情報の出力方法が、筋肉(骨格)の動きしかない
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養老はさらに、「言語は脳の、それもおそらく連合野の機能の、運動系による表出である」と話を進める。著者は「情報のインプットには、視覚、聴覚、触覚などさまざまな経路があるが、アウトプットの方は筋肉の動きのみ」であることを指摘する。運動系とは、この筋肉の動きのことだ。運動とは、何かしらの「目的」に向けて筋肉を動かすことである。人の脳は自らの脳のはたらきを知る再帰的な特質をもつ。養老は、発想を逆転させ、むしろあらゆる「目的論」とは、脳が運動系から「目的」だけを取り出しているのではないかと説く。