デイリータスクリスト
Will-doリストをさらに拡張したものが〈デイリータスクリスト〉です。デイリータスクリストには、「やる」と決めたことだけでなく、実際にやることのすべてを集めます。 ■運用
基本的にはWill-doリストの運用を継承しますが、二つ違いがあります。
その2:定期的な〈タスク〉も加える
Will-doリストは、「朝の自分がやろうと決めたこと」を確認するツールなので、細かい作業を書き込む必要はありません。しかし、デイリータスクリストにはタスクレベルでやるべきことを書き込みます。「企画Aに着手する」ではなく、「新規ファイルを作成する」という粒度で記入します。
また「ゴミ捨て」や「夕食の準備」のように、定期的に繰り返して実施しているタスク(〈ルーチン〉)についても書き込みます。こうした作業は、いちいち思い出す必要はありませんし、取りかかるための意志も必要ないので、Will-doリストでは無視できますが、デイリータスクリストには書き込みます。そうすることで、このリストが一日の作業の伴走者となってくれるからです。まずリストを見て、一番上の作業を実行し、その作業が終わったら、再びリストを見て次にとりかかる作業を確認する。それを繰り返すことで、一日分の作業がスムーズに進められます。つまり、一日の行動のレールとなるのがデイリータスクリストです。 ■効用
デイリータスクリストには、その日に行うことが(ある程度の粒度で)すべて集められています。つまり、「今日やること」が一覧できます。その一覧を見れば、その日に必要な行動の総量だけではく、必要な時間の総量も見えてきます。
たとえば、ゴミ捨てなどはいちいちリストに書かなくても実行に移せるでしょうし、それで問題なさそうに思えます。しかし、どれだけ簡単に実行できることでも、その行動には現実的な時間がかかります。そのような計算していない時間が積み重なっていくと、最後には〈計画〉が破綻します。 たとえば、ゴミ捨てに五分かかるとしましょう。五分であれば、意識では誤差のようなものであり、時間の見積もりには入ってきません。しかし、現実に五分の時間を使えば、それは一日のうちの五分を、つまり千四百四十分の五日を消費したことになります。それが十二個も集まれば、一時間が消えてなくなります。
結果、「今日はもっと作業ができるはずだったのに、なぜか時間が足りなかった」という状況が生じます。これを、〈時間の行方不明〉と呼ぶことにしましょう。このような状況では、タスク管理はなかなかうまくいきません。管理すべき対象が把握できていないからです。
あらゆる作業を細かく登録していくこともできるでしょうし(〈タスクシュート〉)、ある程度の粒度に留めることもできるでしょう。ともかく、その日に取る行動を列挙して、それらを把握するようにすれば、行動管理は前に進みます。 ■応用
作業に取りかかる順番は、必ずしもリストの順番通りでなくてもかまいませんが、可能な限り上から実行するようにしておくと迷いがなくなります。迷いは、〈脱線〉の呼び水となるので、どれから着手するのかで悩まないように、明確なルールを持っておく方がよいでしょう。
ある程度慣れてきたら、早めに取りかかった方がよい作業をリストの上部に記入したり、続けて実行した方がよい作業は連続して記入したり、といった使い方もできます。少しだけ、未来の自分の行動に今の自分が関与する感覚が味わえるでしょう。
ちなみに、このリストもクローズリストになります。後からは、できる限りタスクを追加しません。もし、頻繁にタスクを追加している場合は、朝の「今日やること」の決め方を見直した方がよいでしょう。見過ごしていることや欠落している情報があるかもしれません。リストの未消化が続いている場合も同様です。