Jürgen Habermas「イデオロギーとしての技術と科學」1968
"Technik und Wissenschaft als 〉Ideologie〈"
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「勞働と相互行爲」
まづ精神があり、それが自己反省といふ絕對的な運動のなかでとくに言語、勞働、共同的關係となってあらはれるといふのではなく、言語的記號表現、勞働、相互行爲の辨證法的な聯關によって、はじめて、精神の槪念が定められる
普遍 (A) : 抽象的な自我 (ich)が普遍的であるといふことは、この category がすべての可能な主體に、したがって、わたしといふことばを口にするだれもかれもに個人としてあてはまる 個別 (E) : おなじ自我 (ich)といふ category は、ときには特定の主體を、わたしといふことばによってかけがえなく個性的で一囘かぎりの自己を主張する主體を、さししめすこともできる。 特殊 (B) : 自我 (ich)が個人であるとは、あたへられた座標上に一個體としてくりかへしその位置を確定できるといふ意味と同時に、端的に個性をさししめす固有名詞的な存在だといふ意味をももってゐる。 この過程を精神と呼ぶ
言語
記號的表現・記憶の中閒項
命名する意識
認識する意識
すべての形成過程からきりはなされた先驗的意識一般の綜合作業
普遍性
言語が、あるがままの直觀の獨裁をうちやぶり、混沌とした種々雜多な感覺を整序して、識別しうる事物の像をつくりあげる
うつろいゆく知覺にたいして名前が恆常的なものである
記號が同一物の再認識を可能にする
言語の客觀性が主觀的精神のうへに力をふるふ
表出
表出の力は、直接にあたへられないものを、直接にあたへられるが自分だけで自足するのではなく、他のなにかの代理として働くもののうちに現出させる點にある。表現記號は自分以外の對象や事象をさししめし、さうした事物のわれわれにたいする意味を提示する。
直觀された事象を、それを表現する記號のなかに解消し、かつ保存する
われわれは、記號そのものをつくりだしてゐる。意識 (Bw)は話をするとき記號によってみづからを客體化し、その客體化された記號にたいして自己が主體であることを經驗する。 意識 (Bw)とその對象とのあいだに距離をまうけつつ、自我 (ich)が、みずからうみだした記號を超えて、事象と自分自身とのもとに同時に身をおくことを可能ならしめなければならない 道具
勞働過程の中閒項
老獪な意識
文明
目的論的體系として理解されるかぎりでの自然の究極目的
理性的存在が任意の目的一般にたいして適合性を獲得すること
主觀的には、自然にたいする技術的な處置の總體
主體が勞働過程にまきこまれるといふ側面は捨象して、文明は技術的な規則 (すなはち條件つきの命法) に則った目的行爲
勞働主體がある材料にかたちをあたへるといふ手工業的な活動
普遍性
勞働は、直接的な欲望の獨裁をうちやぶる
道具はうつろいゆく欲望や享樂に對立する普遍者
勞働者の勞働對象に關する經驗が普遍化されてしみこんでゐる。
道具は自然過程を任意にくりかへし征服するための規則を定着させる。
勞働は直接の欲求充足を一時思ひとどまらせ、そして活動の energy を自然法則にしたがった對象の加工にそそぎこむ。
自然にたいする策略は客觀的精神の力をおさへて主觀的な自由を擴張する。なぜなら、勞働過程もまた、迂路を經ながらも、最終的にはうみだされた消費財に滿足を感じ、それにうながされて必要そのものを別樣に解釋することにおはる
家族・財產
互惠にもとづく相互行爲の中閒項
〈家族財產〉を互惠的な行爲樣式をなりたたせる實在の中閒項として構成してゐる。
承認された意識
承認をめぐる鬪爭
行爲場面ではじめて形成される相互關係のなかに共同的な主體がひきこまれる過程は捨象され、純粹な格率に則った目的行爲だけが考へられてゐる
普遍性
?
