アイデアと創作的表現
著作物の類似性が認められるためには、前提としてそれらの創作的表現が共通している必要がある 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
権利が認められるのは創作的に表現したものである
例えば小説では「雪」という単語には創作性はないが、全体としては創作的な表現を認めることができるだろう基素.icon
イラストではありふれた構図自体に創作性はないが、全体としてはどこかで創作的表現を認めることができるだろう基素.icon
では、一体何が創作的表現で、何がそうではないなのか?これはとても難しい
素人が普通にイラストを描いた時、どの部分も大抵ありふれている
江差追分事件最高裁判決「表現でない部分や、創造性がない部分が似ていたところで翻案とは言えない」 「創作的表現が共通」しているとは2つの条件を満たすものをいう(ここまではコンセンサスがある)
1. 表現が共通である(アイデア/表現二分論)
権利保護の対象は思想または感情(アイデア)ではなく、表現したもの
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
抽象度が高いアイデアは保護せず、抽象度が低い具体的な表現を保護するということ基素.icon
表現に創作性があるかどうかとは切り分けて考えた方が整理しやすい
抽象度が高いアイデアを権利保護すると、文化の発展を阻害する
例:「ハリーポッター」以後、魔法使いが出るファンタジーが全て出せなくなる
もっと前からこんな話はあるわけだから、そもそもハリーポッターが出せなくなるよな基素.icon
2. 創作性のある表現が共通している
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
「創作的でない表現」は権利保護されない
うさぎの耳は長いのだから、うさぎの耳を長く描くことはありふれた表現であり、保護されない
それを権利にしてしまうと他人や未来の表現を奪うので、著作権保護の許容性がない
著者の個性はないのだから、著作権保護の必要性がない
ミッフィーは保護される
課題(ここからはコンセンサスがないので紛争になる)
アイデアと表現をどう分けるか
アイデアの抽象度を下げていくとどこかで具体的な表現になる。ではどこからを具体的な表現とするか?という問題
著作権法学永遠の課題
認め過ぎれば他者・未来の表現を奪うし、認めな過ぎれば著者のインセンティブがない
著作権保護を認めるに相応しい具体性があるか?
創作性の有無をどう判定するか
従来の議論:独創性(客観的に他人の表現と異なること)や新規性(客観的に新しいこと)は必要ないが、誰がやっても同じようになる表現は創作性がない
独創性がないのに、誰がやっても同じにならない表現ってなに?基素.icon
新規性があるが独創性がないものは存在しえないと思うが、する?基素.icon
創作性がないものの例
知的活動を欠くもの
気温の記録
コピー
誰がやっても同じようになるもの
事実の伝達
従来は「個性の発揮」と言われていた
いろんな表現が取れれば取れるほど、それを選んだ創作性が肯定されやすい
幅が狭いものを保護すると他者・未来の表現を奪う
課題
選択の幅があっても王道の表現は創作性が否定されがちなことへの説明ができない
これは、「取りうる道」がたくさんあっても便利な道が一番使われるのだからそれを独占したら影響強すぎという話だろう基素.icon
選択肢が少なければ、そもそもそれを独占させるとまずいし
選択肢が多くても、事実上の選択肢が少なければそれを独占させるとまずいということで、一貫している