1-2.問題の所在
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ここでは、やかんが初めて発明されたものとして捉え、表現してみよう。
さて、このやかんにつき、どのような発明として把握できたのであろうか。
他の人の結果と比べてみよう。おそらく、違っているはずである。把握が違えば、特許請求の範囲も異なるし、明細書の記述も異なってくる。
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同じ発明につき特許請求の範囲を作成する課題を複数の人に出すと、答えは十人十色で、一つとして同じ表現で発明が特定されることはない。
なぜ同じ発明が人によって違う表現で特定されるのだろうか。
発明情報xを解析して発明を把握し、特許請求の範囲に発明yとして特定するとき、それを方程式で表すと、y=ax+bとなる。
ここで、a及びbは、請求の範囲を記述する者(以下、書き手という)が持つ固有の定数である。
aは、書き手が有する知識(特許法で定める特許請求の範囲についての記載ルールを含む)、物の見方(視点・視野・視座)や分析力、論理的思考力、表現技術などである。
bは、「ずれ」を示す定数であり、固有の物の見方のひとつを示す。これが0でない場合、グラフは原点から外れずれることを意味する。
すなわち、発明の把握につき、「ずれ」が生じているのである。特許法に基づく同じ記載ルールを共通に有し、理解していれば、同じ発明について同じ特許請求の範囲が特定されるわけであるが、実際はそうではない。
その原因は、定数aやbの内容が個人毎に異なるということである。これは、各人の思考方法や表現スキルの問題に大きく起因する。