褐色細胞腫・パラガングリオーマ
高血圧,高血糖,代謝亢進,頭痛,発汗過多
甲状腺髄様癌や副甲状腺腺腫
【問診】
頭痛と動悸
半年前ごろから時々排便時や運動中に突然,頭痛と動悸(→カテコラミン過剰症状 ,前胸部痛,手指の蒼白(→交感神経症状)
15分程度安静にしていると症状は自然に治まるが少し脱力感を感じるという.
発作時は200/100mmHgを超えるが治まった後は110/60mmHg程度に下がるという.=変動の激しい重症高血圧(→褐色細胞腫による高血圧の特徴
喫煙歴はなく,飲酒は機会飲酒.
【身体所見】
身長175cm,体重60kg.と肥満なし、低体重(→Cushing症候群は否定的
脈拍96/分,整.血圧150/92mmHg.心拍数120/分,血圧240/124mmHg(→重症高血圧 主に血管収縮による
身体所見に異常を認めない.(→Cushing症候群の可能性は少ない
四肢の冷感を認める.
項部硬直やjolt accentuationを認めない.
【検査】
尿所見:蛋白(±),糖(-),ケトン体(-),潜血(±).血液生化学所見:尿素窒素20mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL
空腹時血糖118mg/dL=空腹時血糖の軽度上昇(→耐糖能異常を合併する二次性高血圧の可能性
HbA1c 5.9%(基準4.6〜6.2)
Na 141mEq/L,K 4.2mEq/L,Cl 104mEq/L.(→低K性アルカローシスをきたす原発性アルドステロン症の可能性は少ない)
TSH 3.2μU/mL(→甲状腺機能亢進症は否定的
血漿レニン活性2.0ng/mL/時間,アルドステロン6ng/dL(→アルドステロン症は否定的
血中カテコールアミン高値,尿中VMA高値(→褐色細胞腫
尿中カテコラミン定量
胸部X線写真と安静時の心電図とに異常を認めない.
腹部超音波
腹部CT
MRIのT2強調像で高信号
副腎シンチグラフィ(123I-MIBGシンチグラフィ)
※画像診断(イオン性造影剤の使用を控えること)禁忌
【治療】
α遮断薬 カテコールアミンのα作用を直接阻害 血管拡張,降圧 フェントラミンの経静脈投与
Ca拮抗薬 血管収縮により血圧が上昇しているので,血管弛緩作用 薬物療法(β遮断薬の単独処方は禁忌)
手術時の注意(大量の輸液や,高血圧クリーゼに対する備えが必要)
家族性の原因遺伝子として多発性内分泌腫瘍症(MEN)2型にみられるRET遺伝子の活性化変異の他に,VHL遺伝子,コハク酸脱水素酵素(SDHB,SDHD)遺伝子の変異でも生じることが明らかにされた.