岡口裁判官弾劾裁判(Twitter投稿で罷免)
裁判官が罷免されたのは8人目で、表現行為を理由とした判断は初めてです。
検察官役の裁判官訴追委員会側は裁判官にも表現の自由があることは認めたうえで「今回、罷免にあたらなければ、ほかの裁判官が同様の投稿をしても地位を奪われないという先例になる。今後の裁判官のSNS投稿などに大きく影響を与える観点からも厳正な判断が求められる」と主張しました。 一方、弁護側は表現の自由の観点などから罷免すべきでないとする弁護士会などの声明や意見書が26件出されていることを挙げ、「SNSの投稿の一部が不法行為だったとしても、民事裁判で解決が図られるべきだ。投稿で直ちに司法への国民の信頼を害したわけではない」と主張しました。 3日の判決で弾劾裁判所は、事件の遺族への岡口裁判官の投稿について「本人に意図はなかったものの、結果として何度も執ように遺族を傷つけることになった。SNSは発信者が想定した趣旨と全く異なって受け止められる危うさをはらんでおり、その危険性を踏まえて他者を傷つけないよう配慮すべきだった」と指摘しました。
そして、裁判員の3分の2以上の多数意見で、裁判官を辞めさせる罷免を言い渡しました。
船田議員は「本人が刑事罰を受けていない中、罷免にあたるかどうか判断する難しさがあった。慎重な議論を続けたがひとつの結論にまとめることができず、最終的に評決をとり、3分の2以上が罷免とした。数は公表できないが、ギリギリの数字だった」と話しました。
何で公表できないんだ。誰がどんな考えなのか知りたいが基素.icon
階議員は「裁判官は行政府や立法府など権力に対する批判をちゅうちょしてはならないが、犯罪被害者などについてSNSを使う場合は人権に配慮すべきだ。判決では権力者に対する投稿と一般市民への投稿を明確に分けて判断した」と話しました。
野間啓弁護士は「それぞれの行為に関する動機や目的についてはかなり丁寧に認定し、われわれの主張をほぼ全面的に採用している。それにもかかわらずなぜ『著しい非行』にあたるのか、論理が何もない結論になっている。国会議員が感情にひっぱられたのではないか」と批判しました。
弾劾裁判所は国会議員の投票で決まるのか。つまりリーガルマインドは期待できない。納得。 あとから法学部、ロースクール、司法研修所で学ぶ法律知識 第2版.iconを読んで知ったが、そもそも弾劾裁判所の設置は立法の司法に対する監視の権利(憲法で決められている)
@mara_ishi: 弾劾裁判は選挙や内閣不信任、衆院解散制度に近い。だから立証責任の概念などないし、罷免以外に処分がないのもそのためだ。 国政の一端を担う人物が国民の厳粛な信託に応える資格がないと判断されれば罷免されるわけだ。白でなければ黒しかないのだ。
そうなの?基素.icon
Claude 3 Opus.icon
弾劾裁判と選挙や内閣不信任、衆院解散制度には確かに共通点がありますが、法的な性質は異なるものだと思います。
弾劾裁判は、違法行為や職務怠慢があったと認定された場合に高官を罷免するための制度です。一方、選挙は国民の信任を問うものであり、内閣不信任や衆院解散は国会と内閣の権力バランスを調整する政治的手段と言えます。
弾劾では一定の立証責任が求められ、弾劾事由に該当する具体的事実の存在が問われます。単に国民の信頼を失ったというだけでは弾劾の理由にはなりません。
また、弾劾では罷免以外の処分はありませんが、民事・刑事上の責任が別途追及される可能性はあります。
したがって、「白でなければ黒」というような二者択一の議論にはなじまないのではないでしょうか。弾劾は違法性や責任を問う法的手続きであり、選挙などとは目的と性質が異なると考えられます。
