開門造歌集
序
meganii.iconさんの歌を読み、改作したからには自分もそうされるべきだと思ったので、歌を置いておくcFQ2f7LRuLYP.icon
ここにある歌について、cFQ2f7LRuLYP.iconが作っている歌についてCC0としますcFQ2f7LRuLYP.icon
感想をおっしゃっても添削しても自由にどうぞ
旧:cFQ2f7LRuLYP集
春
三が日で発つ私へのお土産は父が教えるギターストローク
春の夜の川の浅瀬に脛(はぎ)ひたす 日のあたたかさ消えて残らず
秋
豆腐ねぎほうれん草入れぐらぐらと煮込む秋なり うまし味噌汁
月の照る夜や終わりの神無月 手を差し出せば影さえ見える
山寒み人も問はざるふるさとに朝日のかげぞ露に宿れる
心なき人やわれなり 秋の日のつるべ落としも目にとまらずて
冬
冬立ちて松虫の声やみにけりいづちの草に宿を借るらむ
さびしさにたへたる人よ ボーナスの薄き明細折りて飛ばさむ
房なせる南天の実も今日見ればあるは食われてあるは崩れる
冬の夜にめぐりあいける師走かな17時にもなればこんなにも暗い
真綿なす雪の重みにたへかねて道のここらにたおれてしがな
今年にはもう会えないのだな 別れ際に聞く「良いお年を」
夜過ぎて氷の結ぶ日だけれど今日この街に雪は降らない
クリスマスの夜の空気は冷えたまま年末のそれと連続している
哀傷
伯父へ
無縁仏にしますかいいえ引き取ります 伯父死せる日の父の声色
家族にはなれなかったね 身元告らず病も言わず死せる我が伯父
先生へ
亡き人の姿も顔も薄らいでまだ残れるは低き声色
まどろみのドアの向こうに亡き人は笑みほころばせ講義するらん
わが犬へ
床を蹴りチャッカチャッカチャッカチャッカ鳴る音のいぬ世にわれは生きるなりけり
恋
君のその横顔にかかる黒髪のひとすじの白に目を背けたり
エスプレッソを初めて飲める人を見て 君はくつくつ笑うてぞある
「あひ見ての後の心」の後もあり つかない「既読」もまた愛おしく
空寒き唇より出る愛してる 愛と言わずに伝えられたら
いきつけのパン屋に新メニュー出た!なんてことでもいい 話してほしい
お互いに明日をもしれない身ですので今日終わる前に好きと言わせて
「     」「      」ときどきは目もとで交わす応答もある
ほにいでぬ灰の内なる埋火の下に焦がれる恋をするかな
あなたからの「上海蟹一緒に食べたい」でこの世に生きた甲斐が生まれた
居酒屋の暖簾の外で紫煙吐き 愛を語れる若者の居り
底しれぬ深い谷あり 好きな人の好いてるものを好きにはなれず
雑
一日に二分くらいはこれまでに話したことない話をしよう
たのしさは待つにこそあれ 約束もせずにVCひとりいるとき
沈淪も愉しからずやひとたびの生を棒振るそのとりかえしなさ
人の耳に触れるものならできるだけ楽しい話を楽しい話を
「イッカンセー滅ぼすべし」とたくらんで毎朝別の本を持ってく
いつからか途絶えてやある 如月の別れの際の父との抱擁
名義抄開くは楽し 見も知らぬ漢字も訓も棲まひにけりな
【抹消】の丹色の黥を受くる書の 我が棚にあるは何の縁ぞも
ずんずんと合金の船の過ぎゆけば 凪訪れりシャツの海原
地に星の散りばめてあれば烏羽玉の闇なるものはうばわれにけり
焼き鯖に我を害する意図はなし おにぎり食らえば小骨の刺さる
詠もうとして詠む時いつも良い歌が出てくれば良い と、祈りつつ詠む
あるときは一言足らず、あるときは二言多い歌のかなしさ
はみ出たり足りなかったりする言葉 ぴったりとはまる君はどこかな
見し人はいかに暮らすや 時隔て親しかりしもうとくなりゆく
特別なすき焼きのために松阪牛包む経木は手のひらに重し
この世をば何にたとへむ 微かなる星のまたたく砂漠ゆく旅
ダブリンの大いなる海のごと母の、切なる願いを拒絶した日
プラ製のコップがコンロの火に焦がれ煮えるチーズフォンデュのごと 夢
死せる人に心伝えるたよりあらば告げずの罪も軽くならまし
銀メダル取った人より銅の人がしばしばうれしそうなのなんで?
