VTuberのゲーム実況の権利ってどうなってるの?
Disclaimer:考察はありますが、当事者ではないので事実はわかりません(当事者が情報を出していないのにわかるという人がいたらそれは嘘です)。
この記事は全て公開情報からの推測であり、事実を主張するものではありません。
現実の仕事には表に出ない情報が山ほどあります
1つの事実で結論が変わるなんてことも普通にありうるので、この記事はなんかの証拠になったりしません。
筆者は法律に関する専門知識を有しません。
普通のファンが読んで面白いことは一切書いてありません。契約に興味がある方以外のブラウザバックを推奨します。
また、権利者以外が著作権を主張して民事上の賠償責任を問うことはできません。
にじさんじライバーの今までの放送はどう正当化されていたんだっけ?というのを検討する
考察の目的
VTuberを始めるときに、何を気にしなければいけないか知る
事実
f1. 任天堂は個人に対してはゲーム実況の許可を与えている
今回はここに法人に対する追記が加わった
f2. 「にじさんじ」公式チャンネルのマリオカートの実況でスパチャがあった
https://youtu.be/RniFgeUbGns
f3. ライバーのチャンネルのリングフィットアドベンチャーの実況でスーパーチャットがあった
urlのせる
f4. 事務所はゲーム実況の許諾を少なくとも一部はとっている
未確認
f5 スーパーチャットをオフにしている放送もある
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仮定
s1. ライバーはいちからから業務委託契約をされている個人である 長時間配信や深夜配信などを頻繁にしている場合に労働基準法を守れないので、ほとんど業務委託だと仮定
法人のライバーはいないと仮定
いちからは任天堂からどう許諾をとっていたか仮説を考えて、疑問点を列挙する
議論の出発点として、「いちからから見れば、はじめは任天堂のガイドラインに沿うのが最も楽な形(なるべくガイドラインに沿うように行動する)」だと考える
❓(可能性はあるが、不透明)パターン1. 任天堂から一部だけ許諾をもらっていた
以下の合わせ技
1-1. ライバーの配信は個人活動であるので、既存の著作物利用ガイドラインの範囲内と解釈する
1-2. 法人主体のイベントは法人活動なので個別許諾をもらう
考察
2020年6月1日の新情報を斟酌すると1-1の解釈は無理があると考えられ、パターン1は有望な案ではない。しかしガイドライン外の任天堂広報の言葉を信じるならば収益化をOFFにした状態であれば1-1は成立する可能性がある
法人等の団体による投稿や、投稿者が所属する団体の業務として行う投稿は、このガイドラインの対象ではありません。ただし、別途契約が締結された以下の法人に所属する投稿者は、所属する団体の業務として行う投稿であっても、個人であるお客様と同様に、このガイドラインに従って、任天堂のゲーム著作物を利用した投稿を行うことができます。(2020/6/1 追記)
(強調は引用者による)
「(a) 投稿者が所属する団体の(b)業務として行う投稿」に当てはまるかが焦点
(a) ライバーはいちからとマネジメント契約を結んでいるはずなので、いちから所属である。 マネージャは度々配信を手伝っているのでこれはほぼ確実だろう
(b)「所属する団体の業務」でなければ問題ないが、仮定s1からライバーの配信は準委任契約に盛り込まれているだろうから、配信は業務と判断される可能性が高いと考える。
よって、今まではガイドラインの対象外であったのだと解すのが妥当であると考える。
と考えたのだが、2018年にガイドラインが発表された当時、記者の井上理が任天堂に問い合わせた回答では任天堂の見るポイントは個人か業務かがポイントとされていたらしい タレント事務所に所属するタレントやMCNに所属するYouTuber、およびvTuberの場合、タレント事務所やMCNの業務とは別に、個人の取り組みとして投稿される場合は本件ガイドラインの対象となります。ですが、所属事務所や所属MCN、スポンサー等の業務の一環で、個人のチャンネルから発信される場合は、本件ガイドラインの対象外になります。また、タレント事務所自体や、MCN自体が投稿を行うことも、ガイドラインの対象外です。(任天堂広報部)
つまり、企業所属Vが「業務以外で」配信するという立て付けにすれば正当化は可能である
ではどうするか?チャンネルを別にすることはできないし、収益化を有効にしていると(おそらく)業務扱いとみなされる可能性が高まる
業務委託契約に配信が業務であるという項目がありそうだから(個々の契約にもよるが、売上をいちからと配信者で配分するような契約になっている場合もあるのではないだろうか)
が、収益化を無効にしていればなら趣味(個人の活動)と言い張れるかもしれない
f2は疑いの余地なく法人が主体なので、このガイドラインに当てはまらず、1-2を実行する必要がある
疑問
m1. 1-2について、任天堂は個別の事例に関して(大規模イベントなどでない限り)許可判断をしていないのではないか?
