映像の連続性知覚に関する研究
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映像の連続性知覚に関する研究 - 奥野真之
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おもしろかった!zacbaran.icon
ショット
ある時、ある場所に設置されたカメラのスイッチが一度オンになってからオフになるまでの間、一度の操作によって継続的に撮影された映像、およびそこから一塊の連続した部位として切り抜かれた映像断片
トランジション
ショットとショットを編集によって繋ぎ合わせた際の繋ぎ目にあたる箇所、およびその継ぎ目においてショットが切り替わること
カット
切り抜かれたショットとショットをそのまま特別な光学的効果などを加えずに繋ぎ合わせる編集方法、およびそのような編集が行われた継ぎ目のこと、トランジションの一種
スクリーンの中で表現される映像と、現実世界における生活の中で得られる視覚経験との間には、時間的および空間的な連続性の有無という点で大きな違いがある
トランジションによって映像の流れには時間的および空間的に不連続な飛躍が生じることになる( Anderson, 1996; Arnheim, 1958; Re isz & Millar, 1968 ).
連続性の欠如による独自の表現方法.『サイコ』(Alfred Hitchcock, 1960 )
現実の時間とぴったり一致させた撮影『ロープ』(Alfre d Hitchcock, 1948 )
コンティニュイティ編集以前
E. S. Porter や D. W. Griffith以前の映画は、限られた場所の中で演じられる芝居を固定されたカメラによって撮影するのが常、舞台上の演劇を観客性の位置から記録して映画館のスクリーン上でも再現して見せる「罐詰にされた演劇」(瓜 生 , 1981 )
E. S. Porter や D. W. Griffith以後、様々な位置のカメラ、1場面が複数ショットへと分割されて撮影、セルロイドフィルムを繋ぎ合わせる編集が一般的に
このアメリカのハリウッド中心の古典的な編集様式は、コンティニュイティ編集(continuity editing)と呼ばれる
コンティニュイティ編集
物語を明快に語るために用いられる編集のスタイル
ショットからショットへの切り換わりにスムーズな流れを作り出すことに重点が置かれている(Bordwell & Thompson, 2004 )
ここでいう映像のスムーズさについて、,Reisz & Millar ( 1968 )は
スムーズな切換えを行なうとは、その転換によって目だったぎくしゃくが生じたり、一続きのアクションを眺めているのだという観客のイリュージョンが中断させられたりしないようなやり方で2つのショットを繋ぎ合わせることを意味する
2つの点
1.ショットの切換えを跨いで同一の出来事が途切れなく連続しているという印象を観客に与える
2.そこでショットが繋ぎ合わされているという編集の痕跡ーー多くの場合それはカット編集であるーーそれ自体の存在を観客に対して気づかせないこと
理想的に繋がれたかっとはそれを見ている観客にとって目立ち難く、目に見えない(invisible)ものになると言われる(Anderson, 1996; Giannetti, 2002; Messaris, 1994 ).
マッチング・アクション(matching action )
2つのショットでアクションの開始と続きをそれぞれ映し出し、一続きのアクションとして見せること
例:登場人物が崖を飛び越える
先行ショット…崖に向かって勢いよく走ってきた登場人物が、崖の手前で地面を蹴って宙に浮かび上がるまでを映し出す
後続ショット…宙に浮かび上がった人物が崖の上で飛び越えて向こう岸に着地するまでを映し出す
上例のような編集で、2つのショットを跨いだ単一のアクションが知覚されると考えられている
「アクション」…一般的に目で追うことが出来るような運動や動作のこと
視線誘導
人物が懐中電灯を振り回す動きをマッチング・アクションによって編集することはできるが、
電球が灯っている状態を先行ショットから後続ショットまで継続させてもそれはマッチング・アクションとは呼ばれない
ve:自主制作 はじまり - いいだけ : ZAZAzacbaran.icon
180°ライン( 180°line )
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180°システム、180°ルール、イマジナリー・ライン
繋ぎ合わされる2つのショットは、運動の方向軸や向かい合う対話者の間に結ばれる仮構的な線に対して、常に同じ側に置かれたカメラによって撮影されたものでなければならないという規則
図だと、B-C間は繋がれるべきであって、A-C、A-B間のショットを繋ぎ合わせることは避けるべき編集
アイライン・マッチ( eye - line match )
前後する2つのショットのそれぞれに、見る対象と見られる対象を映し出して2つのショットを結び付けること
例:人物が飛行機をみている印象
先行ショット…顔を上げて空を仰芸見る人物
後続ショット…上空の飛行機
視線の両端の間に、スクリーンという平面上での直線的な関係が保たれていなければならない。
例えば会話の場面において、
先行ショット…画面の右側を向いて喋っている話し手の顔を映し出した場合
後続ショット…画面の左側を向いている必要がある
コンティニュイティ編集が「ひと続きのアクションを眺めているのだという観客のイリュージョン」(Reisz & Millar, 1968 )を成立させるための方法として実用的に機能している理由は何?
