胆道癌取扱い規約(第7版)第6版からの変更点(病理)
https://gyazo.com/b893c8840894d1c1f97f5badd6caacb6
nananana.icon WHO、UICCにあわせて修正がなされている。
nananana.icon 最初に改訂項目が列挙されている。
nananana.icon 改訂された部分を欄外にマーキングするなどの処置は本規約ではされていない。
nananana.icon 出版から半年経過した202110現在、出版社および学会ウェブサイトに正誤表は掲載されていない
遠位胆管癌で、浸潤の深さ評価にITTとDOIを導入した
浸潤癌成分の厚み(Invasive tumor thickness) ITT (mm)
上皮下の基底膜を基準とした浸潤最先端部までの距離(Depth of invasion) DOI (mm)
分化度がWel Mod Porの3段階になった。
腺癌 Adenocarcinoma 腺癌
高分化型 (wel)
中分化型 (mod)
低分化型 (por)
AFPおよびNET関連疾患の名称変更と廃止
AFP産生腺癌 AFP-secreting carcinoma (第6版:alpha-fetoprotein producing adenocarcinoma)
神経内分泌腫瘍neuroendocrine neoplasm
Neuroendocrine tumor (NET)
Neuroendocrine tumor Grade 1 (NET G1)
NET G2
NET G3
神経内分泌癌 neuroendocrine carcinoma (NEC)
大細胞型 Large cell NEC (LCNEC)
小細胞型 Small cell NEC (SCNEC)
混合性神経内分泌非神経内分泌腫瘍 (MiNEN) Mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm
局所進展度pT因子
規約第7版では、神経周囲侵襲及び脈管内侵襲は深達度の評価に含むこととなった(第6版は含まない)→ ただし、離れている場合には壁深達度としない(存在する壁内の位置は併記すること)
● 肝門部領域胆管Bp 胆嚢管合流部(含まない)より肝臓側(日本規約)
pTX腫瘍評価不能
pT0 腫瘍が明らかでない
pTis (M) carcinoma in situ
pTis(M)-G:付属腺上皮内癌を認める
pTis(M)-G(FM):線維筋層の付属腺に上皮内癌を認める
pTis(M)-G(SS):漿膜下層の付属腺に上皮内癌を認める
pT1 胆管壁までの浸潤
pT1a (M) 粘膜層にとどまる 胆管壁までの浸潤
pT1b (FM) 線維筋層にとどまる 胆管壁までの浸潤
pT2a 胆管壁を越えるが他臓器への浸潤無し
pT2a (SS) 漿膜下層までの浸潤
pT2a(SE) 漿膜浸潤あり
pT2b(SI)(Hinf) 肝実質浸潤を認める
pT3 胆管浸潤優位型の門脈あるいは肝動脈浸潤
pT4a 浸潤が両側肝内胆管二次分岐に及ぶ !4aが無くなり4bが4になった
pT4 門脈本幹あるいは左右分岐への浸潤
pT4 左右肝動脈、固有肝動脈、総肝動脈浸潤への浸潤
pT4 浸潤が片側肝内胆管二次分岐に及び、対側の門脈あるいは肝動脈へ浸潤する
● 遠位胆管Bd 胆嚢管と下部胆管、乳頭部 (3管合流部を含む)
! これまでも遠位胆管の場合に、がん登録のため胆管壁からの浸潤の深さを記載する必要があった
! 日本規約第6版とUICC第8版が合体した
nananana.icon 深達度M~SEについて図示されなくなったため、もともと日本規約における胆管(壁)は周囲脂肪組織や漿膜を(肝動脈や門脈も)含む概念で、TNM分類での胆管壁はM+FM
でSSおよびSEは含まないこととなっている経緯がわかりにくくなった。
遠位胆管ではSEが無くなるので、周囲脂肪組織は胆管壁に含まないとの記載が理解困難になる
pTX腫瘍評価不能
pT0 腫瘍が明らかでない
