エクイティ・ファイナンス
現にここ10年で、スタートアップ投資の世界も大きく変わりました。10年前であれば経営者がいろんなVCを歩き回って、やっと2,3社から1000万円引っ張ってくるということがほとんどでした。今では5億、10億円の調達も当たり前になっています
2012年に、億円単位のベンチャー投資を行っている事例は5つほどしかありませんでした。
2013年には億単位の投資事例が50件くらいになっていました。
数年前までは、『ベンチャーというのは、大企業に就職できないような奴がいく場所』といった偏見も多く見られましたが、驚くことに、ここ数年で全く違う状況になりました。今最も熱い視線でスタートアップを見つめているのは、東大や慶応などでも最も優秀な学生や、外資系投資銀行の人など、世の中で最も感度の高い人たちです
アメリカでは高学歴化が進んでいる
一方、現在のアメリカでは、ハーバードやスタンフォードで修士を2つ3つ持ってる人がいる経営チームも当たり前。そこにセコイアなどが投資すると、『すごい経営陣が揃っている』『すごいVCが投資している』というシグナルになり、そのシグナルに世界で最も優秀なクラスの人や数百億円の資金もあつまって、実際にすごい会社になっていくというサイクルができています。皆さんが好むと好まざるとに関わらず、この動きは日本のエクイティファイナンスの世界でも起こりつつあり、その傾向は今後ももっと強くなっていくでしょう。
、VCの投資を最大化しようとしたら、10社投資して9社潰れてもおかしくないほどのリスクをとっても、1社が200倍に成長すればいいはずなのです。投資した企業を全て1.2倍にしようというのは、銀行融資的な考え方です。銀行であれば100社融資して1社でも潰れれば採算が合いませんが、VCはもっとリスクをとれるし、とった方が成功するのです アメリカではVCの調達する資金のかなりの割合が機関投資家のお金です。機関投資家は全体では100兆円単位の資金を運用していますので、それはある意味社会全体と連動しており、『自分たちのお金を増やすことだけを考えている金の亡者』というよりは、『おじいちゃんおばあちゃんまで含めた社会全体に、いかにより高いパフォーマンスを還元できるか』が仕事の人たちです。
ベンチャー投資のファンドサイズが大きくなって機関投資家が参入し始めた 事業会社やCVCの投資が増えたこともありますが、それもあって、優秀な人がスタートアップ業界に流れ込み始めたことが大きな理由です。今でこそスタートアップへの投資額は、総額で4000億円程度にまで増えましたが、全体で1000億円以下の時ですら予定の資金を投資しきれないファンドがいたのです。 ファンドというのは、投資をする約束をして資金をお預かりし、お預かりした資金の2%程度を毎年のフィーとして頂きます。ただ、投資額が予定に満たないと契約でペナルティも発生します。そのため、投資しきれないほど巨額のファンドを設立するのは、VCとしても大きなリスクになります
ファンドのサイズが大きくならなければ、機関投資家は参入できない
兆円単位の資金を運用する機関投資家は、10億円や20億円の資金でも小さすぎるくらいだが、その額の投資を行うには、VCのファンドが100億円規模以上であることが必要で、それだけの規模がなければ機関投資家も投資しづらい
なぜ?10%以上だとリスク過大?
従来は『スタートアップって給料安いけどやりがいあるよ』というのが、採用する人への誘い文句でした。しかし、スタートアップへの投資額が巨大になってくれば、採用時に給料を下げる必要はないわけです。年収1000万円もらっている人を採用するために、1000万円以上のオファーも出せるのです
ひとつのラウンドに限って言えば、最初が微妙な印象なのに、後からじわじわ魅力を感じて投資に至るということは、まずありませんね。
どういう時にビビッと来るかというと、一言で言えば目線の高い経営者に会ったときですね
中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス(概要版)
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