知財センス
知財センス
明細書を作成するにあたり、各人の思考方法や表現スキルの問題につき、知財センスがよく話題になる。
元キャノン専務で弁理士の丸島儀一氏は、その著書「知的財産戦略」の中で、「知財センス」ついて言及している。
『本書でいう知財センスとは、「権利情報を技術情報に転換する能力と発明を思想化する能力のことを指す。「権利情報を技術情報に転換する能力」というのは、特許を読み、そこに表されている発明の本質を見抜き、それを別の手段で置き換える力のことである。「第三者権利を超越する能力」と言うこともできる。
・・・「発明を思想化する能力」とは、自分の発明をよりよい権利につなげていく能力のことである。・・・研究者は、・・水を向ければいろいろなアイデアを積極的に出してくる。それを適当な「ばらつき」をもたせ、すなわち実施形態にバリエーションを持たせ、思想化した権利とはどのようなものかを見せる。これを数回繰り返せば、研究者はほとんど一人で発明を思想化できるようになるものである。』(丸島儀一「知的財産戦略」ダイヤモンド社P84~85)
丸島氏が指摘する知財センスは、本書でいう発明把握能力に等しい。このセンスを磨くことは、一朝一夕にはいかないが、鍛えれば向上するものである。