Murch (2001 )は2つの可能性を提示
そこには人間の体験とリンクする何かが隠されているのだろうか。それとも映画の作り手が利便性を追求しただけなのに、観客がどういうわけか慣れてくれただけのことなのだろうか
要は自然界(遺伝子レベル)の人間の特性なのか、後天的に経験したものなのか
これはマジで思うzacbaran.icon
使用される編集方式の側こそが、視聴者の知覚系にとって受け入れ易いものとなるよう適切な変化を遂げてきたという方がより妥当な過程であるはずだ(Anderson, 1996; Cutting,Br unick, & Candan, 2012 )
「リンクする何か」はそこにある - Murch ( 2001 )
コンティニュイティ編集の映像は、現実の環境を知覚するために発達してきた人間の知覚能力に本来的に備わっている性質を上手く利用するようにデザインされており、それによって自身を連続したものとして知覚させることに成功しているのだろう。例えるなら糖質を含まない人工甘味料が味覚に甘さをもたらす経験に似ている。編集された映像には現実世界のような連続性の成分は欠如しているけれども、その代わり視聴者の知覚系に対して連続性の知覚印象を抱かせる機能的な等価物は含まれているのである。
視聴経験の影響
視聴経験少ない自動を対象にした発達的研究によっても、視聴経験の有無が映像の理解に及ぼす効果を推測することができるる(Smith, Anderson, & Fischer, 1985; Wright, Huston, Ross, Calvert, Rolandelli, Weeks, Raeissi, & Potts, 1984 )
映像理解度の成長が、視聴経験の蓄積に基づいた映像知覚に特化した能力の発達によるものなのか、あるいはより一般的な知覚能力の発達に基づくものであるのかを区別することが難しい
少数ながら、映像メディアに全く触れた経験のない成人の映像理解度に関する調査結果が報告されている (Hobbs, Frost, Davis, & Stauffer, 1988; Ildirar & 14 Schwan , 2014; Schwan & Ildirar, 2010 )
トルコ南部の山岳地帯に暮らしている、映画やテレビといったメディアと接諸侯した経験が一切ない成人のグループ
日常的な出来事の進行(お茶の支度など)を映し出す映像クリップに関しては、クロス・カッティングのように複雑な編集を施したものであってもその内容を十分に理解することができていた。また、マッチング・アクションやアイライン・マッチを用いた映像についても、2つのショットの系列が表現する内容を正しく理解できていた。
出来事の進行を含まない映像クリップに対し
編集によって繋がれたショット間の関係については誤解しているというケースが多くみられた( Ildirar & Schwan , 2014; Schwan & Ildirar, 2010 )
典型的な誤解としては、2人の男性が向かい合って会話をしているという映像クリップにおいて、図1中のカメラBとCのようにことなる 位置から撮影したショットが繋ぎ合わされている場合、未経験者の多くはショットの切り換えを視点の変更としてではなく、被写体となっている人々の身体が動いて位置と向きを変えたのだと解釈していた
建物の外見を写したショット⇒室内の様子を写したショット
後続ショットが先行ショットに映った建物の内部であるという解釈はせずに、各ショットがそれぞれ別個の場所を映し出しているのだと受け取っていた
映像メディアの基本的なコンセプトに対する無知が原因となっている可能性 - Ildirar & Schwan ( 2014)
そもそも1つの映像作品に1つのまとまった全体性、統一性があるのだという前提を了解していない、そのため、ショット間の関係性を正しく理解できないというよりも、初めから関係性を見つけ出そうとしていないのではないか。
