自己言及的な文の一覧
あくまでも自然言語的に端的に言える文を対象とする.
この文はウソだ!
状況整理
この世界の文は,本当かウソのどちらかであり,どちらでもある/どちらでもないといった状況は認めないとする.
「この文」とするとややこしいので,$ Sとする.
$ Sが実際に本当だったとする.
$ Sは「$ Sはウソだ!」と意味していることになるので,$ Sはウソである.
ところが,本当でありかつウソでもあるといった状況は認められないので,破綻する.
$ Sは実際にはウソだったとする.
すると「$ Sはウソだ!」はウソで,$ Sは「$ Sは本当だ!」と意味していることになるので,$ Sは本当である.
ところが,やはりこの状況は認められないので,破綻する.
よって,$ Sはどちらとも出来ないのである.
この文は本当だ!
状況整理
嘘つき文の状況を引き継ぐ.
「この文」は$ S'とする.
$ S'が実際に本当だったとする.
$ S'は「$ S'は本当だ!」と意味していることになるので,$ S'は本当である.
実際と意味内容が一致しているので,別に破綻しない.
$ S'が実際にはウソだったとする.
すると「$ S'は本当だ!」はウソで,$ S'は「$ S'はウソだ!」と意味していることになるので,$ S'はウソである.
実際と意味内容が一致しているので,こちらでも破綻しない.
よって,$ S'はどちらとも出来るのである.
この文は証明できない!
非可証性(Unprovablility)に基づいた文. 実際にはこういう形式をしている
$ T \vdash G \leftrightarrow \lnot\mathrm{Pr}_T(\ulcorner G \urcorner)
自分自身の非可証性が証明可能である.
$ T \nvdash Gであり,$ T \nvdash \lnot Gでもある.
大雑把には
$ Rは$ \mathcal{P}_Rという証明をもって証明可能で,かつ,$ \mathcal{P}_RよりGödel数の小さいいかなる証明によっても$ \lnot Rが証明されない.
$ T \nvdash Rであり,$ T \nvdash \lnot Rでもある.
この文は証明できる!
実際にはこういう形式をしている
$ T \vdash H \leftrightarrow \mathrm{Pr}_T(\ulcorner H \urcorner)
自分自身の可証性が証明可能である.
この文は反証できる!
$ T \vdash J \leftrightarrow \mathrm{Pr}_T(\ulcorner \lnot J \urcorner)
非可証性と反証性が明確に区別されるような(あるいは反証性が一級市民であるような)体系で検証される. 参照?
この文が正しいと仮定すると…
この文は13文字以下だ!
題は間違っている.この文は13文字以下だ!は12文字である.
正しいのに証明できない文がある,という意味で不完全となるような文を取ることが出来る.
大雑把には,
$ L文字以下では記述出来ない文は確実に存在する,
しかし,その事実は絶対に確かめることは出来ないような,限界の$ Lが存在することが明らかになる.
$ T \vdash N \leftrightarrow \lnot \mathrm{Pr}_T(\ulcorner \lnot N \urcorner)