マーク・フィッシャー
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「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方がたやすい」 いまや資本主義だけが唯一可能な政治・経済的制度だとみなされ、それに代わるオルタナティブは想像することすらできない。そのために深刻な無力感と文化・政治的な不毛さが広がり、わたしたちは「再帰的無能感」に襲われている。うつ病をはじめとしたメンタルヘルスの蔓延は、資本主義が本質的に機能不全であることの証しである。左翼は資本主義そのものを撃たなければならない、というのが『資本主義リアリズム』で書かれたことだった。 資本主義に代わるオルタナティブな社会を想像することすらできない現在の閉塞した社会状況を資本主義リアリズムと呼んだ。マーク・フィッシャーが資本主義リアリズムの例として挙げているのがメンタルヘルス問題の蔓延である。たとえば鬱病などは個人の脳気質的な問題に還元されてしまい、周囲の労働環境や社会構造は考慮されない。そこでの精神の病はどこまでも個人の問題、つまり「自己責任」という新自由主義的な倫理に回収されてしまい、それが翻ってメランコリーをさらに深刻化させる。こうした資本主義リアリズムが支配化した社会に見られるストレスと無力感