また、出来事を含む映像については、出来事の進行という目だった直線的な関係がショットを跨いで存在しているために、映像を1つの全体として理解することが容易くなっているという
より統制された実験的研究が必要
映像知覚の理論
心理学的理論 x3
構成主義( constructivism )
外界の対象そのものではなく、対象についての構成された心的表象を介して対象を知覚するという間接的知覚論
知覚とは対象についての心的表象を構成するプロセス
視覚の場合には網膜に対する光の刺激の入力がそのプロセスが起動する出発点となる
心的表象が構成される。その際、感覚刺激の入力だけでは正しいモデルを構成するための情報が不足するため、過去の経験や推論によってその不足分の情報が補完される。
映像の視聴時においても同様に、映像の表現についての正しい心的表象を構成することが構成主義においては映像を正しく知覚することである
Hochberg ( 1986 )の研究
空間の心的表象のモデル Berliner & Cohen ( 2011 )
180°ラインの規則 Levin & Wang ( 2009 )や Huff & Schwan ( 2012 )
生態心理学( ecological approach )
Gibson ( 1979 )が提唱したアプローチを中核とした理論
1.環境内に実在する情報を知覚者が直接的に検出するというプロセス
2.知覚系にとって情報となるのは不変項(invariant)と呼ばれる環境内の構造であるということである
対象を知覚するために必要十分なだけの情報が外界の環境内に実在していると考える。視覚の場合、それは光の中に存在する光学的な構造である
対称の表面から跳ね返る反射光の空間的あるいは時間的な構造は、反射元のなっている対象に対応する特定的なパターンを形成しているため、その構造は対象を特定するための情報となり得る
知覚者はその情報を環境の中から抽出するだけで対象を知覚することが可能となる
構成主義において過程されているような推論に基づいて構成された心的表象という仲介物は必要とされない
(Gibson, 1979 ),Stoffregen の論考(Stoffregen, 1997 )
折衷的立場
Anderson ( 1996 )
生態心理学の理論を基礎として、感覚刺激による入力や心的な推論といった構成主義的な要素を組み込んだ理論を構築
Smith ( 2012 )
生態心理学的な観点に構成主義的な要素を融合させた理論を提唱している。この2つの理論の間には、心的表象の構成においては構成主義ほどの重きを置かない一方で(反-構成主義的)、不変項の検出という生体心理学的理論の中心的なアイデアを覗けている(反-生体心理学的)
コンティニュイティ編集の連続性
「連続性(continuity)」
映画のフィルム
物質的な不連続性はもちろんあるよね
連続性
時間と空間の連続性 x2
1.ショット切り換えの単純な時間・空間的飛躍
2.物語世界内の時間と空間の系列に対して視聴者が抱く知覚現象としての連続性
物理的に1が起きてるのは前提に、2.まで気づくかということzacbaran.icon
例:180°ラインの映像
当然ショットの繋ぎ目では1.の空間の連続性は欠如している
ただ、二人の方向性や位置関係については一定した知覚が保たれているため、後者の意味では空間的な連続性が保たれていることになる
マッチング・アクションを用いたカットでは、敢えて先行ショットと後続ショットの時系列を一致しないように繋いだほうがアクションが連続的に見える(Dmytryk , 1984; Anderson, 1996 ).
事象の連続性
映像の流れの中には事象の連続性が存在すると考えられている( Anderson, 1996; Bordwell & Thompson,
2004; Giannetti, 2002; Reisz & Millar, 1968 ).
