ブロニスワフ・マリノフスキ
マリノフスキが文化を捉える態度は、これまでの進化主義的な人類学と区別して機能主義人類学と呼ばれる。それは現存する文化を、相互に関係して働いている諸要素の集合体として捉え、それら諸要素が文化形成に及ぼす機能を分析する手法のことを指している。 トロブリアンド諸島での調査の成果は、彼の主著である『西太平洋の遠洋航海者』(Argonauts of the Western Pacific)として1922年に発表される。この本の中でマリノフスキはクラと呼ばれる島と島の間で行われる財貨(腕輪や首飾り)の交易を分析し、クラが経済的な財の交換だけでなく、島と島を結ぶ社会秩序の形成と持続の機能も果たす儀礼的な制度であることを明らかにした。