洗濯機などの家電製品
特別な知識や趣味性が求められる製品
例:高級オーディオ、メンテナンス契約が不可欠な超高級車
顧客が自らは探していない製品
例:生命保険や墓石
プロダクトの良し悪し
品質特性
ヒダルゴは、生命体をはじめとする物質には計算能力があり、その結果を非周期的結晶という固体に保存して複雑性を増す──エントロピーの増大を防ぐ──というメカニズムと同じメカニズムによって、経済やその成長が説明可能であるとする。その場合計算能力を持つのが端的には人間(の脳)であり、保存側を担うのは、人間が生み出す製品に代表される固体である。もちろん人間一人の計算能力には限界があるから、個々の人間の脳は企業や社会、国といった人のネットワークによって強化・補完される。
他方、ヒダルゴはこうした人のネットワークの計算能力に加えて、物質としての製品はそのもたらす効用やそれを作り出したノウハウを蓄積した想像力の結晶であり、想像力により秩序づけられた原子配列であることを強調する。情報はDNAや言語のようなコード化された配列を指し、そこに単にランダムではないパターンがあることによって情報は豊かになるのだが、それがノウハウと相まって物質としての製品(physicality of products)に転化することが重要であることを強調する。なお、物質としての製品という場合には、映像のようなデジタル製品も含まれている。
人類とそれが作り出したモノは地球上において圧倒的な物質的量を誇っている。人類の身体の物質的な量は牛を除く他のすべてのほ乳類の物質的な量よりも多い上に、機械、道路、建物など人間が作り出した構築物の物質的な量は、ほどなく地球上の他のすべての物の物質的な量を追い抜くとされている[Tegmark, 2017]。このようなかたちをとったモノが膨大に作り出されることによって、言語とは異なる形で、効用やノウハウを言語よりも直接的な方法かつ文脈依存的な形で伝達・蓄積することができ、それらが新結合を通じて新たな知識の形成を促し、その意味で人間の計算能力をさらに拡張する役割を果たしているのだ、というのがヒダルゴの主張である。
制約xプロダクトを支える概念知識x形