概念の創造としてのモデリング
モデリングを抽象化と捉えるのはスジが悪いと思うんだよね。表計算のモデルに含まれるシートやセルは、基底にある実装を隠しているという意味で抽象だけど、現実の何かを抽象化しているわけじゃないよね。あえて言えば、計算機を抽象化してるんだ。 ref 会計の勘定は抽象だけど、ならば、色んな財産には元から勘定概念が含まれていて、それが抽出されたんだろうか。そうじゃなくて、管理上の必要から勘定概念が作られて、それが現実の財産に投影されたんだな。だから同じ機械でも売り物なら商品勘定、自家使用なら機械設備勘定といった具合に区別される。
僕らは勘定という概念を知っているから、それが現実の事物であるかのように考える。だけど、昔は勘定など無かった。昔の商人が自分の事業遂行に便利なように帳簿を工夫する中で「モデリング」して作り出した概念なんだな。 そうした抽象概念が受け入れられたのは、それが「具象」のある側面をうまく「抽象化」したからではなくて、単に、事業の目的に叶うように現実を描写する枠組みを提供したからだ。
だから、現実の事物を如何に詳細に分析しても「勘定」なんて概念は導出されない。
このスレッドを読んで思った
このスレッド自体に賛同するかどうかは微妙なところ
主張としては、
モデリングは、その作業に上手く適合する概念を新たに作るもので、
抽象化は、あくまでもその作業の本質部分を抽出したもの
なので、モデリングは抽象化とは違う、というもの
わかるような気もするがわからない気もする
モデリングと抽象化という言葉を、(mrsekut.iconが)曖昧に使いすぎてるのが問題かもしれない
その現実の概念の、本質部分を抽出して、
それを上手く構造化して、
プログラム上で表現できる形にする作業のことを指してモデリングと呼ぶんじゃないの、という気がした
それはさておき、
モデリング作業のほとんどは、既存のモデルをなぞることだ。だけどそれだけでなく、新しい要素や「ひねり」を付け加える。これが、ドメインの新しい機会を拓いていく。ref この、生みだしとしてのモデリングの捉え方は重要そうだ
物理学における数式が、実世界における現象を上手く数式に落とし込んだ表現であるのと同様に、
実業務では存在してなかった「勘定」という概念を新たに作る
見えずに行っていた作業の過程を、構造化することで、
特定の場合に上手くハマる「モデル」を新たな概念として作り出す
確かに、こうしてみると、
今まで想定していたモデリングは、所詮は実作業の抽象でしかなく、
新たな「モデル」を作り出せていたかと言うとそうでもない気もしてきたmrsekut.icon
Very briefly — much too briefly — abstraction takes its raw material from fact, the past, while modelling has a predictive, future-oriented dimension. ref 非常に簡単に言えば、非常に簡単すぎますが、抽象化は事実や過去から原材料を取得しますが、モデリングには予測的で未来志向の側面があります。
単にユーザの中にあるメンタルモデルをそのまま表現するという方針もあるだろうけど、 我々が新たにもっと最適なモデルを生みだし、
その乖離さや、慣れなさ、伝え方、はかなり工夫が必要
Scrapboxの[]記法もそういう感じがする
初見のユーザにはまず存在しないメンタルモデルだろう
あるのはあるが他で見ることほぼないので
でも、簡単にわかる、一貫性がある、学ぶヒントが多い、などのおかげでユーザに割と即座に伝えることができる
極端に言えば、ユーザー中心のデザインとは、「ユーザーに合わせたデザイ ン」ではなく、「ユーザーが自らを合わせることができるデザイン」のことであ り、ユーザーが自らデザインと協調して結果を最大化していけるだけの、シン プルで論理的な原理を備えたデザインのことだろうと思います。ref /mrsekut-book-4297113511/070 その生み出したモデルを、
まずはチームのメンバーに伝える必要がある
あるいは、将来の自分と共有する必要がある
それを何らかの手段で伝える必要がある
プロトタイプを作っても良いし、
コードで形式的に表現しても良い
コミュニケーションツールとしてのモデルのようなものがあると良い
たたき台として使えるので
あんなものは現実世界には存在しない
存在しないけどあのインターフェースなら(特定の)世界を上手く記述できる
存在しないから、謎の造語を使って命名するしか無い
予約がない世界の予約
@sugimoto_kei: よく話題になるユーザークラスの設計だって、あれはユーザーを抽象化しているのではなく、ユーザーアカウントなんです。ユーザーをいくら抽象化してもユーザーアカウントにはならない。預金者を抽象化しても預金口座にならないのと同じだ。「アカウント」は「口座」だし。 物理学の公式のようなものもどういう過程を経て構築されるんだろうか
仮説を立てて、何か適当に数式を作り、実験を繰り返しながら調整していくのだろうか
パラメータをめちゃくちゃ増やせば、より適合しそうなものの、
いかにシンプルに表現できるか、というのを追求したりするのだろうか(?)