ビリヤニが作れればほらみんな速水もこみちになれる世界だ
黄金の油を白き春雨に注ぐかな イースター遠き日のピェンロー
とどまらぬ「悲し」に助詞を連れ合わせ連体形でそっと終わらす
己という器に載ったわずかなるわずかなるものを人に遣りたし
「大丈夫、死なない」とかよくいうけどさ なるよしょっちゅう戦闘不能
はじめより歌の上手は夢にこそ 花咲きえたる春はこれから
十年も経てば忘れるすれ違いの今日これほどに痛むのはなぜ
心臓を病みたる伯父の手のひらは冷え性のおれの手より冷たし
おうちではふていけいですダルダルです 外でる日だけ 人の形を取る
井戸端
井戸端の過去のページを訪れてもう会えない人へアイコンを付す
娘連れ、揺れつつ進むバスの中、人と話せるスクボ最高
詞書:/teyolifelog/ナイス.iconがブランドアイコンであったとき、よめる
左上にいいね!をしてくる人がおり今日はいい日になる気がするぜ
ブランドアイコンから消えたとき、またよめる
左上のいいねをする人がいなくてもきっと明日はいい日になるさ
わたくしの わたくしの罪でございます 「ルンバが助けを求めています」
たいらかな眠り求めたおまじない 役に立たない 日まで出てきた
洗顔後すぐ化粧水をして保湿、これほど肌がみちがえるとは
¥498ミックスナッツお徳用 持って揺らすとこそこそ喋る
見づらいと言われて顔に下地塗るわが衣手はグレーになりつつ
ひと月の食費削って買った本 この本の背にカッターを入れる
裁断の本の身体は行く手なく 魂のみが電子に泳ぐ
「おかえり」と扉の先で迎えるは半額190円の芳香
プラレールまじまじと見る甥っ子の横顔の内の母の面影
閉館のチャイム鳴るまで調べ居る君のおともはスイートブール
眠れない夜は人にそれぞれ 願わくば深い眠りのありますことを
譲られし歌集、CD、集めた本に査定下れり¥2,160
痛み止め打ちつつ打席に立つごとく仕事をする のは 何の縁ぞも
シアバターの小豆くらいのひと欠片 手のひらの熱でそっと消えゆく
大病院前で下車押す腰痛の人が見えざり もう一週間も
絶え絶えになるし心は散り散りに なんで なる早案件 こんなに
ひたすらに今だけしのぐ ハンカチに垂らす精油の香りをよすがに
俳諧歌
大方の秋行くものとながめれば地平に遥か洩るパスワード
cFQ2f7LRuLYP_black.iconだった頃のアイコンの話
涙なす玉ねぎは胎児に変わり果て 歌えば皆の目から玉ねぎ
玉ねぎの涙の赤子の歌声に皆の涙が玉ねぎになる動画.icon
星々の底に死しても、好奇心は、船に灯って加速してゆく
信号を記録を知識を託された 僕は誰かに渡せただろうか?
Outer Wilds.icon
力なき人々のため蘇れ魔攻破邪神ザルビオスロボ
ボボボーボ・ボーボボ.icon
しなやかな肩のラインと脚線美 ほら新しい私をごらん
鳥獣戯画ジム.icon
雑
井戸端にスケベトークをこきまぜて春の話を咲かせてしがな
わかりづらいネタを置いても「ネタだね」とみやぶる人のいるあたたかさ
鍋煮立つごぼうささがき白だしにもつ鍋作るそのもつ鍋を
俳句集
7文字で語感が良い単語は俳句にも使いやすいより
アムステルダム
初春やアムステルダムサムネ入り
ホモサピエンス
目覚めたるホモサピエンス法を説き
好きSummer498.icon
九十九里浜
昼過ぎの九十九里浜一里旅
それはさておき
将来のそれはさておき花見酒
好きSummer498.icon
洗濯バサミ
古ぼけて洗濯バサミ崩れけり
たまごふりかけ
揺り袋たまごふりかけ飯に落つ
もみじ饅頭
初孫がもみじ饅頭食ひており
我が孫がもみじ饅頭食うておる
ピテカントロプス
骨残しピテカントロプス眠りけり
骨残して眠るっていう表現が良いimo.icon
パラサウロロフス
声たてて啼けるやパラサウロロフス
好きSummer498.icon
木犀の衣羽織るか朝の風