株価と実体経済
先に株価が上昇することで、実体経済が引っ張られて回復するというシナリオは描きにくい
2000年代前半の米国経済の経験は、資産価格と実体経済の関係を考えるうえで大いに参考になる。2000年の.comバブル(1995-2000)の崩壊、01年の9・11事件などを受けて、米国経済は当初厳しい見通しであった。しかし、米国の中央銀行総裁のグリーンスパン氏が大胆な金融緩和策を続けることで、米国経済は見違えるように元気になったように見えた。 しかし、後から考えると、株価や不動産価格はバブルと言えるほどに大幅に上昇したが、経済成長率や雇用などの実体経済指標の動きは、資産価格に大きく見劣りする状況であった。それでも資産価格がいずれは実体経済を引っ張っていくかと思えば、実際にはリーマン・ショックという形で資産価格の暴落が起きたのだ。実体経済の動きを伴わない過度な資産価格の上昇が危険な存在であることを明らかにした。