7文字で語感が良い単語は俳句にも使いやすい
はたして本当かどうかcFQ2f7LRuLYP.icon
例
初春やアムステルダムサムネ入り
目覚めたるホモサピエンス法を説き
昼過ぎの九十九里浜一里旅
将来のそれはさておき花見酒
古ぼけて洗濯バサミ崩れけり
揺り袋たまごふりかけ飯に落つ
初孫がもみじ饅頭食ひており
8文字
骨残しピテカントロプス眠りけり
骨残して眠るっていう表現が良いimo.icon
声たてて啼けるやパラサウロロフス
解答:使えた。(句の良し悪しはともかく)
作句のあいだ考えたことを書いておこうcFQ2f7LRuLYP.icon
自作の解説は野暮この上ないけど、どういう思考をたどったか書いとく方が面白そうだと思った
作句は初めての経験だし、初回の記録は大事
作品にキャプションがついてると嬉しい派imo.icon
1. 初春やアムステルダムサムネ入り
立春から一週間以内だし初春と言ってもよいだろう
アムステルダムがサムネになってる。入れたろ
ダムとサムで韻があるしええやん!のきもち
アムステルダムも初春もサムネ入りも何ら事前の関係がなく、井戸端にいる人にしか(いる人でも)よくわからん句になった。よくなさそうcFQ2f7LRuLYP.icon
逆に言えば事前の関係がある語句を集めるとわかりやすい句になる
月並な句にもなってくだろうけど
2. 目覚めたるホモサピエンス法を説き
ホモサピエンスを中句に据えてみようとしてスタート
「性癖を開陳しているホモサピエンス」を題材にした創作があったので「ホモサピエンス 性を説き」まではできた
けど、やはり自分の好みじゃないしやめとこか〜となった
なので上句を「目覚めたる」にして覚者要素を追加し完成 季語なし
3. 昼過ぎの九十九里浜一里旅
一番あとにできた。
ネットで「九十九里浜 俳句」で検索すると全部漢字の俳句が出てやられた〜、見なきゃよかったと思って悩む
九十九の数字があるので、上か下に数字を置くと調和しそうな気がした
ここで考える
ウイキペディアで九十九里浜を見ているとなんか歩きたくなってくる
九十九里行くのは大変そうだ、少しだけにしたい。じゃあ一里かな
九十九に一足すと百になるし調和感ある。良い
ちょっと気取って旅なんてつけるといいかも
と思って「一里旅」にした
上句はここから連想
短い歩きだし昼にぶらぶら歩くくらいで九十九里浜散歩したいなと思い、「昼過ぎの」にした
意図せず「一人旅」と音が同じになったので、一人歩きが付与されたと思う。
「一り旅」でもよかったかもだが、一里とは普通読まないから今の方が良いか?わからんcFQ2f7LRuLYP.icon
やはり季語なし
マップで訪ねてみた箇所は曇ってたのであるきやすくて楽しそうな場所に行ってみたい
N35.3960973,E140.3919004
4. 将来のそれはさておき花見酒
「〇〇〇〇のそれ」にしようと決めてスタートcFQ2f7LRuLYP.icon
「○○○○○」「それはさておき」「○○○○○」とするといかにも五七五でござい!ってなってしまう
さておいて何をするかも考える
このあたりから廣井きくりさんが頭にちらつきはじめる でも気取りすぎてよくなさを感じる
「それはさておき」というからには「さておきたくない話題」を置きたくなった
具体的にするよりは漠然としたほうが当たり判定が大きくなるかなと思ってた
就活…いやちがう、締め切り…もう一声、老後…年金…これもなあ、などなど
5. 古ぼけて洗濯バサミ崩れけり
洗濯バサミの思い出を句にしたかったcFQ2f7LRuLYP.icon
新生活前に親と買った洗濯ハンガーが、大学の頃の終わりの方にパキッと割れたこと ずっと外においていた
どうやって句にしよう
割れるだと普通なので崩れるにした
上句がうまくいかない
親と買った、長年の時が経っているというのを五文字に入れ込むことができず
父買いし、母と買う…どうもいまいち
仕方ないので「古ぼけて」にした
6. 揺り袋たまごふりかけ飯に落つ
「たまごふりかけ」のままでどうにかするしかないなーと思った
いかにも五七五の形はやっぱり嫌
○○○○○/たまごふりかけ/○○○○○