単一の出来事が中断を挟まずに継続しているように見える
アイライン・マッチが示している連続性も「何かを見る」という出来事の連続性を提示していると考えられる
見るという行為には必然的に視線を対象に向ける観察者と、視線を向けられる対象とが含まれる
2つのショットの間で何かを見るという出来事の関係性が連続していると考えられる
映像の連続性の研究では、時間と空間の連続性が重要視されるのに対して事象の連続性は軽視される事が多い
ショットの切り換えがあるということに気づかないまま映像を視聴し続ける…ということが地齋に発生しているのかという問題
Smith & Henderson ( 2008 )の研究が初の試み
コンティニュイティ編集の慣習に則っているカットほど、検知の失敗が多く発生することが確認
融合研究(Berliner & Cohen, 2011; He cht & Kalkofen, 2009 ; Levin & Wang, 2009; Magliano & Zacks, 2011; Smith &
Henderson , 2008 )
不連続な映像がなぜ連続的に見えるのか
Anderson ( 1996 ) やSmith ( 2012 )によって
コンティニュイティ編集とはは別の編集スタイルによって作られた数々の実験的映画(金井 , 2000, 2001 ).
知覚される事象の構造
事象の流れを構成する単位について、Gibson(1979)は「上位の出来事と下位の出来事がというふうに、出来事の中に出来事がある。単一の出来事を何にするかは、選択の問題であり、測度の単位によ決まるのではなく、適切な開始と終結に依存する
例:ドアを開ける
小さな水準の、ドアノブに手を伸ばす、ドアノブを掴む、ドアノブを回す、ドアを押す
大きな水準の、帰宅するという出来事
とはいえ、出来事の流れのあらゆる点が、より小さな水準の出来事が開始または終了する点と機能しているわけではない
手が毎ミリ秒ごtに僅かずつ空間を移動するというミクロな出来事の系列として知覚することはない。
人間の事象知覚にとって自然な水準あるいは適切な水準がある
事象のユニット構造と、それを知覚する際の知覚のユニット構図を表す方法としての分節課題を用いた諸研究
Newtson & Engquist(1976 )
予備実験:日常の出来事(男性が雑誌のページを捲る場面など)を映した映像クリップが提示され、予備実験参加者らはその映像を視聴しながら、自然で意味のある出来事が終了して次の出来事を開始したと感じられる位置を装置のボタンを押してマークし、出来事の流れを下位の出来事の系列へと分割していく分節課題 ( Newtson, 1973 )を行なった
その結果に基づいて、分節点( breakpoints )と非分節点 (non -breakpoints)とが各映像クリップについて定められた
分節点とは、映像で提示された出来事の流れの中で、そこに自然で意味のある出来事の境目が存在するという分節判断が、相対的に多くの人々から共通してられた個所
非分節点とは反対に、得られた分節判断が相対的に少なかった個所である
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映像編集を体験してもらう実験?zacbaran.icon #hot
この分節点の信頼性は高い(Newtson, Engquist, & Bois, 1976)
分節点は,図 2 に示すように,より小さな水準で定められたユニットの分節点とその位置が重なったものになる(Newtson, 1973)
実験1:各映像クリップの分節点と非分節点から数百msの長さに該当する量のフレーム画像を映像から抜き取る加工が施された。そのようにフレームが削除された箇所においては、抜き取られたフレームの量だけ映像の流れが不自然に飛躍するように表示される。本実験の参加者たちには、提示される映像を視聴しながら、このフレームが削された個所を検知するという課題
結果は、非分節点に施されたフレームの削除と比べて、分節点に対する削除の方がより検知率が高いという傾向を示していた。即ち、時間の長さとしては同程度の不自然な飛躍ではあっても、分節点と非分節点の間では検知のし易さに差が生じていた
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分節課題を行なっていない人に、削除されたフレームを検知するという課題を実施
ちゃんと分節点と非分節点で異なる結果
つまり、分節課題を行なっていない時でも、ある出来事に対する知覚が一般的に、構造に固有のユニット構造に基づいて成立しているという推測
