労働の思想史
古代ヨーロッパでは、労働は卑しいものだった
中世に入り、修道院の活動の中で、労働が神に近づく手段として評価されるようになった
働くことにポジティブな意味が付与された
一方で、禁欲的な活動に富が蓄積されていく
→腐敗→あらたなコミュニティが生まれる、というサイクルに
近代に入り、宗教、経済、哲学の3つの分野での働きにより、労働にポジティブなものにかわっていく
宗教改革、宗教的権威の解体
マルティン・ルター: 宗教的な職業だけなく、世俗的な職業も、神に与えられた天職である(職業に貴賤なし)
ただし、職業選択の自由は無い
カルヴァン:
予定説で人間が救われるかどうかは決まっている
信徒は内面的に孤独になった(何をしても無駄、神と私しかいない)
自分は救われているという確証が欲しい
「救われている私は、悪魔に惑わされずに禁欲的に生活している」と思う事で救われたい
徐々に、宗教的な意義が失われていき、働くこと自体が肯定化されていく
経済
重商主義と重農主義下でアダム・スミスが登場
国家には市場が必要で、市場には価値の交換や分業が必要だ
労働によって生まれた価値を市場で交換することが重要に
重商主義とは反対の主張
一方で、画一的な労働は人間性を殺すという論も。
ミシェル・フーコー
哲学
社会契約説
トマス・ホッブズ: 労働は、人間が欲望を満たすためにある。人間は欲望を満たすために生きている。
ジョン・ロック: 所有権を定義付けた
人間は自分の身体を所有している
身体を動かして事前に働きかけることにより、所有権が発生する
カント
労働は人格形成に重要と説いた
ヘーゲル
労働によって人間は人間になる
道具を使って自然に働きかけて果実を得る
欲望の延期ができる
主と奴の逆転現象がおきる
労働する方が人間として成長するから(主奴論)
マルクスとエンゲルス思想に影響を与える
マルクスとエンゲルス
資本家によって、本来の労働から労働者は阻害されている
空想社会主義
革命という手段に頼らず、産業者に価値を見出す思想
怠惰を賞賛する思想
ポール・ラファルグ 怠ける権利
労働に価値を見出す人は、資本家に搾取されている、というスタンス
ニーチェ
理性をもって自然をコントロールしようというのは人間の欺瞞である
現代
家事労働などのシャドーワークや、感情労働といった概念が生まれた
「経営者はいつも笑顔で」みたいなことも、資本主義の怖さでもある。
本来の感情を出してはいけない