pTis (M) carcinoma in situ
Tis(M)-G:付属腺上皮内癌を認める
Tis(M)-G(FM):線維筋層の付属腺に上皮内癌を認める
Tis(M)-G(SS):漿膜下層の付属腺に上皮内癌を認める
pT1: DOIが5mm未満の浸潤
pT1 (M) 粘膜層にとどまる
pT1 (FM) 線維筋層にとどまる
pT1 (SS) 漿膜下層までの浸潤
pT2:DOIが 5-12mmの浸潤
pT2 (FM) 線維筋層までの浸潤
pT2 (SS) 漿膜下層までの浸潤
pT2 (SE) 漿膜浸潤
pT2 (SI) 他臓器浸潤 膵、十二指腸、胆嚢、肝など
pT3:胆管壁にDOIが12mmを越える浸潤
pT3(SE) 漿膜浸潤
pT3(SI) 胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、他の周囲臓器浸潤 (上腸間膜静脈、下大静脈などの血管浸潤)
pT4:腹腔動脈、上腸間膜動脈、総肝動脈、門脈に浸潤する腫瘍
● 胆嚢癌pTX
pTX 腫瘍評価不能!xは大文字になった
pT0
pTis 上皮内癌carcinoma in situ
pTis(M)-RAS RAS癌 RAS内上皮内癌は胆嚢壁のどの層であってもTis(M)と表記する
pTis(M)-RAS(M) RAS内上皮内癌で粘膜層に存在します。
pTis(M)-RAS(MP)
pTis(M)-RAS(SS) と表記した場合は上皮内癌がそれぞれの層にあることを示す。
pT1 粘膜固有層または固有筋層に浸潤
pT1a(M) 粘膜層までの浸潤
pT1b(MP) 固有筋層まで
pT2漿膜下層あるいは胆嚢床部筋層周囲の結合組織に浸潤
pT2a(SS) 腹腔側漿膜下層まで
pT2b(SS) 肝側漿膜下層まで
pT3 漿膜浸潤、肝実質浸潤、1カ所の周囲臓器浸潤(肝外胆管、胃十二指腸、大腸、膵臓、大網)
pT3(SE) 腹腔側漿膜浸潤
pT3a(SI)(Hinf) 肝実質浸潤
pT3a(SI) 肝外胆管以外の他臓器浸潤が1カ所ある
pT3b(SI)(Binf) 肝外胆管浸潤
pT4 門脈本幹浸潤、総肝動脈・固有肝動脈浸潤、肝臓以外の2カ所以上の他臓器浸潤
pT4a(SI) 肝臓以外の2カ所以上の周囲臓器浸潤(肝外胆管、胃十二指腸、大腸、膵臓、大網)
pT4b 門脈本幹あるいは総肝動脈・固有肝動脈浸潤
● 乳頭部癌pTX
pTX 腫瘍評価不能
pT0 腫瘍が明らかでない
pTis 上皮内癌
pTis(M)-G(M) 付属腺内の上皮内癌で付属腺が粘膜層にとどまる
pTis(M)-G(OD) 付属腺内の上皮内癌で付属腺がODにある
pT1a 乳頭部粘膜層(M)あるいはOddi括約筋層(OD)までの浸潤
pT1a (M) 粘膜層までの浸潤
pT1a (OD) Oddi括約筋層までの浸潤
pT1b (Du) Oddi括約筋層を越えて周囲に浸潤する
pT1b (Du) 十二指腸粘膜下層内に浸潤する
pT2 (Du) 十二指腸の固有筋層に浸潤する
pT3 膵臓または膵周囲組織に浸潤
pT3a (Panc) 5mm以内の膵実質浸潤
pT3b (Panc) 5mmを越えた膵実質浸潤、膵周囲組織への浸潤、十二指腸漿膜への浸潤
pT4 上腸間膜動脈、腹腔動脈、総肝動脈、門脈に浸潤
実質と間質の量比は廃止
med 髄様型 medullary type
int 中間型 intermediate type
sci 硬性型 scirrhous type
領域横断的癌取扱い規約に一部準拠した
◇ リンパ管浸潤
LyX Ly0 Ly1a Ly1b Ly1c
◇ 静脈浸潤
VX V0 V1a V1b V1c V2
◇ 神経周囲浸潤
PnX Pn0 Pn1a Pn1b Pn1c
膵断端 PM導入 消化管のPM・DMと同じ組み合わせで違う断端を示すことになった ←PCM、DCM
術前治療後の組織学的評価が膵癌取扱い規約第7版に準じて設定された。
薬物・放射線治療後の組織学的効果判定基準
Evans分類
CAP分類
◇ 膵癌取扱い規約における組織学的効果判定基準
