MR
<20250527 三枝先生>
僧帽弁の接合が不完全となり収縮期に左室から左房への
【成因】
一次性MR:僧帽弁、腱索、乳頭筋の器質的異常による
腱索の変性による断裂、延長による:fibroelastic deficiency(FED)
弁尖の粘液腫様変性で肥厚、拡大、余剰→弁腹が収縮期に左房側に膨らむ(billowing)→複数の逸脱(Barlow's disease)
僧帽弁逸脱症
特発性
外傷
リウマチ性
弁尖や弁輪の硬化・石灰化
IE
心筋梗塞における乳頭筋断裂
先天性
僧帽弁裂隙(クレフト)
パラシュート僧帽弁
自己免疫疾患
薬剤性
二次性MR:左房、左室の拡大、機能不全。多い。心臓が大きくなっている人=心不全→心臓が大きくなる
左心室肥大→乳頭筋の心尖部方向への偏移→僧帽弁が心尖部方向に引っ張られる→接合が浅くなる(テザリング)
心房細動→左心房拡大→僧帽弁後尖の左心房側への偏移→接合が浅くなる(心房性機能性MR)
逆流が多い重症MRは、無症候でも予後が不良(10年で90%異常が外科的治療を受けるか死亡している)
【病態】
慢性MRの場合:
持続的な左心房への容量負荷が特徴、左心房拡大により左房圧の上昇は緩和
心拍出量を保持するために左心室が拡大して代償する
左心房は低圧であり左心室の後負荷は低く、左心室のEFは重症度が進行しても保持される傾向
左室拡大が十分にできないと、、→心拍出量低下→左室拡張末期圧上昇→左心房圧上昇→肺うっ血
急性:IE、外傷性腱索断裂、急性心筋梗塞による乳頭断裂など
急激な左心房容量負荷→左室心拍出量の急激な低下→急性肺水腫、低心拍出(ショック)(代償できず急性の呼吸循環不全を生じる)
【身体所見】
聴診
心尖部を最強点とする全収縮期雑音
Ⅲ音
(僧帽弁逸脱症の場合)収縮中期クリック(高張が音。折れ返っちゃう)
拡張中期ランブル(相対的MS、Carey Coombs雑音) ※左心房への逆流の分だけ、僧帽弁を通って左心室に入る血流量は増える
※僧帽弁逆流が後方に偏移している場合、最強点が心尖部より背側にある
【検査】
胸部X線:
左心房肥大→左第3弓突出
左心室肥大→左第4弓突出
心電図:心房に負荷がかかる→V1でP波が下向き成分が出てくる=左心房に負荷がかかっている。左心房大きくなってくる 興奮時間が長くなってくる 左心房は背中側にあるから つまり離れていく側 <P波陰性成分(二相性P波)>
ⅡのP波の幅が広くなる 左心房の分だけ <P波幅延長>
心エコー★(経胸壁、経食道)
MRの成因、逆流部位、重症度評価、手術治療方針の決定に有効
二次性MRの場合:左室期の王低下の成因、程度を評価
安静時には逆流が軽度であることが多い。負荷心エコー(エルゴメーター、ハンドグリップなど)で労作時の逆流増加の有無を評価
心臓カテーテル検査
右心カテーテル検査:肺動脈楔入圧(=左房圧)波形で、重症僧帽弁逆流を表す巨大v波
左室造影:左心房の造影度合いから重症度評価する(Sellers分類)
その他
二次性MRの場合:造影MRI(遅延造影で左心障害心筋の評価)、心筋血流シンチ(虚血心筋評価)など
【治療】
<慢性MRの場合>
1.薬物療法:前後負荷調整、逆流が低減することがある。※HFrEF(左室駆出率が低下している心不全)であればβ遮断薬、ARNI、SGLT-2阻害薬、を積極的に導入
2.(冠動脈狭窄あれば)冠動脈結構再建
3.心臓同期治療CRT
4.その他(心臓リハビリなど)
外科的
カテーテル