はじめて学ぶ文化人類学
はじめて学ぶ文化人類学
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人物・古典・名著からの誘い
内容
19世紀後半から現在まで150年に及ぶ文化人類学の展開の軌跡を、主要な研究者の生涯と業績・著作に焦点を当て読み解く。文化人類学の初学者にも最適な入門テキスト。古典から最新の研究動向までカバーし、人類学の大きな学問潮流を捉える道案内(ガイド)を提供する。
[ここがポイント]
◎ 文化人類学の潮流を、大きな思想の流れとして把握できる
◎ 主 要な研究者・業績・著作のエッセンスを一冊に凝縮
◎日本を代表する文化人類学者もコラムで紹介
目次
はじめに
Ⅰ 文化人類学の形成
【社会・文化進化論と文化概念】
若きタイラーと人類学の誕生
文化を定義する
タイラーとフレイザー
【文化伝播論】
今日のシュミット
シュミットの生涯
ドイツ語圏民族学の系譜
シュミットの原始一神教説
文化圏体系の展開と崩壊
日本への影響
【歴史的個別主義】
アメリカ人類学の祖
ドイツ,そしてアメリカ合衆国
文化概念の基礎理論
民族誌における共同作業
ハントがボアズに託した未来
【フランス民族学の形成】
フランス社会学派とモース
研究者としての経歴
具体性の学としての民族学
全体性への志向性
全体的人間
全体性から〈開かれ〉へ
【機能主義】
科学としての人類学──参与観察における徹底した経験主義の追求
機能主義人類学──人間の要求(needs)と心理
植民地統治と文化接触研究=実用的人類学
【機能主義】
構造機能主義の提唱者
生い立ちと経歴
ラドクリフ=ブラウンの構造機能主義の特徴
タブーの社会的機能
冗談関係の社会的機能
その後の展開
【文化論】
文化の真髄を求めて
文学から人類学へ
『文化の型』
『菊と刀』
文化相対主義
後代への影響
【文化とパーソナリティ】
ジェンダー研究の先駆者
生い立ちと経歴
サモア調査とサモア少女の性行動
セピック川流域社会調査と男女の気質
異なる文化の男女比較研究
フリーマンによるミード批判
【総合人類学】
最後の総合人類学者
生い立ちと経歴
ナバホ研究
応用人類学と政策
コラム 岡 正雄
コラム 杉浦健一
コラム 馬淵東一
コラム 大林太良
Ⅱ 文化人類学の展開
【新進化主義】
レスリー・ホワイトの人類学と時代的背景
生い立ちと業績
ホワイトの新進化主義理論(一般進化主義理論)
文化学,あるいは文化の科学
ホワイトの理論と現在の人類学
【新進化主義】
文化生態学の提唱者
生い立ちと経歴
多系進化論と文化生態学
ショショニ文化の文化生態学的研究
初期農耕文明の発展に関する研究
問題点とその後の展開
コラム 梅棹忠夫
【生態人類学】
文化生態学から生態人類学へ
生い立ちと経歴
パプアニューギニア高地マリンのカイコ儀礼に関する生態人類学研究
エネルギー研究の成果
ラパポートの研究の重要性とその後の展開
【生態人類学】
現存する狩猟採集民の研究の先導者
人物と狩猟採集民研究
著作とサン研究の展開
コラム 渡辺 仁
コラム 田中二郎
【認識人類学】
モノグラフとしての人類学の到達点
生い立ちと経歴
民俗分類──言語学の応用による方法概念の確立
色彩名称──カテゴリー化の個別性とプロセスへの着目
農耕の知識──時空間上に資源利用と土地管理の個別データを図示
優れた記述──敬意を払うこと,厳格であること,責任をもつこと
その後の展開──“人類学的探究のクライマックス”としての輝き
コラム 福井勝義
理論派人類学者
生い立ちと経歴
博士論文とフィールドワーク
経済人類学と社会の動態
太平洋諸島と構造主義歴史人類学
論争と文化理論
【ポリティカル・エコノミー論】
資本主義・歴史・権力
世界を説明する
ポリティカル・エコノミー研究
『ヨーロッパと歴史なき人々』
文化と権力
【象徴人類学】
動的象徴人類学の開拓者
生い立ちと経歴 儀礼の過程
コミュニタスと社会構造
巡礼とコミュニタス
社会劇と文化的パフォーマンス
ターナーの象徴論の今日的意義
【象徴人類学】
移りゆく人類学
象徴人類学への転回
『アメリカの親族関係──文化的記述』
『親族研究批判』
その後の展開