QAの書き口
上映権の個別許可を出していない
なお、当社では個別の許諾は行っておりませんので、法律の範囲内でお楽しみください。
当社製ゲーム機器およびゲームソフトの営利目的での利用(商業利用)について、許諾を行っておりません
個別事例の対応の事務コストが莫大になってしまう
2020年においては、ゲーム実況が一番コストを上げる(任天堂に対する問い合わせが多い)要因と考えても違和感はない。需要が高まっているというのはほぼ100%事実だろう
高まらなければ契約を考えるコストを払う合理性がない
対抗意見
今回包括契約したのは、「莫大になったから」したという見方もできる
個人は受け付けないが、法人に絞れば数は大幅に減るはず。UUUMとは包括契約をしていたわけだし
例:日本一ソフトウェアは個人と法人で対応を分けていると明言している
💮(最有力候補)パターン2. 任天堂からライバーの配信全部個別許可をもらっていた
ライバーの配信は法人の活動なのでガイドラインの範疇を超えるという解釈
m1が間違っていて、任天堂側に法人向けの許諾窓口があるというパターン(あるいはUUUMのように比較的大きな会社だけを相手にするとか)
会社相手と個人相手で対応が違うのは、ふつう
❌ (ほとんどあり得ない)パターン3. 何も明示的な許可をとっていなかったが今回とった
この線はほとんど無いと思う(傍証あったら教えてください)
スタートアップとは言え、知財は重要な戦略の一部であるから他社IPに対してそんな態度をとることはないだろう
ライバーも苦労を示唆している
当初1人のゲーム好きとして、にじさんじゲーマーズに加入したが「いざ加入してみると権利の体制が厳しくでやりたいゲームをすることができる環境ではなかった」ため、卒業を決意したという。
しかし卒業後、にじさんじの運営から再び連絡があり「配信面での事情が変わり、私の好きなゲームの配信が可能になった」という状況を聞かされ、オファーを受けることに。
剣持刀也は2018年3月期に、学園ハンサムの許可を取ろうとしていた
その他
包括契約に至るモチベーションはたくさん思いつく
事務コストの圧倒的削減
毎回許可をもらうのは大変すぎる
任天堂のゲームができるようになる
事務コストが削減されることから直接的に導かれるメリット
許可が大変だと「やらない」という選択肢を取るのが普通だから、今までは諦めていたということがあるだろう。それがなくなる
ゲーム実況は配信者の多くがやるだろうし、この先任天堂のゲームをやらないのは考えづらい
権利関係をクリアにすることで、痛くない腹をさぐられなくて済むようになる
IPブランド保護
メンタルケア
ヒューマンエラー防止
企業イメージ向上
仮定を疑ってみる:仮定s1はあっているのか?
業務委託ではなく雇用関係がある→まごうことなき法人なので矛盾しない
この場合はちゃめちゃな時間や長時間配信しているライバーが労働基準法で保護されていないことが問題になってしまう(本稿の議論の対象ではない)
法人になったライバーがいるとどうあがいても法人なのでパターン2になり、矛盾しない
法人になるライバーが多いとは全く思えない
基素.iconの感想
パターン2ではないだろうか
管理上の漏れや追いつかなかった面は多少はあったのではないかと考える余地はある
許諾をもらっていればスパチャをONにしても良いはずなのにf5のようになっている
スパチャをONにしたりOFFにしたり一貫性がない。任天堂の明確な許諾を得ていないのではないか?
と考えることもできる
しかし、正統性のある理由もいくらでも考えることができる
収益化の有無は「個人としての配信」と「業務としての配信」を分けるものである可能性がある
任天堂からスーパーチャットOFFなら良いという条件を課せられていた可能性がある。ONなのはその時はONで良いということになっていた。
冒頭にも書いたが、真実は当事者以外わからないのだ。
他事務所と一緒に発表をしていることから、複数方面から任天堂と協議しており、制度がこのたび整ったということだろう
職業的なゲーム配信者が任天堂の知財戦略において無視できない存在になるという従来からの流れが強化されたということ
制度が整っていくのはいいこと
契約を結んでいないところも水面下で動いている可能性もあり、現時点で包括契約されていない事務所が無闇に糾弾されて欲しくない。特に配信で発言されているのはみたくない。
著作権侵害を訴えるのは権利者である任天堂であり(親告罪だし)、他の誰かではないと考えます
どう考えてもゲーム実況をやり始めた人は真っ黒でやっている
積極的に権利侵害しろとは思わないが、制度はいつだって後から整備されるのは事実
答え合わせ(Hololiveの場合)
パターン1?
会社的には「個人事業主のアーティストを支援する形態」という見方
基素.icon 雇用形態としては想像通り
今回騒ぎになったので自粛する選択になるのだろうか?アーティストの配信の扱いは法人所属であるという見方になるのだろうか?
ここは実際に裁判をやって判例が出ないと結論は出せないが、この姿勢だと任天堂は裁判をしないと思うので結論はいだろう。「個人事業主のアーティストを支援する形態」というのも一理あると思う(雇用していないので)
一部明示的には許諾を得ていた
何らかの事情がある場合には一部企業にはとっていた
ニコニコ大百科に個別のケースがまとまっている
記事の書き口は否定的(アンフェア)な箇所はある印象
以上の問題が続けて発生したことから、ホロライブの権利意識および声明で述べた"再発防止策の制定や権利確認の徹底"がおよそ十分でないことが発覚したのだった。
「徹底を進めていく」という意思表示であり、徹底したとは言ってないのでこの文章はミスリーディング
いままでの見方が個人事業主の支援という形態であり、その下で運営してきたのならブレーキは急には(数日程度では)踏めないであろう。それを責めるのは酷であると考える。
Hololiveと同じ立て付けでやっていた?
問い合わせをしたようだ
あにまーれ