薬疹
発熱と咽頭痛のため,市販薬を内服した
【症状】
①発熱,咽頭痛(→ウイルス感染症を疑う)
②市販の感冒薬を内服(→薬疹を疑う.感冒薬による薬疹は比較的多く注意が必要)
③軽度の痛みを伴う皮疹(→これだけでは絞ることはできず,臨床写真から考える)
〔概念〕
本症は,抗菌薬使用時に認められることが多く,発熱・皮疹・瘙痒・好酸球↑,IgE↑,肝機能障害を呈し,リンパ球幼若化試験でときに陽性になる.
〔臨床像〕
●薬疹に特異的な皮疹はない.
●薬剤の血中濃度とは関係なく,ごく少量でも惹起される.
〔症状〕
Ⅰ型アレルギー:じんま疹,アナフィラキシー,気管支喘息,アレルギー性鼻炎 Ⅲ型アレルギー:過敏性貧血,血清病型反応,薬剤誘発ループス,膜性腎症,溶血性貧血 不明なもの:紅斑型皮疹,固定薬疹,湿疹,アナフィラキシー様反応,肝障害,間質性腎炎,骨髄機能障害 https://scrapbox.io/files/681ab7bda82745511faa32d1.jpg
A,B:Aの臨床像では口唇周囲に小水疱がみられ単純疱疹が疑われるが,よく見ると浸潤性紅斑の中にあり,この水疱は反応が強いがために生じたことが考えられる.その証拠に,Bは浸潤性紅斑の中心部に強い反応がみられ,水疱が生じそうな臨床像である.今後,Stevens-Johnson症候群や→中毒性表皮壊死症 TENへの移行が十分に考えられる皮疹である. 〔診断〕
●問診が最も重要.薬物アレルギーの機序は,クームスⅠ〜Ⅳ型のいずれにも関係しうるので,各種アレルギー検査で同定できる.
●最も信頼性のある検査法は薬の再投与であるが,アナフィラキシーを伴うこともあり危険である.その場合,貼付試験は有用である.