ポール・ロワイヤル論理学
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パリに生まれ、ソルボンヌ大学で神学を学び、ジャンセニスムに傾倒する。ソルボンヌ時代に執筆したイエズス会批判の代表的著述に『イエズス会士たちの倫理神学』がある。ジャンセニスム弾圧の動きのなかで1656年にソルボンヌを追われ、以後ポール・ロワイヤル修道院で抵抗運動を組織する。修道士の教育のために『ポール・ロワイヤル文法』(1660年、ランスロとの共著)、『ポール・ロワイヤル論理学』(1662年、ニコルとの共著)を著述した。 17世紀のジャンセニズムの拠点として著名なポール・ロワイヤル修道院。その学校でアルノーとニコルが執筆した本書は、デカルトやパスカルの最新哲学を取り入れた論理学の教科書であり、現代までフランス人の思考方法の規範となった古典である。リセや大学で使用され、翻訳を通じて広く西洋知識界に浸透し、フーコー『言葉と物 : 人文科学の考古学』でも扱われた著名なテクストを、1683年の第5版からついに全訳。 目次
新版へのまえがき
はしがき
第一講話 この新しい論理学の計画が示される
第二講話 この論理学に対してなされた主要な反論への答弁が含まれる論理学あるいは思考の技法
第一部 観念についての反省、あるいは認知すると呼ばれる精神の最初のはたらきについての反省が含まれる
第一章 その本性と起源にしたがって考察された観念について
第二章 その対象にしたがって考察された観念について
第三章 アリストテレスの十のカテゴリーについて
第四章 ものの観念およびしるしの観念について
第五章 その合成性あるいは単純性にしたがって考察された観念について。ここでは抽象あるいは正確さによって知る仕方が語られる
第六章 その一般性、特殊性、個別性にしたがって考察された観念について
第七章 五種の普遍的な観念、すなわち類、種、種差、特性、偶有性について
第八章 複合語およびその普遍性あるいは特殊性について
第九章 観念の明晰さと判明さ、およびその曖昧さと不明瞭さについて
第十章 道徳から引き出された不明瞭で曖昧な観念のいくつかの例
第十一章 われわれの思考や言説を不明瞭にするもう一つの原因について。それは、われわれがそれらを語に結びつけることにある
第十二章 語の不明瞭さから生じる、思考や談話の不明瞭さの救済策について。ここでは用いられる名前を定義する必要性と有用性、および実在的定義と名目的定義との差異が語られる
第十三章 名目的定義に関する重要な考察
第十四章 他の種類の名目的定義について。それによって名前が慣用的に意味しているものが示される
第十五章 精神が、語によって正確に示されている観念に付け加える観念について
第二部 判断について人が反省してきたことが含まれる
第一章 命題との関係における語について
第二章 動詞について
第三章 命題とは何か。四種類の命題について
第四章 同じ主語と同じ述語をもつ命題間の対当について
第五章 単純命題と合成命題について。合成的と見えてもそうではない単純命題があり、それを複合命題と呼ぶことができること。主語あるいは述語から複合されている命題について
第六章 複合命題の一部をなす挿入命題の本性について
第七章 複合語および挿入命題においてありうる虚偽について
第八章 肯定・否定による複合命題について。哲学者たちが様相的と呼ぶこの命題の一種について
第九章 合成命題のさまざまな種類について
第十章 意味上の合成命題について
第十一章 あまり通常ではない仕方で表現されたある命題において、その主語と述語とを識別するための考察
第十二章 二つの主語に相当する不明瞭な主語について
第十三章 命題が全称的か特称的かを知るための他の考察
第十四章 しるしにものの名前が与えられている命題について
第十五章 諸学問においてよく使われる二種類の命題、すなわち分割と定義。まず分割について
第十六章 実在的定義と呼ばれる定義について
第十七章 命題の換位について。ここでは換位が依存する肯定・否定の本性がさらに徹底的に説明される。まず肯定の本性について
第十八章 肯定命題の換位について
第十九章 否定命題の本性について
第二十章 否定命題の換位について
第三部 推理について
第一章 推理の本性について。ありうるさまざまな推理の種類について
第二章 三段論法を単純と連言とに分け、単純三段論法を非複合と複合とに分けること
第三章 単純・非複合三段論法の一般的な規則
第四章 三段論法一般の格と式について。四つの格しかないこと
第五章 第一格の規則、式、基礎
第六章 第二格の規則、式、基礎
第七章 第三格の規則、式、基礎
第八章 第四格の式について
第九章 複合三段論法について。いかにしてそれを普通の三段論法に還元し、同じ規則で判断しうるか
第十章 格や式にまったく還元せずに、すべての三段論法の是非を判断できる一般的な原理
第十一章 この一般的原理を、混乱していると思われるいくつかの三段論法に適用すること
第十二章 連言三段論法について
第十三章 結論が条件的である三段論法について
第十四章 省略三段論法と省略文について
第十五章 三つ以上の命題による複合三段論法について
第十六章 ディレンマについて
第十七章 議論を見出すトポスあるいは方法について。この方法がいかに実用にならないか
第十八章 トポスを、文法・論理学・形而上学のトポスに区分すること
第十九章 詭弁と呼ばれる妥当でない推理のさまざまな仕方について
第二十章 社会生活や日常会話においてなされる妥当でない推理について
第四部 方法について
第一章 学問的知識について。そのようなものがあること。精神によって知られるものは、感覚によって知られるものよりも確実であること。人間精神には知りえないものがあること。この必要な無知から引き出される有用性
第二章 分析と総合という二種類の方法について。分析の例
第三章 構成の方法、とくに幾何学者が遵守する方法について
第四章 以上の規則に対するより詳しい説明。まず定義に関する規則
第五章 幾何学者は、ことばの定義とものの定義との間にある違いを、必ずしもつねに正しく理解していたようには見えないこと
第六章 公理、すなわちそれ自身で明晰で明証的な命題に関する規則について
第七章 偉大な真理の原理として使えるいくつかの重要な公理
第八章 論証に関する規則について
第九章 幾何学者の方法において通常見出されるいくつかの欠陥について
第十章 この主題について幾何学者が述べていることへの答弁
第十一章 八つの主要な原理に還元された学問の方法
第十二章 人間的な信頼であれ神的な信頼であれ、われわれが信頼によって認識するものについて
第十三章 人間的な信頼に依存する出来事の確信において、理性を正しく導くためのいくつかの規則
第十四章 前記の規則を奇跡の確信に適用すること
第十五章 出来事の確信という同じ主題についてのもう一つの注意
第十六章 未来の出来事についてなすべき判断について
訳者解説
事項索引
人名索引