事象のユニット構造が、知覚のユニット構造としても機能している
実験2:映像の代わりにスライドが提示、分節点の個所から抜き出されたフレーム画像を用いて作られたスライドのセットが実験参加者に提示され、そのスライドからもとになった映像の出来事の内容を正しく理解できるかどうか、またスライドの時系列をもとになった出来事に合わせて正しく判断できるかどうかについて調査
⇒分節点のフレーム画像の方が、正しく判断できた
実験3:映像クリップが提示された後、分節点と非分節点から抜き出されたフレーム画像と、ディストラクタ画像を用いた再認課題が実施され、実験参加者は各画像が視聴した映像クリップに含まれていたものかどうかを判断して回答した
⇒分節点から抜き出された画像に対する再認課題の正確さ>非分節点から…正確さ
カットによる映像の構造化
ショット間の繋ぎ目の、不連続な光景の変化の映像メディアの形式的特徴が、いわば文章における句読点のように機能して、映像を知覚する際の知覚的ユニットの境目として機能する可能性はないだろうか
文章の句読点、という例は良い!zacbaran.icon
Carroll & Bever(1976)の仮定:映像の内容は構造的ユニットの境目に到達する度に抽象的な形式へと符号化されており、映像が映し出す出来事の変化と映像編集によって挿入されたカットの両方が、そのような構造的ユニットの境目として機能
構造的な境目の前後の位置から抽出されたフレーム画像を比較すると
境目の前に位置するものは既に符号化がなされているのに対して
境目の後に位置するものはまだ符号化の処理を受けていない
そのため、境目の後ろから抽出された画像に対しては、記憶の再認判断に要する時間がより短くなる
出来事の変化あるいはカットの挿入前後の位置から抽出された画像の間で反応時間に差
カットの挿入は、構造的ユニットの境目を作り出す
実験の分析の問題点:出来事の変化の条件とカット挿入の条件が混在
(Schwan, Hesse, Garsoffky, 1998)も同様
再度問題解消(Schwan, Garsoffky, & Hesse, 2000)
PCパーツを換装、拳銃の分解清掃
熟練の人による分節課題
本実験の映像
分節点/非分節点+カット有り/カット無しの2条件、計4条件
(分節点にカット有り,分節点にカット無し,非分節点にカット有り,非分節点にカット無し)
Carroll & Bever(1976)やSchwan ら(Schwan et al.,1998)に相反する結果!
カットの挿入による分節判断の増加は確認されなかった
つまり、分節判断を遂行する際の出来事の知覚は、あくまでもその出来事に元から備わっている固有の構造に基づいて行なわている
カットの挿入という形式的な特徴の追加は知覚的ユニットの構造を作り出してはいなかった
Kraft(1984)も同様
編集された映像と無編集映像の提示で、両条件間で再生される出来事の内容に変化は見られなかった
単純なカットではそこに知覚される出来事の意味内容を操作することはできなかった
カットがもたらす変化とは、事象に対する知覚的ユニットの構造までをも変化させるような類のものではない。
なお、カットとはカメラ視点の変更のみを伴うような種類のカットを指している
例:買い物の場面から食事の場面へとつながるカットは出来事の境目と判断されるが、それはカットに付随して出来事の変化が共起しているだけ
分節化の要因
(Cutting, Brunick, & Candan, 2012; Zacks, Speer, & Reynolds, 2009).36 Magliano & Zacks(2011
3種類のカットへの分類
1.連続編集(Continuity Edit)」
時空間アクションすべて一致(カメラの視点がかわっただけ)
2.時空間不連続性(Spatial-Temporal Discontinuity)
アクション一致だが、時間と空間の片方もしくはその両方が不一致
登場人物が街中を歩くというアクションを続けてはいるものの,カット前後のショットで立っている場所は異なっているような場合
3.アクション不連続性(Action Discontinuity)
ショット間の時間,空間,そしてアクションの全てが一致していないカット
少年が自宅へと入っていく場面の後に,成人男性が働いている場面へと繋がれるようなカット
分節判断の発生率に関するロジスティック回帰分析
カットある部位、カットない部位で比較
③のアクション不連続性が常に他の条件より高い効果
①と②は、連続編集や時空間不連続性
小さなユニットへの分節⇒わずかに発生率上昇
大きなユニットへの分節⇒効果なし
分節課題を行なう際の知覚の構造は何よりもまず出来事の構造に基づくが、