コラム 山口昌男
【解釈人類学】
ギアツと解釈人類学
「遍歴」
書かれたもの
書かれたこと,言われたこと
【エスニシティ論】
単線的理解
生い立ちと経歴
スワート社会の民族誌
構造機能主義批判
エスニシティ論
その後の展開
【ナショナリズム・国家論】
変貌するナショナリズム
生い立ち,知的遍歴
フィールドワーク,脱線,人類学的距離
『想像の共同体』へ
出版資本主義をめぐるナショナリズムの起源と流行
ナショナリズムからアナーキズムへ
コラム 綾部恒雄
【人文学的人類学】
文化の翻訳者
生い立ちと経歴
『アザンデ人の世界』
『ヌアー族』
その後の展開
【構造論的社会人類学】
理論家のフィールドワーカー
生い立ちと経歴
「親族」研究
「一次的要因」と分類研究
社会人類学の王道
【象徴論】
生い立ちと経歴
『高地ビルマ』の独創性
グムサ,グムラオ,シャン
マユ-ダマ関係
歴史,構造,個人
その後の展開
【象徴論】
センザンコウに魅せられる人類学者たち
生い立ちと経歴,研究
理論上の特色
コラム 中根千枝
構造という方法と思想
生い立ちと経歴
インセストタブーと縁組
神話の構造
その後の展開
【マルクス主義人類学】
経済史と人類学を橋渡しする
ビッグマンとグレートマン
想像されたものと生きられたもの
【実践理論】
人類学者ブルデュー
学問界の「よそ者」
アルジェリアの結婚戦略
決定論という批判
【象徴論】
人類学から認知科学へ
主な研究活動
象徴表現への認知的アプローチ
理論人類学と表象の疫学
その後の展開
コラム 川田順造
Ⅲ 文化人類学への批判と新たな展開
【批判・自省的人類学(ポストコロニアル人類学)】
精緻な調査と幅広いテーマ
人類学者一家に生まれて
非単系出自論の展開
伝統概念論とポストコロニアル人類学
言語,宗教,歴史ほか
【批判・自省的人類学(ポストコロニアル人類学)】
領域を横断する
脱中心化する知識人
翻訳,節合,パフォーマンス
別の場所へ向けて
【実践コミュニティ論】
学習とは
経歴
状況に埋め込まれた学習
展開と限界
【環境人類学】
環境人類学に歴史的視点を導入
フロリダからアマゾンへ
森に刻まれた歴史
アマゾンの歴史生態学から人新世の人類学へ
【ジェンダー論】
セックス/ジェンダー化された主体を問う
生い立ちと経歴
『ジェンダー・トラブル』の衝撃
主体概念と攪乱
バトラーへの批判
理論的考察から政治的協働へ?
【医療人類学】
医療人類学の推進者
生い立ちと経歴
象徴システムとしての医療
病いの語り
システムから物語へ
人生においてかけがえのないものは何か
その後の発展
【医療人類学】
北米医療人類学ムーブメント
生い立ちと経歴
マーガレット・ロックの医療人類学の特徴
『都市日本における東アジア医療』
西洋医師(西洋医)の多様性
ローカル・バイオロジーズ
『アルツハイマー病の謎』
【実践人類学(公共人類学)】
参加型調査法のパイオニア
植民地行政官から開発研究者へ
見逃される貧困
望ましい農村調査法
参加型開発と参与観察
【グローバリゼーション論】
アパドゥライとは?
グローバリゼーションと想像力
想像力の複数性
アパドゥライの使い方
【存在論的人類学】
特異な存在感
生い立ちと経歴
『贈与のジェンダー』
『部分的つながり』
多様な読解へ
【存在論的人類学】
図(ダイアグラム)とテクスト
芸術の人類学の方法
分配され拡張する人格,作品の中の時間と心
『芸術とエージェンシー』のその後
【存在論的人類学】
関係性の人類学の推進者
生い立ちと経歴
1970〜90年代初頭──北極圏,トナカイ,狩猟採集民族と放牧
2000年代以降
今後の展開
【存在論的人類学】
人間と自然の関わりを捉える
哲学から人類学へ
自然と文化を超えて
新しい自然の人類学に向けて
【存在論的人類学】
アクター・ネットワーク理論の主唱者
科学的実践の民族誌
近代化批判とコスモポリティクス
【存在論的人類学】
ブラジルで人類学をすること
アマゾニアの社会,自然と文化
アマゾニア先住民の思想と人類学
【存在論的人類学】
来歴
疾病の人類学と実践誌
身体の多重性とそれを実現する3つのメカニズム
〈誰〉から〈何へ〉,選択からケアへ
その後の展開
人名・事項索引