紫の色濃きときはめもはるに野なる草木ぞわかれざりける
義妹の夫に対して詠んだ歌cFQ2f7LRuLYP.icon
文脈
義妹の家は貧乏をしている。召使いもいないので、12月の晦日、明日の新春の賀に夫の来ていく礼服を、義妹は手ずから洗濯をしなければならないほどだった。
一生懸命にはしたけれど、洗濯のような、身分の低い者がする家事に慣れていない。つい服の肩を破ってしまう。義妹はどうしようもなくて、ただ泣くほかなかった。
伊勢物語の主人公の男はこれを聞いて気の毒に思ったので、立派な緑の礼服を見つけて渡すときにこの歌を渡した
紫草の色濃いときは、目の届くはるかまで、野に生えている草木はみな紫草と区別がつきません。
妻を愛する心が強いので、その縁者であるあなたのことも他人事には思えないのです。
わかれざりける
わく(現代語わける)の未然形
助動詞るの未然形
助動詞ずの連用形
助動詞けりの連体形
技法
掛詞
芽も張るに
新春の日で若草の芽が伸びる気持ち
目も遥(はる)に
野邊を見渡す気持ち
ここ後述の「武蔵野」が念頭にあるのでは、と思ってるcFQ2f7LRuLYP.icon
「春」もあるcFQ2f7LRuLYP.icon
関連
美しい紫草の一本があるがために、武蔵野にある草はすべて、すばらしいと思う。 そうかもしれません。面白い着眼点cFQ2f7LRuLYP.icon
後者は伊勢物語の四十一段に収録されており、この歌をバッチリ覚えておきたいのだがどうも覚えられない
前者の方が好きなせいもあるかも。「武蔵野」という具体的場所があるとこに六歌仙の頃よりさらに前の歌風を感じさせる
万葉と古今の空隙
注釈の本文化(古今集仮名序にもあるやつ)
もう少し説明しろよという気持ちと、な、なんという的確で簡潔な注なんだッという感嘆の気持ちが併存している
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ときメモで引用されている?
あっ略称か…