②のアクション一致は同じ出来事のユニットと捉えてくれてるのはコンティニュイティ編集の慣習と符号する
事象の次元
バイオロジカル・モーション
交点の配置だけで十分な情報となり得るが、ただしその情報は光点の配置図ではなく、交点の配置が変化する運動のパターンの中に含まれている
Michotte(1946)
円盤法(disk method)
Gibson(1979)
時間とは事象から派生した抽象的な概念に過ぎないと述べた
空間についても同様に、現実の枠組みとなるのは面の配置であって空虚な空間は存在しない
「時間の次元の基礎にある現実は、事象が連続的に順序だって生起することであり、空間の次元の基礎にある現実は、対象やそれぞれの目が隣り合って序列をなしているということである」
コンティニュイティ編集における事象の構造
Levin & Varakin(2004)
600msの灰色画面を事前の教示なしで提示
半数は気づかない
進行している行為の途中経過に空白画面⇒見落とし発生
行為と別の行為の境目にあたる位置⇒速やかに観察者によって発見
Hymel(2013)
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ショットの順序を前後で交換
マドラー取り出し→コーヒーかき混ぜを、コーヒーかき混ぜ→マドラー取り出しのようにした
具初的な検知課題(事前に課題を明示せず、映像視聴後に初めて課題を知らせる)
12名のうち誰一人として出来事の正常な流れが部分的に乱されていることに気づかなかった
各ショット間の時間的順序を視聴者が逐一監視してはいないことを示している
出来事全体の内容は正しく理解できている
Change Blindness
A→中断→B
A、Bが似ている、といっても、並置すると明白だが、上の手順だと見落としてしまう
(Levin & Simons, 1997; O’Regan, Rensink & Clark, 1999; Rensink, O’Regan & Clark, 1997)
会話の相手が入れ替わる例 - Simons & Levin(1998)
カットの見落とし
Change Blindnessをつかったカットの見落とし - Smith & Henderson(2008)
各見落とし率
カット全体で 15.8%
場面間カット(カット前後のショットに何の連続性も含まないカット)
9.4%
場面内カット(場面の連続性を含むカット)
25.1%
マッチング・アクション・カット(場面の連続性と,アクションの連続性を含むカット・視点変更?)
32.4%
アイライン・マッチ・カット(場面の連続性と,視線の連続性を含むカット)
10.9%
場面内カットとマッチング・アクション・カットの 2 種が,他の 2 種よりも有意に見落とし率が高くなっていた
しかもこれは、意図的に行なわれる検知課題であったので、通常の映像視聴だと見落とし率上昇だろう
(Bristow, Haynes, Sylvester, Frith, & Rees, 2005; Diamond, Ross, & Morrone, 2000)
カットの見落としと瞬きや飛越運動との関連性
瞬きや飛越運動の発生は神経の活動を一時的にさせ、知覚的感受性が低下する期間を発生させることが知られている(Bristow, Haynes, Sylvester, Frith, & Rees, 2005; Diamond, Ross, & Morrone, 2000)
感受性低下期間中のカットが起きたことでカットの検知が難しくなっている可能性もあったが
カット検知中の瞬きや飛越運動を計測したSmith & Henderson の分析からは,そのような同期関係の存在は実証されていない
アクションの連続性のみの実験はしていない
実験1:と同様だが、問題点を踏まえた上のもの
アクション一致の追加や、他条件などの考察
https://scrapbox.io/files/677c8eb22532a1c7a9c8f53d.png
場面の一致
アクションの一致
[https://scrapbox.io/files/677c8f118330200efc310832.png
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輝度変化で判断してる説
ショットが切り換わる際に映像の画面がより明るく変化した場合(輝度変化がプラスの値)にはそのカットは検知し易く、逆により暗く変化した場合(輝度変化がマイナスの値)にはカットは検知し難い
より明るくなる変化はより暗くなる変化よりも検知し易い対象
映像と画面背景の関係に由来?
