中枢性尿崩症
ADH:下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン。腎の集合管に作用し水分の再吸収を促進→尿が濃縮。血漿浸透圧の上昇(脱水症),循環血液量の減少(肝硬変,腎性尿崩症,出血),薬物やストレスなどで上昇する.
【問診】
睡眠(夜間頻尿)(→心因性多飲に伴う多尿は否定的)
(陰性所見)
既往歴なし
【身体所見】
(陰性所見)
身長172cm.体温36.7℃.脈拍80/分,整.血圧120/76mmHg.心音と呼吸音とに異常を認めない.
【検査】
尿量4,500mL/日.
口渇中枢の障害を合併した場合:口渇感が減弱ないし消失→適切な水分摂取ができない→著しい高Na血症 尿浸透圧:デスモプレシン〈DDAVP〉5μg点鼻投与前160mOsm/L,投与後460mOsm/L.
5%高張食塩水負荷でバゾプレシン分泌反応低下(→中枢性尿崩症 浸透圧刺激に対するバソプレシン分泌反応が障害されている.
頭部単純MRIのT1強調矢状断像で下垂体後葉の信号消失
(陰性所見)
尿所見:蛋白(-).
血液所見:赤血球520万,Hb 14.5g/dL,Ht 48%,血小板25万.血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL,アルブミン5.2g/dL,尿素窒素24.0mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL,尿酸7.5mg/dL,総コレステロール215mg/dL,AST 32IU/L,ALT 28IU/L,LD 220IU/L(基準176~353),Cl 105mEq/L,P 4.0mg/dL.
Na 147mEq/L(→適正に水分補給が行われている=せいぜい正常上限程度
尿所見:糖(-)、血糖85mg/dL,HbA1c 5.6%(基準4.6~6.2)(→糖尿病に伴う多尿の否定
Ca 9.2mg/dL、K 4.2mEq/L(→電解質異常に伴う多尿の否定
【鑑別疾患】
仮面尿崩症:中枢性の尿崩症+下垂体前葉機能低下→ACTHの低下→グルココルチコイドが低下→水利尿の低下→尿量減少
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