ほんとうのランニング
https://gyazo.com/7dbe1f4289ef4b1a9204306b08222c3c
初出が1976年なので時代的な背景の影響が強い内容
ようするに「古い」し(トレーニング理論は詳しくないけど) いまはダメと思われてるトレーニング理論の話もありそう
実用書では全くない/読む側でなにを感じるか・汲みとるか委ねる系の内容
「おもしろくない」という意味じゃないです
むしろある程度本を読めるひと向きなかんじがする
ジョグみたいな単調な動作ではなくて色々な動き(ファルトレク的な)を入れたほうがマインドフルな状態になれるよという主張はよかった
「born to run」の訳者の方だったので訳者の方のあとがき読みたかったな
すくなくとも「born to run」で人生狂わされた(もちろんいい意味で)ひとも多いだろうから、それを経て「ほんとうのランニング」への流れについて話を聞いてみたい
まえがきとあとがきがマイケル・マーフィー → ビートニクからヒッピーの中心にいたひと
1960年代に起きた「人間性回復運動」と呼ばれる心理学のムーブメントの最中、スタンフォード大学を卒業したばかりのマイケル・マーフィーとリチャード・プライスよって設立された「エサレン研究所」は、心理学・芸術・ボディワーク・ヒーリングを実践する滞在型のコミュニティ・センター。宗教や哲学などの東洋思想に強く心惹かれたふたりは、心身一如しんしんいちにょがもととなる東洋的な身体観をベースに、西洋と東洋、古代と現代、科学と宗教、学問と芸術の融合を試みたユニークなワークショップを通して、心と意識の本質に向き合う人間性や人間の潜在能力を開発する場を人々に提供。ヨガや太極拳などの東洋的な身体アプローチをはじめ、ソマティクス・ボディワークやトランスパーソナル心理学、パーマカルチャー、アート、音楽、ダンスなど、年間500を超えるワークショップは、ネガティブな思いや心に抱える苦しみを自らの力で見出すことを目的としています。 via http://ecocolo.com/journal/local/001380.html 「あとがき」のかなりアレなかんじは↑の説明を読むとなるほどなというかんじ
著者が対照的なトレーナーから指導された経験があることが大きなポイント
パーシー・セラティ → エモ・フィーリング・感覚重視
1895年オーストラリア生まれ。44歳のときに生活習慣から心身ともに絶望的な状態となり、余命2年と医者に宣告される。一念発起し、猛然と自らの体を鍛え始め、病を克服し再び陸上の世界へと足を踏み入れる。50歳で24時間以内に160kを走り、51歳でマラソンオリンピック代表を目指し2時間58分で走る。
奇矯な言動でも知られ、敵も多かったが、その独自のトレーニング方法は特筆に価する。
やまめの学校ぽい
ミハイ・イグロイ → 厳しい・指示に従う・客観的な指摘がトレーニング効率が高いような思想?
軍隊の身体能力向上に貢献した人物
インターバルとファルトレクを組み合わせた方法を考案
トレーニング方法にかなり大きな影響をあたえたひとっぽい
トレーニー経験から独自の価値観を見い出していくという意味で「弓と禅」ぽさがあった
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二項対立的ではない
「◯◯分台を目指す練習内容」みたいな理論や目安を示すことと、
↑の引用にもある『エサレン』がけっこう出てくる
本書のトレーニングで言及される「フェルデンクライス」もエサレンと関係してる
エサレン・スポーツセンターではランのセットの間やトレーニング後のプログラムで瞑想を加えている
『サイエンティフィック・アメリカン』誌で、10分間の瞑想で8時間の睡眠とおなじくらい血中の乳酸を減らせるとの医学的な報告が発表された
これは当時かな? 現在はどういう認識?
欧米人がランニングや登山を瞑想やヨガとかの東洋思想とリンクさせるのはビートニクの時代からつづく伝統芸
60〜70年代は特に「意識や身体性の拡張」がキーワードになってるのでその影響が大きい
「意識や身体性の拡張」についてはヒッピーがコンピュータなどのテクノロジーと密接な関係にあったのと同じ
この本を読むのにこのあたりの理解がないとオカルトみたいな感じを受けてしまいそう…
そもそもこの時代のランニングブームが「競技ではないスポーツ」という考えかたが根本にあるから評価されたんだろうな
目的が「競技において勝つ」ではなく「健康でいる(「あとがきにかえて」にもある)」こと
しかし「競技において勝つ」よりも「健康でいる」は比べたり達成度を測りづらいという側面がある
これってエンジニアは経験的によく理解できると思う
ひとそれぞれの走る目的を自問自答するためのキッカケというのがこの本の本質なのかもね
感じるものがなんとなくキプチョゲの「ランニング・ワールド」ぽかった
「あとがきにかえて」でもその記述はあった
1976年から時代を超えて言及していることと現在長距離走で世界最速のひとが言及することがおなじ
実際に結果のこしてる人が言う説得力
キプチョゲがこういうことをいうのとアーカイブされたものの再発見のちがい