客體は對象 (Gegenstand)ではなく相手 (Gegenspieler)
「精神現象學」
もし自然の背後に他者の役割をはたす主體が隱れてゐて、自然とのあいだに相互行爲が可能であるとすれば、外化と獲得の過程は形式的には疎外 (Entfremdung)と和解の過程と合致する。 ←→強制の無い communication とたがひの利害の滿足といふ相互補完的な基盤を破毀した〈犯罪者〉
中閒項同士の關聯
記憶 - 承認
主體相互のあいだで承認された不變の意識をもつ言語が、傳統からくみとられて存在するときはじめて、他人に目をむけること、つまり相補的なふるまひを期待することができる
契約は「交換とおなじものだが、しかし觀念的な交換である。それは言明の交換であり事物の交換ではないが、事物の交換とおなじ意味をもつ。他者の意志そのものについてもおなじことがいへる。」
「わたしのことばが認められるのは、わたしが誠實で、心變はりせず、信念をまもりとおすといった道德的な理由のためではない。わたしは氣持ちをかへることはできる。だが、わたしの意志は承認されたものとしてのみ實在する。だから、わたしは自己矛盾に陷るばかりか、わたしの意志が承認されてゐるといふ事實に矛盾することになる。……人格つまり純粹な對自存在は、一般意志からきりはなされた個別意志として尊󠄁敬されるのではなく、一般意志としてのみ尊󠄁敬されるのである。」 記憶 - 勞働
動物的な欲求充足の直接性をうちやぶるには、命名する意識が介入して、識別できる對象とのあいだに距離をつくらねばならない
勞働 - 承認
相互承認にもとづく社會的交通をはじめて形式的に確定する法規範と勞働過程との聯關
自我 (ich)の同一性が制度的に現實化されるといふことは、個人が勞働によってなにかを生產し、交換によってなにかを獲得することによって、財產の所有者として承認される事を意味する。 私有財產
承認された勞働生產物
抽象的勞働
社會的勞働の體系のなかに勞働過程の分割 (分業) と勞働生產物の交換がもちこまれ、そのことによって勞働と必要は普遍的なものとなる。なぜなら各人の勞働は、その內容に關していへば、萬人の必要を滿たす普遍的なものだからである。抽象的勞働が抽象的必要のための財貨をうみだす。そのことによって、生產された財貨には交換價値といふ抽象的な價値があたへられる。貨幣は交換價値といふ槪念の實在形態である。等價物の交換は相補關係の範型である。制度化された交換の形式が契約であり、したがって契約は相互性にもとづく典型的な行爲を形式的に定着させたものである。 行爲
戰略的行爲
抽象的な普遍法則に則った孤獨な目的行爲の、先驗的に必然的な調和
道德的意圖の明瞭な行爲について、その具體的な結果や副次的な結果を捨象する
特殊な傾向性や利害を、あるいは、道德的行爲の動機となり、また道德的行爲の客觀的な目標ともなりうる〈しあはせ〉を捨象する
あたへられた狀況のなかではじめて決定される義務の內實を捨象する
「〈イデオロギー〉としての技術と科學」
行爲
目的合理的行爲
〈勞働〉
道具を用ゐた行爲ないし合理的選擇ないし兩者の結合したもの
規則
經驗的知識に基礎をおく技術的な規則
豫測
戰略
→學習。熟練
←→無能。失敗
記號に媒介された相互行爲
規範
強制力のある通有の規範
→內面化。個性
←→逸脫。制裁
table:行爲
制度的枠組。記號に媒介された相互行爲 目的合理的 (道具的、戰略的) 行爲の體系
行爲を導く規則 社會的規範 技術的規則
定義の水準 相互主體的に共有される日常語 文脈にはめこまれれない言語
定義の方法 行爲にたいする相互の期待 限定された豫測。限定された命令
獲得の機構 役割の內面化 熟練と資格の習得
行爲類型の機能 制度の維持 (相補的強化にもとづく規範の同質性) 問題解決 (目的-手段の關係で定義される目標の達成)
規則違反にたいする制裁 習慣的制裁にもとづく處罰。權威の失墜 失敗。現實における坐礁
〈合理化〉 解法、個性化。支配權力から自由な交流の擴大 生產力の上昇。技術的處理能力の擴大
資本主義的生產樣式
長期閒持續する勞働生產性の增加を保證する規則的な機構が經濟 system にもたらされた
目的合理的行爲の subsystem の擴大を恆久化し (文明)、もって、宇宙論的世界解釋による支配の正當化といふ高度な文化形式 (文化) を疑問視するにいたる
下部構造の合理化
勞働と經濟的交換の組織、輸送、報道、通信 network、私法の制度、財務行政を發生源とする國家官僚機構などが力を發揮し、かくて、社會の下部構造が近代化を強制される。それはしだいに生活の全領域を、軍隊、學校制度、公衆衛生制度、そして家族すらもとらへ、都市と地方の區別なく生活形態つまり下位文化を強引に都市化し、各個人がいつでも相互行爲の聯關から目的合理的行爲へと心を〈きりかへる〉ことができるやう訓練する
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上部構造の合理化 (世俗化)
傳統的な世界像や對象像は、主觀的な信仰力や倫理にすがたをかへて、近代的な價値志向の拘束力を私的にたかめる役割をはたす。
