根本原因分析
品質保証活動や健全な安全文化のためには、リスク管理活動の重要構成要素である「経験のフィードバック活動」、つまり過去の過誤から学ぶ活動が重要である。
「正しいことを第一回目から正しく行う」ことは最善である。 しかし、それは永遠の課題であるから、我々は次善の策ではあるが達成可能性の高い「正しいことを第二回目から正しく行う」べく、過去の過誤から学ぶべきなのである。
大きな事故については政府機関の調査分析活動が行なわれて報告が刊行されているし、そうした知見交換のための国際会議、研究会もよく開かれている。
また、ヒヤリハット事例の収集分析の重要性も指摘されている。
大事なことは報告する文化、学習する文化である。
そして学習が効果的であるためには、こうした分析において、事故なり失敗には兆候があり、直接(見かけ)の原因があり、根本原因があるところ、この根本原因を見出すことである。
通常これは人、技術、そして手順の問題のいずれか、またはそれらの組み合わせとして見出される。
安全文化に即していえば、この根本原因は
1. リーダーシップの掲げた安全方針自体の欠陥、
2. 安全方針の実施体制の欠陥、
3. 実施内容を解析したリスクアセスメントの不十分さ、
そしてリスクアセスメントの欠陥を細分すると、
安全目標が不適切、
技術情報の収集取り扱いが不適切、
リスク解析が不十分、
教育・訓練等の安全に係る活動の現実の理解 が不十分、
のいずれかまたはその組み合わせに帰着できる。
このことがリーダーシップにフィードバックされて始めて意味のある改善が可能になるのである。
RCAを効果的に行うには、分析経験と、多くの分析時間が必要である。