憲法が専門で表現の自由に詳しい慶應義塾大学の駒村圭吾教授は裁判官の表現の自由について「裁判官も一般市民であり発言する権利はあるが、公権力を持ち、全体の奉仕者であるという身分上の制約もある」と指摘し、今回の判決について「岡口裁判官が発信した内容が波及して生まれる効果は、本人が負担しなければならない。行ってはならない『非行』と認めたことは不当ではない」と述べました。 一方、「罷免にするほどの『非行』だったという理由については抽象的な内容にとどまっている。この判決が、ほかの裁判官の情報発信を萎縮させるおそれがある」と述べました。 弾劾裁判の欠陥が指摘されている
罷免はかなり大きな罰
弁護士や検察官になる資格喪失
退職金なし
不服を申し立てができない
これまでの公判全15回を「皆勤」したのは3人のみ。出席率が7割を下回る裁判員が6人いるなど、欠席や途中交代が目立つ。
議員の大半は法曹資格なし
裁判員14人と予備員8人は議員による選挙で決める(裁判官弾劾法16条)。ただし実際の運用は、割り当て数に応じて各会派が出した候補者を、各議院の議長が事実上追認する形になっている。 途中交代も含め、今回かかわった裁判員・予備員には、複数の弁護士議員や計4人の法相経験者が名を連ねており、法的素養を期待される議員が選ばれる傾向にはある。
しかし、検察官に相当する裁判官訴追委員会(訴追委員20人、予備員10人)も国会議員から選ばれるため、法曹出身者の絶対数が足りない。最終的な裁判員14人のうち法曹資格を持つ議員は5人と少数派だ。 過去に弾劾裁判所に訴追された裁判官は9人。うち、罷免された7人は下着の盗撮、ストーカー行為、児童買春、事件関係者からの供応など、犯罪やそれが疑われる行為が理由だった。一方、訴追されたものの、「行為の大半は一社会人としての行為」などとして、不罷免とされたケースもある。
岡口氏のSNS発信は、すべて勤務時間外に行われたもので、「一社会人としての」表現だった。その内容は、事件の遺族感情を逆なでしたが、果たしてこれが「司法への国民の信頼を大きく損ねた」とまで言えるのか疑問だ。退職金もなく法曹資格も奪われるのでは、行為と罰のバランスが悪すぎるのではないか。
不快な表現に直面した時こそ、「表現の自由」を保障する意味を考えなければならない。ヘイトスピーチ解消法制定時に、国会が罰則規定を設けなかったのもそのためだ。その国会議員たちが今回、「表現の自由」の重みをどこまで考えたのかも、疑問が残る。 弁護士周りは目に入る限り全員が判決に不服を表明していた
学者・弁護士の声明
重大な刑事犯罪により明らかに法曹として不適任な者に対してなされてきた従前の罷免の案件とは異なり、本件には刑事犯罪に該当する行為はなく、行為そのものも全て職務と関係しない私的な表現行為であって、従前の罷免案件に比べ明らかに異質である。
このような行為に対する罷免は過度な懲罰であり、岡口氏個人としての人権上も極めて問題であるばかりか、裁判官の独立の観点から憂慮すべき事態である。 また、本件が先例となることにより、裁判官の表現行為その他私生活上の行状に対する萎縮効果も極めて大きい。本件行為に不適切性があるとするなら、話し合いや直接の謝罪等で解決されるべきであり、罷免とすることは相当ではない。 @YusukeTaira: 日本国では、私生活上も実名でX/Twitterによる表現の自由を行使できない人たち(今日のランチ美味しいとか桜が綺麗だったとかだけ呟ける)が、司法権を担う裁判官として、国民の表現の自由(憲法21条1項)が侵害されたか否かについての違憲審査権を行使しています 裁判官は不適切ツイート(ポスト)をすれば国会議員らから罷免され、退職金もゼロ、罷免後は弁護士にもなれません
国会議員は選挙がある点は異なる基素.icon
票を入れるに値しないほど問題だと思う人が多ければ民意によって落ちる
@otakulawyer: この判決により裁判官はSNSをやらなくなるだろう。時代の流れでSNS絡みの案件が裁判所に継続することは増えることがあっても減ることはないだろうが、SNSにおける表現の自由、表現のあるべき姿はSNSを使わない裁判官が決めていくことになる。 今もやっている人の多くは匿名でやっていたが、それもなくなる