傳統を批判し、同時に形式的な法關係と等價交換 (合理的自然法) の原理にもとづいて、ばらばらになった傳統の素材を再組織化する
傳統的世界解釋の獨斷性を批判し、解釋の科學的性格を要求する
體制正當化の機能を保持してゐるので、現實の權力關係が分析され公然と意識されることにたいしては、これを阻礙しようとする
國家の活動が經濟 system の安定と成長にむけられてゐるかぎり、政治は獨特の否定的な性格をおびる。
政治のめざすところは機能障礙の除去と system をおびやかす危險の防止であり、したがって、實踐的な目標の實現ではなく、技術的な問題の解決である。
豫防方策をめざす國家の活動は、行政的に解決可能な技術的課題だけをめざすもので、實踐的な問題はいはばぬけおちてゐる。
技術的課題の解決は公開の討論を必要としない
行政國家
技術至上主義 (technocracy)
補償政策 + 對立囘避政策
使用法と問はない貨幣と勞働外時閒の分配
自然を統禦するのとおなじやりかたで社會を統禦しようとする
社會的な生活世界にかんして文化的に自己了解することができなくなり、反對に、目的合理的行爲と適應行爲といふ category のもとに物象化されていく 勞働と相互行爲の二重性の意識を退化させる
技術の科學化
合理化
生產力の進展過程が解放をうながす潛勢 (dynamis)力となるのは、それがもう制度的枠組の水準での合理化を代行しない場合にかぎられる。 communication の制限の除去
抑壓の度合の低下
役割の對立にたいする平均的な寛容性をたかめる
嚴格さの度合の低下
日常の相互行爲における個人に似合った自己表現の機會を增やす
役割の相違と、充分內面化されてはゐるが反省的にちかづくことのできる規範の柔軟な適用を、ともに認める
政治的な、またたえず政治的になっていく意思形成過程のあらゆる水準で communication をおこなふ
公開の場で、なんらの制限なく、支配權力から自由に討論する
平和と生活の滿足の目的にかなふものをえらぶ
「技術の進步と社會的生活世界」
技術 : 對象化された過程にたいする科學的に合理化された處理
民主主義 : 無限に擴大する處理能力といふ客觀條件のもとで、人閒にどのやうな共同生活が可能で、のぞましいか、といった實踐的な問ひをめぐる、一般的かつ公的な意見交流の制度的形式
嚴密な經驗科學の情報は、技術的利用といふ道をたどる技術的知識としてしか、社會的生活世界に入ることができない。
一九世紀には、科學はふたつのべつべつの水路、つまり、ひとつは科學的情報の技術的利用といふ水路、もうひとつは個人の敎養過程としての科學硏究
技術的敎養
問ひ
こんにちなお自然發生的なものにとどまる、技術の進步と社會的生活世界の關係を、どのやうに反省し、どのやうにして合理的な討議による統制に服させることができるか
技術的な處理能力を、行爲し討議する市民の合意のもとにとりもどすには、どうすればいいか。
「政治の科學化と世論」
決斷 | 討論
決斷主義
拍手喝采
「政治神學」
討論の形式
公開討論
「認識と關心」
存在と時閒
存在
無爲法。論理 (logos)
時閒
有爲法。臆見 (doxa)
硏究過程
經驗的・分析的な學問
技術的な認識關心
豫測の意味、つまり、その技術的利用可能性は、理論を現實に適用する際の規則からしてはじめてあきらかになる。
實驗
經驗科學的に重要な事實そのものを構成するためには、道具を用ゐた行爲の機能領域のうちで、われわれの經驗があらかじめ組織されねばならない
經驗科學の理論は、さまざまな情報にもとづいて、できるだけ行動の結果を確實かつ廣範圍に統制することを主要な關心事として、現實の解明へとむかふ
對象化された過程の技術的處理にかかはる認識關心
技術的な處理能力を擴大する情報
勞働 : 社會的勞働と暴力的自己主張のシステムのなかで
學習過程で外部の生活條件に順應し
歷史的・解釋學的な學問
實踐的な認識關心
意味の了解
傳承された意味の世界が解釋者に開示されるのは、解釋者自身の世界が同時にあきらかになるかぎりにおいて
解釋學的な探究は、行動を導くやうな理解を共有する相互主體性の維持と擴大を主要な關心事として世界を解明する
意味了解は、その構造からして、傳承された自己理解の枠內での行動にかんする、可能な一致の獲得をめざしてゐる。
共通の傳統のもとでの行動の方向づけを可能にする解釋
言語 : 日常言語による會話をかはしつつ傳統的な共同生活をおくることによって
敎養過程で社會的生活世界の人閒關係になれしたしみ
批判的に方向づけられた學問
解放的な認識關心
認識を指導する關心
みずからの推進力となるばかりか、可能な客觀性の條件ともなる、根本的な利害關心
自然的強制からの解放←→自然的衝動の貫徹
libido として各人のうちに存在する蠱惑的な自然は、自己保存の機能範圍からぬけだして、utopia 的な充足を追求する。 意識を基底にある力への從屬から解放する分析
支配 : 個人化の各段階で、個々人の意識を集團の規範との相關關係のなかであらたに確立する自我同一性のたすけをえて
衝動的な欲求と社會的強制の相剋のなかで同一性をうちたてる
相互行爲