治療前の推定腫瘍量に対する生存し得る癌細胞の残存率
Grade 1a: 残存率90%以上
Grade 1b: 残存率50%以上~90%未満
Grade 2: 残存率10%~50%未満
Grade 3: 残存率10%未満
Grade4: 残存無し(上皮内成分の有無を付記すること)
◇ Evansの化学放射線治療効果判定基準 (1992)
変性した腫瘍細胞の割合
Evans GradeⅠ(CAP Grade 3): <10%
Evans GradeⅡa (CAP Grade 3): 10~50%
Evans GradeⅡb (CAP Grade 2): 51~90%
Evans GradeⅢ (CAP Grade 1): >90%
Evans GradeⅣ (CAP Grade 0): 100%
◇ CAP分類
Grade 0 Complete response
Grade 1 Marked response
Grade 2 Moderate response
Grade 3 Poor or no response
◇ 胆道領域リンパ節 pNX NX N0 N1 N2
! UICC(第8版)、AJCC(第8版)、日本規約第7版、日本規約第6版でそれぞれ領域が異なるため注意
! 前の版で膵癌取扱い規約と整合性のためいろいろ変更されたが、今回UICC第8版に準拠した。
! 9、12p、14p、14dがそれぞれで領域リンパ節に変更された
! 8a、8p、13a、13b、12p、12c、5、6、14p、14dは規約ごとに判定が異なるため注意。
! 前の版で12a、12b、12pの亜分類は廃止された
! 下記領域以外のリンパ節転移はpM1とする
! pNXが2まで増えた、Xが大文字になった
pNX:評価不能 pN0:0個
pN1:1~3個 pN2 4個以上
● 肝門部Bp領域リンパ節 胆嚢管合流部(含まない)より肝臓側
8:8a,8p,
12:12h,12a1,12a2,12p1,12p2,12b1,12b2,12c,
13:13a (13bは除く)
● 遠位胆管Bd領域リンパ節 胆嚢管と下部胆管、乳頭部 (3管合流部を含む)
! UICC第8版ではno.9(腹腔動脈周囲リンパ節)も領域リンパ節に含まれる(日本規約第6版では含まない)
→ 第7版で#9も領域リンパ節となった
8: 8a,8p,
9 ← new!
12: 12h,12a1,12a2,12p1,12p2,12b1,12b2,12c,
13: 13a,13b,
14: 14p,14d,
17: 17a,17b,
● 乳頭部
12b、12p
8a、8p
5、6、9、
13a、13b
17a、17b
14p、14d
● 胆嚢
! 9と14が領域リンパ節になった
8:8a,8p,
9:← new!
12:12h,12a1,12a2,12p1,12p2,12b1,12b2,12c,
13:13a (13bは除く)
14:14p 14d ← new!
腹腔洗浄細胞診陽性 pM0 CY1 記号がCYになった。
* 第6版での変更点とがん登録対応
早期胆嚢癌 (日本規約第5版) → リンパ管が少ないので理論的に摘出根治可能
! 組織学的深達度が粘膜(m)内または固有筋層(mp)にとどまるリンパ節転移を問わない。RAS内は粘膜内癌とする。→ 第6版では定義消失 (Tis or T1aが相当)
* UICC(第8版)TNM分類における遠位胆管癌評価
T1:5mm未満の浸潤
T2:5-12mmの浸潤
T3:12mmを越える浸潤
T4:腹腔動脈、上腸間膜動脈、総肝動脈に浸潤する腫瘍
! 遠位胆管の場合(がん登録)のため、胆管壁からの浸潤の深さを記載すること
(参考)
* 胆道癌取扱い規約第5版
* 胆道癌取扱い規約第6版
* 胆道癌取扱い規約第7版 (2021)
* 領域横断的がん取扱い規約第1版
* UICC/TNM第8版
* 病理と臨床 2021 Vol.39 No.6 速報解説!
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