ディスプレイ周囲の黒一面と対比
検知課題に関わらず、事象ユニット構造の影響を受けて、カットの検知率が変動
参加者が事象ユニットの境目をカットの出げ日を示す手がかりとして利用していた?
事象ユニット境目で対象の検知率が上昇し、ユニットの内部付近では下降するという傾向はなにもカット検知課題に限られたことではない
フレームの削除(Newtson & Engquist, 1976)や,空白 画面の挿入(Levin & Varakin, 2004),画面の色彩の変化(Saylor & Baldwin, 2004)などに対する検知課題でも同様
まとめ1
カット検知課題の結果は、
事象ユニットの構造を示す事象分節率
カット前後の場面の一致
カット前後の輝度変化
が、見落としやすさに関与する有効な要因
アクションの一致の効果は弱かったらしい
偶発的な検知実験の必要性
マッチング・アクションの種類 x3
先行ショットで進行していたアクションが中断されたまさにその時点から後続ショットが開始されるように 2 つのショットを繋ぐ方法(直結)
時系列の一部を削り取ってアクションの流れが少し先に進行した時点から後続ショットが開始されるように繋ぐ方法(省略)
時系列の一部を繰り返してアクションの進行を少し後ろに巻き戻した時点から後続ショットが開始されるように繋ぐ方法(重複)
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Hecht & Kalkofen(2009)
飛行船オブジェクトが左から右へ横切るように移動
中央で後続ショットに切り替わる
初期状態としてショットの開始位置がランダムに変動する
映像の繋がりが最もスムーズで連続的なものとなるのは後続ショットがどの位置から開始される時なのか判断して選択するという疑似的な編集作業を行なう課題
各ショット間の角度(オブジェクトに対するカメラ)距離(オブジェクトとカメラの距離)の変化量が参加者の判断に及ぼす影響も検証
全体的異な平均として、「省略」を挟んだ映像が好んで選ばれており、分散に大きな拡がりはあるものの、省略される時間の長さは平均で182ms
モーショングラフィックスのつなぎ的、ジャンプ率と勝手に呼んでいるものzacbaran.icon
特徴的な制限
飛行船が等速度で移動するCGアニメーション
現実からは離れている
先行ショットの終わりは全体の半分までで切り替わるので固定されている
空間内の共通した一点に対して、カメラの視線方向が固定されている
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他映像、他条件では通用しない可能性もある
実験2: 目的
実写映像をマッチング・アクションで繋ぎ合わせる際、どのような編集を行えば映像に対する知覚印象がより連続的となるか
事象x3、3台のカメラ、ショットは3秒間
事象1:卓球用ボールが傾斜した台の上から転がり始め、机の上に置かれたゴムのキューブに追突する映像
事象2:風船が机の端から床の上に落ちて弾む映像
事象3:ペットボトルからクリアカップにお茶が注がれる映像
①、②は開始時点では静止→追突するまでで3秒
③のお茶は注がれている途中3秒、アクションの終了がない、時間経過の変化に由来する効果を分離する目的
カメラアングル集中条件(カメラの角度のみ変更)
カメラアングル分散条件(映画的なショットの取り方)
https://scrapbox.io/files/676f0972b40f1db6a410521c.png
カットのポイントx3
序盤、中盤、終盤
後続ショットの開始位置x3、直結、省略、重複
省略条件では、最小単位として200ms進行させた位置から後続ショット開始
重複条件では、最小単位として200ms逆行させた位置から後続ショット開始
「カットのポイントx3」×「後続ショットの開始位置x3」 + カメラbのそのまま = 10種類の映像
各ペアの映像1つずつ中央に表示された後、参加者はペアのうちどちらが「より自然でスムーズに見えたか」を判断し、画面上のボタンをマウスでクリックする操作で回答