○○○○○たまご/ふりかけ○○○○○の形は難しそう
「たまご」と「ふりかけ」とを切断し、かつ一連の句にまとめるのが難しい
たまごは普通ふりかける物じゃないし
ふりかける瞬間を切り取って表現したい
「海苔舞い落ちる」みたいな語句が頭に浮かんでいた
着地の瞬間どこに落ちるかな~と想像したら🍚だったので、じゃあ「飯に落つ」だなと決めた
上句は微妙
「袋を揺らしてふりかけが落ちる」ということをいいたかった
「袋揺れ」は普通すぎる→倒置して「揺れ袋」→「揺れ」だと自動詞みたくなる→じゃあ「揺り袋」にしよう(了)…という順序
「揺り袋」ってなんだよ…となって足が止まるのでよくなかった。次はもっといい五文字を句の上に据えて詠みたい。cFQ2f7LRuLYP.icon
7. 初孫がもみじ饅頭食ひており
初めはもみじつながりで作ろうとしたがうまくまとまらない
「食べてしまってもみじなかりけり」みたいなの
もみじ饅頭の制約が重すぎるので頓挫
7文字でかい。
食べるモチーフはそのままに転換しよう
そういえば最近甥っ子が生まれて日に日に成長する様子を画面越しに眺めていて面白みがある
立ってる、歩いてる!という新鮮な驚き
この面白みを初孫で想像できそうと思ったのでバーチャルに「初孫のもみじ饅頭を食べるのを見ている人」をイメージして作った
あとから思いついた
我が孫がもみじ饅頭食うておる
こっちのほうがいい
7. 骨残しピテカントロプス眠りけり
ミンガスのブンブンピテカントロプスみたいなのを考えてた
ブンブンはベース音のつもり
今見つかるピテカントロプスは死んでいるのでその要素を入れたいな~って思った
死んでいるのは永の眠りについているってことなので「眠りけり」にした。
ネタを探しにピテカントロプスのウィキペディアに立ち寄る
ジャワ原人(ジャワげんじん)とは、ウジェーヌ・デュボワが1891年にオランダ領であったインドネシアジャワ島トリニールで発見した化石人類に対する通称である。年代は 170 - 180万年前ごろと推定されていたが、最新の研究では130万年前ごろとされている。
19世紀後半、ドイツの生物学者ヘッケルは、東南アジア方面で人類の進化が起こったことを主張し、ピテカントロプスという学名も用意していた[1]。ほとんどの学者は無視したが、アムステルダム大学解剖学講師だったデュボアはこの説を信じ、ピテカントロプスを見付けるため軍医に転職しインドネシアに渡って発掘を行なった[2]。その結果、1891年[3]に脳頭骨と大腿骨を発見し、Pithecanthropus erectus(ピテカントロプス・エレクトス)の学名を与えた[4]。
「トリニール」にしようかと思ったけど、いや骨が元で見つかってるわけだし、「骨」を入れとこうと思った
というわけで「骨残し」
あとから考えると倒置してもよいかも?cFQ2f7LRuLYP.icon
うたたねにピテカントロプス骨残し
…倒置すりゃいいってもんじゃあないなあ
8. 声たてて啼けるやパラサウロロフス
余談cFQ2f7LRuLYP.icon
ピテカントロプスの句が終わったとこで「まあ全部やらんでもええか…」と思っていた
ら、imo.iconさんのフィードバックが入ったので引くに引けなくなった。
というわけでぜんぶやることにしたのだ
俺のせいで…imo.icon
パラサウロロフスを真ん中に入れて詠める気がしないので最後に置いといた
最初に置くと存在感デカすぎる。
ウィキペディアをみると(ウィキペディアは便利)、鶏冠が有名でそこから音を出したとあった。 音をだす=動物が鳴くってことだなあ
「動物が鳴く」についてcFQ2f7LRuLYP.iconの頭のライブラリに検索をかけると以下の和歌がヒットした
あと春なのでついでにこの歌もヒットしてきた
この「たてるやいづこ」という音の流れが好き
古今集は基本
というわけで(?)これらの歌の修辞をなんとな~く踏まえつつ、「鶏冠から出る音どんなんだろ」「どういう気持で鳴らしてたんだろ」という気持ちを句にしたのであったよ。
最初は「声立てて啼きけむ」という過去推量で書いていたけど、結局「たてるやいづこ」に惹かれて「声立てて啼けるや」にしてしまった。如何なりや如何なりや。