東地中海世界
東地中海のシリア・パレスチナはエジプトとメソポタミアをつなぐ通路として,地中海への入り口として,要衝であった.
前1500年ごろからセム語系のカナーン人が交易で活用した.
前13世紀ごろにはギリシャのエーゲ海地方から海の民と呼ばれる人々が進出し,この地域を支配していたエジプトのヒッタイト人の勢力の後退に乗じて,セム語系のアラム人やフェニキア人,ヘブライ人が活動を開始した.
アラム人はシリアに多くの都市国家を建設し,前1200年頃からダマスクスを中心に内陸都市を結ぶ中継貿易に活躍した.
このため,アラム語が国際商業語として広く用いられるようになり,アラム文字が楔形文字に変わってオリエント世界で用いられる多くの文字の源流となった.
フェニキア人はシドンやティルスなどの都市国家を建設し,クレタ文明やミケーネ文明が衰えた後を受けて地中海貿易を独占し,北アフリカのカルタゴをはじめとする多くの植民都市を建設した.
カナーン人が用いていた表音文字からフェニキア文字を作り,これをギリシャ人に伝えてアルファベットの起源を作った.
ヘブライ人は遊牧民であり,前1500年ごろにパレスチナに定住し,一部はエジプトに移住した.
エジプトでは新王国のファラオによる圧政に苦しみ,前13世紀ごろにモーセのもとパレスチナに脱出した(出エジプト).
統一王国の基礎を固め,前10世紀ごろにはダヴィデ王と,その子であるソロモン王のもと栄えていたが,ソロモン王の死後には北にイスラエル王国,南にユダ王国と分裂した.
イスラエル王国は前722年にアッシリアに滅ぼされ,ユダ王国も新バビロニアに征服され住民の多くはバビロンに連れ去れらた(バビロン捕囚).
ヘブライ人はヤハウェへの信仰から,ユダヤ人(ヘブライ人)は特別の恩恵を与えられているという選民思想や救世主(メシア)の出現を待望する信仰が生まれた.
バビロン捕囚から解放され帰国するとエルサレムにヤハウェの神殿を興し,ユダヤ教を確立した.
イエスによる新約聖書と,ユダヤ教の教典である旧約聖書と合わせてキリスト教の教典となり,ヨーロッパ人の思想や芸術の礎となった.