ペアは10種類の映像の間で作られた、つまり、10C2、の、45通り
https://scrapbox.io/files/676f1596f0658e717ef2ccfc.png
相対的位置なので、列どうしでの値の比較は意味がない
横一列の内でのみ意味がある
無編集(×)が連続性知覚が常に最も高い
ボールの終盤省略のみ目だって低い
Hecht & Kalkofen(2009)と似たボール映像であるが、省略が他2つより連続性知覚量高くなるといった傾向はない
結果としては、後続ショットの開始位置は、連続性知覚に関して、明確な優劣はない
かなしいzacbaran.icon
カットのポイントで、
カメラアングル分散条件、かつ、風船映像、において、影響あり
https://scrapbox.io/files/676f1ba95402a0f651d7486f.png
https://scrapbox.io/files/676f1bdf1888c1ee7e0cf407.png
15のことだが、カット直後に風船が表示されていない場合がある
現実としては正しいが、特に、終盤、直結は、最も連続性が低い評価
マクロな構造とミクロな変動
無声映画→トーキー映画
無声映画を見る観客の反応につて、Arnheim(1958)
もし現実の生活で同様の出来事が起るならば、かならず聞こえるはずの音がないことに誰も気づかなかった。誰も歩く足の音とか、葉のさらさらそよぐ音とか、時計のカチカチ秒を刻む音がないことに気づかなかった。そのような音の欠如(もちろん言葉もその中に入るが)は、もし現実の生活でそれらがなくなっていたら、絶望的なショックとなるに違いないにもかかわらず、それほど目立ちはしなかった
人々は「トーキーを知ってのち、はじめて無声映画における音声の稀有所に気が付くようになった」(Arnheim, 1958)
なぜ容易に受け入れられるのか
知覚はそもそも完全な感覚を必要とはしておらず、不完全な感覚からでも対象についての不備のない印象を得ることができるからだと説明
→不連続な映像を視聴した時にも連続的な知覚の印象が得られる
事象知覚のユニットとして、知覚の基盤として選択される水準を「マクロな構造」
事象知覚のユニットとして、更に下位に位置する選択されなかった水準を「ミクロな変動」
「マクロな構造」→知覚的構造
「ミクロな変動」→感覚的変動
Levin & Varakin(2004)行為の途中に挿入された空白画面の見落とし現象
検知の失敗は、事象知覚にとって必要とされるマクロな構造が維持された状態のもとで、その内部で起きている知覚にとって重要ではないミクロな変動が検知されずに見落とされる現象として捉えることができる
変化の中にあって持続している不変項
構成主義的知覚論における映像の連続性は視聴者の心の中で作り上げられるものであり,「視聴者なしでは連続性は存在し得ない」(Smith, 2012).
対照的に,生態心理学的な観点では,映像の連続性は視聴者がいようがいまいが関係なしに存在し得る.
生態心理学者の Stoffregen(1997)によれば,
映像編集の目的とは視聴者が知覚に利用する情報の探索をガイドすることである.映画の中で語られる物語の展開を正しく理解するためには,物語の進行に関連した情報を知覚しなければならない.
映像を見る視聴者が戸惑いを覚えるだろう編集には,提示される情報の状態によって2種類のケースがある
1.単純な情報の不足によって知覚が曖昧になる場合
2.逆に情報が多すぎて知覚が曖昧になる場合
モーショングラフィックスzacbaran.icon
出来事Aを知覚することもできるし、Bを知覚することもできる
多義図形のよう
180°ラインは、それを制限している
問題点
2つのショットの関係のみを扱った
音声がない
画面のフレーム枠を基準とした構図
枠の付近にあるか、枠に重なっているか、枠の外に出ているかなど
スクリーンサイズ制限の前提性zacbaran.icon
参考資料
https://scholar.google.co.jp/scholar?cluster=12070527935766514043&hl=ja&as_sdt=0,5