リーマン・ショック以後は低金利なので株ぐらいしか買うものがない(2020)
図表1に示されるように、米国ではニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダック総合指数(NASDAQ)の合計時価総額が米国の名目GDP(約21兆ドル)の2倍近くにまで膨らんでいる。これまでにない水準である。https://gyazo.com/772eb74bad240ee82eb8a512ab022028
株価はストックデータ、GDPはフローデータなので、この比率を取ること自体に議論の余地はある。だが、「今までになかったこと」が起きているのは事実だ。同時に、バフェット指標の上昇基調が今に始まったものではなく、リーマン・ショック直後から始まった動きであることも無視できない。 この傾向は米国だけではなく世界的に見てもそうだし、成長率が劣後する日本もそうだった。
「過去12年に共通する何か」が株価の騰勢に寄与していると考えられる。その「何か」とはほぼ間違いなく「低金利」だろう。 「金利(割引率)が低ければ、理論的な株価は高くなる」という事実は元より、「世界から金利が消滅したことで運用難が極まり、結果として株価が高くなった」という表現の方が正確に思える。
実体経済を度外視した株高の主因は「定期的にインカムを生む金融資産はもう株(の配当金)くらいしかない」という悲惨な運用環境だと筆者は思っている。
足元、米国が1%を割り込んで久しいが、欧州に目をやれば問題児の筆頭だったギリシャが0.6%台、イタリアでも0.5%台と一段と低い
欧州債務危機の最悪期(2010~12年)においてギリシャ10年金利が優に30%を超えていた(ちなみに2年金利は100%超ということもあった)ことをどれだけの人が覚えているだろうか。
リーマンショック後、資産価格の基準となるべき無リスク金利(国債金利)が消滅に向かっており、その傍らで株価が騰勢を強めてきたという客観的事実はやはり無視できない。
長期性の運用資金は基本ポートフォリオにそって長期で運用するので彼らが買っていると思うのは合理性があるとしている
FRBは長期金利を利上げするはずなのでこの低金利に支えられた株高は崩れるかもしれない
https://gyazo.com/56505d8934a4102227275eaa276f621f
利上げ前からバフェット指数は下がっている
しかし株ぐらいしか買うものがない
唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト