読み上げる効果
かきかけ
脳は様々な処理ができる機能の集合体である。このひとつひとつの機能は他の機能と連携的だったり、独立的だったりする。
何かを考えるとき独立的な機能が複数同時に働いている。これを重複波モデルという。ところが意識に上るのは意識の閾値を超えたものだけになる。
パズルの実験を被験者にしてもらっているとき面白いことが起こる。言葉では「難しくて解き方が分からない」と話しながら、指先では答えに近づいていることがある。大人でも起きるが子どもでは頻発する。この振る舞いと言葉の不一致をジェスチャー・スピーチ・ミスマッチという。 この場合、意識上ではパズルの難しさに途方に暮れているものの、意識にはのぼらないが併走している認知機能がパズルを解き続けおり手を動かしているという現象だ。
また脳の認知機能は外界である世界を計算機(外部脳)のように使う習性がある。
難しいパズルを手にしたときパズルを回転させたりする。頭の中で回転させればよいものをなぜ実際に動かすのだろう。
頭の中で想像したイメージを回転させることをメンタルローテーションという。このメンタルローテーションは非常に認知的負担が大きく、単純な形でも一秒ほどかかる。ところが手でパズルを回転させれば0.1秒で判断できる。またパズルが解けそうかどうかを想像するのも非常に大変だ。うまくいくように手でいじるほうが圧倒的に早いし楽というわけだ。
音楽の感想を書くとしよう。頭の中で音楽を思い出して感想を書くよりも実際に聞きながら書いた方が簡単だ。思い出すという行為と同時に感情を反応させ、さらに言語機能を用いて作文するのは非常に重たい仕事だ。聞きながら書けば集中できる。
このように脳内で回転させるのでなく外界で実際に回転させ、見て判断すると行ったことを自然にしている。
前置きが長くなったが、読み上げるとは併走する独立的な認知機能を連携させやすくし、また世界を計算機のように使ったりする。
読み上げに関して、もうひとつ重要なのは内言と外言だ。
内言とは頭の中で話される言葉で思考の言葉といってもいいかもしれない。特徴は多くが省略されており、述語中心で、構文は整っていないが、本人にとっての意味が中心にある言葉だ。
頭の中の言葉が音声として発せられる際、文章の形が大きく変わる。音声や書かれた言葉を外言という。構文は厳密になり、主語と述語の関係がハッキリする。そのため省略していたところを補ったりして、他人が理解できる形になる。マンガでもふわふわした形のフキダシがある。心の内を文章で表現しているが嘘である。
このように読み上げは脳の認知機能の面や、内言と外言という言語機能の特性からも、ある事実を表現するという行為を効果的に後押しする。
もっと効果を出したいに尽きる。それぞれのテクニックがどのような仕組みや構造によって効果をもたらすのかを明らかにし、再構成し、さらなる効果を生み出せる方法にすることが目的だ。
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精緻化
書く行為
手続き記憶
文字を見る行為
字のパターン認知
TOC
1.限られた時間内で教えられる本人が納得する方法だから
2.本人が言ったことは納得され実行されやすいというコンサルに都合がいいから
3.話し言葉と書き言葉を行き来することで内言と外言チェックになるから