ドリーム・マシン
#既読
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中村保夫訳、東京創元社、創元SF文庫
原題は A Dream of Wessex
たぶん版元品切。文庫版。
入手難度はやや高め。
三四歳。脱ジャンルSFのきざしを示す佳作
あらすじ
ジャンルSF作家からスリップストリーム作家への脱皮過程にあったプリーストが、多重現実テーマをはじめて本格的に取り入れた作品。
被験者の集合的無意識のようなものを利用して未来世界を生成するリドバス投射器。この装置によって生成された仮想の未来が、各々の被験者たちが過去に残してきたわだかまりによって危機に陥るというのが大筋だ。
読みどころなど
中心的なストーリーラインのひとつとなる、こじれた男女関係の描き方がまだこなれきっていないからか、序盤の展開は少々まだるこっしい。
しかし過去と未来、現実と仮想とか一直線に連結される中盤から物語は本領を発揮しはじめ、壮年期以降のプリースト作品の特徴とも言える、多義的な展開が次々に現れる。
二〇二〇年代現在の読者にとっての難点のひとつが、リドバス投射器自体が少々陳腐かつ古臭い万能ガジェットに見えてしまうことであろう。
また無理からぬことではあるのだが、作中で行われる未来予想の結果も今となっては少々色褪せて見える。
知る限りプリーストはこの手の没入装置をある時期から放棄しているが、これは明らかに正解だと思われる。
あまりにも自由度が高いガジェットは、彼の文芸を必要以上に曖昧なものにしてしまうからだ。
#対立構造
#男男女三角関係