罪を憎んで人を憎まず
否定されるべきなのは、根拠のない憎悪です。間違ったことをしているから、俺はあいつのことを憎むと言う場合、その行為そのものを憎悪することは、人間として極めて正しい判断だと思うし、それが近代だと思うし、憎悪そのものが悪ではありません。 / 子供向けの漫画ですが、私はアンパンマンは本当に凄いと思うんです。 / アンパンマンは、「バイキンマンは悪い奴だ」とは言いません。アンパンマンが言っているのは、「あ! バイキンマン! いたずらしたな! 許さないぞ!」です。あくまでも叱責の対象は、いたずらという「行為」なのです。出自でもなければ人格でもありません。保守の本分 noiehoiep.46 こんなにも念頭に貼りついているにもかかわらず、こんなにも採用されないスローガンも珍しいと思います。罪だけを許せないとして、それと切り離して人を許すという感覚が習得できていないのです。でもね、できますか。そんなことできますか。自転車が盗まれて、盗む行為のことを憎んで、盗んだやつのことを憎まないなんていう器用な分別作業ができますか。それをできる人がいたら、その匠の方法を伝授してほしいです。もし身内が医療ミスの被害に遭ったとして、医療ミスという事象だけを追及して、医療ミスを犯した人に無関心でいることなんてできますかね。 / つまり、この崇高すぎるスローガンは、悟りの境地に達した人が、まだ上のもっと上の悟りに達したいという時に掲げるスローガンのような気がするのです。笑い飯 哲夫. ザ煩悩 (pp.77-78). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.