『豊饒の海』
三島由紀夫の大長編小説。遺作。
全四巻。日本語。
1965年~1971年
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画像は著者生前から刊行されていた単行本版
『豊饒の海』(ほうじょうのうみ)は、三島由紀夫の最後の長編小説。『浜松中納言物語』を典拠とした夢と転生の物語で、『春の雪』『奔馬』『暁の寺』『天人五衰』の全4巻から成る。最後に三島が目指した「世界解釈の小説」「究極の小説」である。最終巻の入稿日に三島は、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺した(三島事件)。
第一巻は貴族の世界を舞台にした恋愛、第二巻は右翼的青年の行動、第三巻は唯識論を突き詰めようとする初老の男性とタイ王室の官能的美女との係わり、第四巻は認識に憑かれた少年と老人の対立が描かれている。構成は、20歳で死ぬ若者が、次の巻の主人公に輪廻転生してゆくという流れとなり、仏教の唯識思想、神道の一霊四魂説、能の「シテ」「ワキ」、春夏秋冬などの東洋の伝統を踏まえた作品世界となっている。また様々な「仄めかし」が散見され、読み方によって多様な解釈可能な、謎に満ちた作品でもある。
〈豊饒の海〉とは、月の海の一つである「Mare Foecunditatis」(ラテン語名)の和訳で、〈月修寺〉のモデルとなった寺院は奈良市の「圓照寺」である。なお、最終巻の末尾と、三島の初刊行小説「花ざかりの森」の終り方との類似性がよく指摘されている。
Wikipedia.icon Wikipedia『豊饒の海』
しゅき
三島由紀夫の長編小説
各巻は独立した作品としても読める
輪廻転生を扱っている
唯識の思想が反映されている
井上隆史の『三島由紀夫 幻の遺作を読む』に詳しい
原稿用紙で約3500枚(平野啓一郎公式サイト)
『豊饒の海』の各巻(好きな巻にアイコンをつけるなど)
第一巻『春の雪』
第二巻『奔馬』
第三巻『暁の寺』イタロー.icon
第四巻『天人五衰』イタロー.icon
人物相関図
『豊饒の海』人物相関図
関連書籍、論文、文章、言及
『豊饒の海』創作ノート
「『豊饒の海』または<陶酔の美学>」
『三島由紀夫論』
『豊饒の海』の基本構造メモ|finalvent
「ニヒリズムと嘘」他、コスタリカ307に複数
『円環の文学――古典×三島由紀夫を「読む」』……古典との関係
井上隆史による研究
『豊饒の海』ノート(イ)
/nagata/『豊饒の海』
コトバンク.icon コトバンク『豊饒の海』
動画
文学#36 三島由紀夫ー豊饒の海ー「はるのゆき」「ほんば」「あかつきのてら」「てんじんごすい」
他の作品・作家との関係
2024/05/14『1Q84』を語る会では、『1Q84』との関係が語られている。
『千年の愉楽』
『百年の孤独』
『騎士団長殺し』
大江健三郎がたびたび言及している。