なめらかな社会
生命の歴史において、網から強力な膜・核が登場することで環境・身体の情報は構造化され続けてきた。この構造化を通し、生命は世界の複雑性を作り出すとともに、複雑な世界を単純に捉えてきた(reductionism)。これは我々の社会制度の設計においてもその通りであり、近代国家・婚姻・企業などは厳格なメンバーシップに基づきその効果を発揮する。一方、このような制度にのっかるということは、資源が引き続き独占され、強力な膜同士が競争しあうことを意味する。 なめらかな社会はそのアンチテーゼとして、所属が離散的(0か1か)ではないシステム、複雑な世界を複雑なまま受け入れる方法として鈴木健が提唱するものである。その社会的なメリット・デメリットは研究対象である。 情報技術の発達により、我々は大規模な計算処理を行うとともに、瞬時にゼロコストで情報を共有することが可能となった。なめらかな社会とその敵では、なめらかさを社会レベルで実現するため、社会のコアシステムを情報技術を使ってなめらかにすることを試みる。 感覚としては、現在の社会システムにある具体的な問題を解決するために新たなシステムを提案しているのではなく、情報技術によってもたらされる新たな可能性を試すことをなめらかな社会とその敵は目指しているnatsuozawa.icon