TUNIC
クォータービューの世界を冒険するARPG。かわいいキャラ造形とは裏腹にシビアなコンバットが子ギツネを待ち受ける。 レトロゲームとりわけファミコンの頃をほうふつとさせる、フレーバーやサポートの情報が少ない作り。 ガイドメッセージ、モブとの会話、ロアなどがかなり抑制されている。 ゲーム内でプレイヤーは収集アイテムとしてこのゲームの取扱説明書のページ片を探すことになる。
進行に応じて操作方法だったりエリアのマップだったりが手に入る。
ただし普通に読める文字は限定されており、大半は作品世界の独自文字でマスクされている。そのためストーリー、アイテムの効果、カードの意味など様々なフィーチャーはそもそも最後まで明かされなかったり試行錯誤したりする必要がある。 戦闘をスポイルできる無敵モードが普通にオプションから選択できるのも2022年感がある。
コンバットの手ごたえも作りこまれており醍醐味と言っていいほど楽しいのだが、それをざっくり除去してしまったとしてもなおしぶとく悩ましく楽しい様々な難度の謎解きがちりばめられている。
TUNICの「取説」は記述された知識がなければ解決不能な謎解きが多く存在しており、ゲームの攻略として収集する必要があるのでその意味では単なるフレーバーではなくシビアな存在なのだが、ゲーム内情報ではなく取説の情報で攻略するというデザインがある種のレトロ感を作りだす。
筆者は遊びながらゼルダの伝説もそうだが、ワルキューレの冒険を思い出していた。あれも取説が最初の舞台である島をゲーム開始からイカダで脱出するまでのガイドを載せていたのだ。まともに読もうと思えない独自文字で記述されたTUNICの取説は、漢字が読めなかったりボキャブラリが少なく意味をくみとれなかった幼少期におけるゲームプレイの雰囲気を再現してくれる(その経験があるプレイヤー限定だが)。