ランクにこだわる村上春樹
村上春樹、やたらランクにこだわる。「中の上」だの「一番上」だの「十人並み」だの。 ──今回の主人公は三十六歳。これまでも村上さんの小説は、三十代の主人公が多いのですが、多崎つくるさんは自由が丘の親からもらったマンションに住んでいたり、だんだんこう、三十代の主人公の目が、年相応よりも肥えてきてる感じがするんですよね。川上未映子,村上春樹. みみずくは黄昏に飛びたつ川上未映子 訊く/村上春樹 語る(新潮文庫) (Japanese Edition) (p.275). Kindle 版. 偶然というべきか、 五人はみんな大都市郊外 「中の上」クラスの家庭の子供たちだった。 両親はいわゆる団塊の世代で、父親は専門職に就いているか、 あるいは一流企業に勤めていた。 子供の教育には出費を惜しまない。家庭も少なくとも表面的には平穏で、離婚した両親はいなかったし、母親はおおむね家にいた。 学校はいわゆる受験校だったから、 成績のレベルも総じて高い。 生活環境についていえば、 彼ら五人の間には相違点よりは共通点の方がずっと多かった。村上春樹. 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 8ページ ちなみにここでの「中の上」は「名古屋大学経済学部教授」「名古屋市内産婦人科医院経営」「名古屋市内税理士事務所」「東京にも土地を持つ名古屋の不動産会社の経営者」である。
クロは容貌についていえば、十人並みよりはいくらか上というところだ。でも表情が生き生きとして、愛嬌があった。大柄で全体にふっくらとして、十六歳のときから既にしっかり胸が大きかった。村上春樹. 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (Japanese Edition) (p.12). Kindle 版. 女性の容貌の描写が「十人並みよりいくらか上」......。
ぼくはごく普通の家庭に生まれて育った。 あまりにも普通すぎて、なにから話し始めればいいのかよくわからないくらいだ。 父親は地方の国立大学の理学部を出て、大手食品会社の研究所に勤めていた。 趣味はゴルフ。村上春樹. スプートニクの恋人 (Japanese Edition) Kindle 版. 72ページ これが村上春樹の「ごく普通」。
僕がかよっていたのは、主として上流家庭の、あるいはただ単に金持ちの子どもたちをあつめた私立中学だった。よほどの失敗をしないかぎり、そのまま高等部まで進むことができる。みんな歯並びがよく、清潔な服を着て、話が退屈だった。村上春樹. 海辺のカフカ(上)(新潮文庫) (Japanese Edition) (p.15). Kindle 版.