「マルクスの大霊言」では近代資本主義経済批判にはなっても、現代社会の危機への処方箋にはなり得ない
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1. そもそもSDGsの取り組み自体の解像度が低いんじゃない?
前提として、この本は「SDGsは大衆のアヘンである!」というタグラインが過激かつ、一部インテリ(風)層に支持されている一面もある
このレビュアーは「便乗ビジネス(惨事便乗型資本主義)には辟易している」といい作中の理論に大方同意 しかし、本来のSDGsはこういった設計をされていない SDGs達成度は200個以上の項目が設定されている
その項目の3分の1以上は、データがまともに取られてきたことがない指標(生物多様性関連指標など) 今回のSDGsの取り組みでは、そういったものを「可視化していこうよ!」という取り組みである
tkgshn.iconなるほど、さすがは国連といったところだろうか。正統派の力を感じる。 当初からその混用がもたらす語義の拡大解釈や混乱に「ソーカル事件」を念頭に懸念を表明する研究者が多数いた そもそもあんまりこの人新世というワードの使い方が微妙 タイトルに「人新世」を謳いながらこうした基本的な事実誤認があるようでは、「マルクスが地球環境危機に有用である」という主張をノーベル化学賞受賞者の名前で権威付けして補強したいがためのアリバイ作り程度にしか、この著者も人新世を巡る議論を理解していないと思われてしまうのではないか。
これはまあどっちでもいい批判かもwtkgshn.icon
3. 無理やりマルクスと紐付けがち
そもそもこの本で紹介されている概念や批判は目新しいもんではない
しかし、これらを「マルクスの遺言」という形に無理やり紐づけるのはどうだろうか
4の批判もかなりみたようなものだと思う
「世界を1つにする」みたいなのをわざわざマルクスにする必要はない
7. まとめ:マルクスの紹介としてはいいけど、それらはこれだけでは語りえない
マルクスのエコロジカルな思想の全貌を詳らかにするという著者の研究には敬意を払うものであり、その知られざる構想を紹介する部分については☆5つではある。が、ここまで批判してきたように、本書はあくまでマルクスのオリジナルな思想を、現代社会への処方箋としての復活を唱える呪文としか読めないので☆1つ。
kota-yata.iconこれ今読んでてめっちゃ思う。まだ半分だけどほとんどがマルクスの思考の変遷を追ってる文章で、マルクスに関する知見は得られるけど結局「共同体の中でどうやりがいを見つけるの?」とかそういうコミュニズムに対する素朴な疑問が解決されないままでいる状態。資本主義を知ってしまった現代社会の人々に古来の共同体の精神を叩き込むのは不可能なんじゃない?というお気持ちで読み進めてる
その後に古典を遡れるかどうかが、この本をちゃんと読む(ちゃんとってむずいけど)が大事そう。 /icons/hr.icon
「使用価値経済への転換(回帰)」の理論は、現代では役に立たない そもそも、グローバル化した今は誰にとっての使用価値で決めるのだろうか?