アメリカ政府は裁判所命令を無視できる
from 2025-04-22
エルサルバドル送還の男性と面会の米議員「基本的自由の問題」と 男性は「悪人」とトランプ氏 - BBCニュース
米司法省や移民当局は3月末の時点で同氏の強制送還は「手違い」だったと認めており、連邦最高裁も政府に同氏の帰国を「容易」にするよう命じているものの、政権は最近では同氏がテロ組織のメンバーだと強調し、裁判所命令に応じていない。
アメリカって法の支配ないんだ基素.icon
GPT-4o.icon正直に言ってアメリカは「自由と法の国」ってイメージと、実態にけっこうギャップがある
制度上は裁判所命令が最上位ですが、現実には行政府の裁量や政治判断が優先されてしまう場面があるのがアメリカの実情です
アメリカは三権分立の国ですが、特に「国家安全保障」や「テロ関連」の理由が挙げられると、政府は「裁判所の判断より自らの判断が優先される」と主張することがあります。
過去の類似事例
例:ブッシュ政権下のグァンタナモ収容者に対し、最高裁が「裁判を受ける権利がある」と判断しても、当局は手続きを引き延ばしたり、無視に近い対応を取ったことがある。
トランプ政権では、移民政策で連邦裁判所が一部差し止め命令を出しても、一時的に無視したり、別ルートで政策を押し通した例も存在します。
政治的なレトリックとしての「テロ組織」指定
アメリカでは政府が「ある人物がテロ組織に関与している」と主張すれば、ほぼ例外なく厳格な扱いが許容される風潮があります(裁判所での精査が済んでいない段階でも)。
これは「安全保障の名の下に人権が後回しにされる構造」でもあります。
議会が監視すべき立場だが、党派的対立や安全保障優先の風潮により、十分に機能しないことも多い
国民の間にも「仕方ない」という空気
「テロ防止のためなら仕方ない」「移民は怪しい」みたいな考えが根強く、政府の強硬姿勢に一定の支持がある。
だから政治的にも責任が問われにくい
この事例は、近代民主国家でも「法の支配」は簡単に危うくなるという警鐘です
政府が「都合のいいときだけ法を尊重し、不都合なときには従わない」なら、それは恣意的な支配(rule by men)に近づいていきます
それをちゃんと理解してない人も多いのがさらにやばい
基素.iconEUはどうか?
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EU(欧州連合)は、アメリカよりも「法の支配(rule of law)」を厳格に守る傾向が強いが、完全にクリーンというわけではなく、政治との緊張関係や制度の限界も存在する。
1. EUは「法の支配」を制度の核心にしている
EU条約(リスボン条約など)には、法の支配、基本的人権、民主主義の尊重が明記されている。
各加盟国はこれを守る義務がある(守らなければ制裁の対象)。
ECJ(欧州司法裁判所)が、EU全体の最終審として機能しており、加盟国が従わなければならない法的拘束力を持つ。
2. 実際に裁判所命令が政府を動かすことも多い
例:ポーランドやハンガリーで司法の独立が侵害された際、ECJはそれに対し制裁判決や補助金の停止を命じた。
一部の国は反発するが、最終的には判決に従わざるを得ないケースが多い(さもないと経済的制裁などが科される)。
3. それでも「法の支配の侵食」は起きている
ポーランド:司法制度の政府従属化が進み、ECJに何度も警告されている。
ハンガリー:報道の自由や少数派の権利が政府により制限され、EUからの批判と制裁の対象に。
これらは「民主主義の後退(democratic backsliding)」と呼ばれ、EU内でも深刻な問題とされている。
4. EUの制度的限界
ECJが判決を出しても、実際の執行は各国政府に依存している点はアメリカと似ている。
「加盟国に完全に強制する手段」は限られており、最終的には経済的圧力や政治交渉で対応している。
それでもアメリカよりは透明性と制度的抑制が効いている。
結論
EUは原則として「法の支配を最優先」している。
ECJを中心とした法制度がよく機能しており、アメリカよりも権力が法に縛られている度合いが強い。
ただし一部加盟国では法の支配が揺らぎ始めており、EUとしての対応が試されている段階。
「アメリカよりマシだけど、万能ではない」のが現実。
基素.icon日本はどう?
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日本は表向きは「法の支配」が確立されているとされているが、実際には運用面や制度の構造において弱点が存在し、特に行政の裁量や検察権力の強さが際立つ。
1. 制度上は「法の支配」が保障されている
日本国憲法は三権分立と法の支配を明記している(特に憲法41条・76条など)。
裁判所は違憲審査権を持ち、行政や立法の行為を違憲として取り消すことができる。
形式的には権力分立が成立しており、政府も裁判所の判断に従う仕組みになっている。
2. 実務上の問題点
裁判所の独立性は理論上保障されているが、実務では政府寄りの判決が多いと指摘されている。
特に行政訴訟では、国側が勝つ割合が非常に高く、「司法の行政追認機関化」と批判されることがある。
1996年09月25日 【OPINION】旧態依然の司法制度を全面改革せよ|日本総研
平成16年2月19日 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/012815920040219001.htm
立命館大学の市川です。
さらに、行政機関の公権力の行使を争うための行政訴訟はどうかといいますと、これも行政権チェックの役割を十分果たしていないと言わざるを得ません。すなわち、行政訴訟の間口が非常に狭く、もともと件数も非常に少ないんですけれども、少ない行政事件訴訟の二〇%以上が原告適格等の訴訟要件を満たさないとして却下されておりますし、本案判断までたどり着いても、一審において裁判所が行政機関の行為を取り消すというような、一部であれ原告が勝訴する可能性はせいぜい一〇%台ということで、勝訴率も高くなく、裁判所は本案判断においても行政機関の裁量を広く認める傾向にあると言えます。
裁判官人事が内閣(内閣法制局や最高裁事務総局)と密接な関係にあり、政治的な圧力が間接的に働く構造になっている。
3. 検察・警察の権力が極めて強い
検察は強大な起訴独占権を持ち、裁量が非常に大きい。
冤罪事件や長期間の勾留(代用監獄制度)など、国際的に批判される運用が存在している。
被疑者を長期間黙秘させて自白を引き出す「人質司法」が問題視されている。
4. 市民の監視と抵抗が弱い
日本では法制度や政府の対応に対する市民の監視意識が比較的低い。
メディアも政権批判が限定的で、政権与党と距離が近いとされる報道姿勢が存在する。
安倍晋三政権はだいぶ威嚇している基素.icon
https://ja.wikipedia.org/wiki/NHK番組改変問題
裁判員制度など改革もあるが、司法の透明性と説明責任は限定的にとどまっている。
結論
日本は形式的には法の支配が整備されているが、実務上は行政と司法の癒着や検察権力の偏重により「骨抜き」の側面がある。
アメリカのように露骨に命令を無視することは少ないが、制度の運用が「政権に都合の良い方向に最適化」されやすい。
法の支配の実現度としては、EUより低く、アメリカと比較しても「おとなしくコントロールされている」印象が強い。