人質司法
https://youtu.be/Q0zrue6Sk4c?si=DsmwYdneCobIJlml
7ヶ月の拘束
意義のある裁判だろう基素.icon
79歳という高齢の上、2年前には7時間に及ぶ心臓大動脈瘤の大手術をし心房粗細動という脳梗塞を生じうる持病を抱えていて十数錠の薬を飲まなければならない身であったにもかかわらず、収監時に薬が与えられることもなく、以後、非人道的な身体拘束が226日間も続きます。
収監中の角川氏は接見中に体調悪化のため気を失って椅子から崩れ落ちたり、強い心臓の動悸で苦しくなったりしたにもかかわらず、十分な治療は一切受けられませんでした。慶應義塾大学病院の主治医が「不整脈が起きており血栓のリスクが高まっている。生命の危機が高まっている」という所見を述べているにもかかわらず、被疑事実を否認していたため、数度に及ぶ保釈請求も認められなかったのです。第5次保釈請求がやっと認められて東京拘置所から出た際には、一人で歩くこともできないほど衰弱し車椅子を押されての生還でした。
「人質司法」とは、刑事手続で無罪を主張し、事実を否認又は黙秘した被疑者・被告人ほど容易に身体拘束が認められやすく、釈放されることが困難となる実務運用をいいます。
これまで日本では多くの検察官及び裁判官が、法律で身体拘束の要件として定められている「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」や「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」(刑事訴訟法60条、89条)について、憲法や国際人権法に適合するように限定的に解釈せず、安易に身体拘束を認めてきました。 このような解釈・運用により、憲法及び国際人権法上保障されている「人身の自由」(憲法34条、自由権規約9条1項)が侵害されるのみならず、 「推定無罪の原則」(憲法31条・刑事訴訟法336条、自由権規約14条2項) 及び「身体不拘束原則」(憲法13条、33条、34条、自由権規約9条3項) に反し、
「黙秘権(自己負罪拒否特権)」(憲法38条1項、自由権規約14条3項(g)) 「防御権」(憲法37条2項・3項、憲法38条、自由権規約14条) といった憲法及び国際人権法上の権利が侵害される状況となっています。
この「人質司法」という病理は、単なる刑事訴訟法の解釈問題ではありません。人間の尊厳、そして自由と権利にかかわる憲法と国際人権法の問題であり、憲法と国際人権法に照らして、日本における現代の刑事司法の在り方そのものが問い直されなければならないのです。