日銀マイナス金利解除(2024/03/19)
中小企業などでは、金融機関からの借入金利が上がることを懸念する声が出ています
影響 大槻奈那(金融アナリスト)
批判的な意見
このタイミングでの解除には大きな疑問が残る。正直、「どうして焦って決めてしまったの?」という印象だ。
企業の賃上げの結果は十分に出そろっておらず、「賃金や物価の好循環」について確認できたとはいえない。現在出ているのは、一部の大企業を中心とした春闘の「満額回答」「要求以上」のニュースだ。 6月ごろになれば、中小企業も含めた企業全体の賃上げ動向がわかってくる。そこまで待たずに、日銀は「賃上げは浸透するだろう」という希望的観測に基づいて決断をした。 強気の見通しをした根拠の1つに、日銀は「ヒアリング情報」を挙げている。これはおそらく支店長会議での情報だろう。ただ、支店長会議の場では本店の意向を踏まえた情報を報告する傾向があるため、あまり信用してはいけないというのが実感だ。 解除を決めた3月の金融政策決定会合で、昭和恐慌研究会(岩田氏を中心とする、リフレ派研究者たちの勉強会)に所属していた安達誠司さんも審議委員として賛成していたのは残念だった。彼の金融政策の歴史に関する研究は、金融緩和はつねに出口が早すぎる傾向があることを指摘するものだった。 バカなことを知っているからと言ってバカをやらないとは限らない
マイナス0.1%だった政策金利については、まずは慎重にゼロ金利に戻す形でもよかったと思う。だが、日銀当座預金に0.1%の付利金利を設けたことで、事実上0.1%となり、0.2ポイントもの利上げを行った。よほど強気の見通しを日銀がしていることになる。
今回の解除に併せて日銀は「わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い」という経済・物価見通しのリスクに関するコメントも発表していて、私は当惑した。それならば、やはりもう少し様子を見てもよかったのではないか。
こうした大きな政策転換は一度やってしまうと容易には引き返せない。経済見通しが下振れたら、もう一度緩和に舵を切ればよいと日銀は思っているようだが、そんなことをすれば世の中から「迷走」と見られて、信用が失われる。
ここの見方が決定的に違うのでは?基素.icon
FRBとは異なり短期金利の変更基準を明確に打ち出していないの債券市場が荒れる
2024年の賃上げ率は昨年を上回る見通しで、2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まったとみているためだとしている。
日銀内には容認論が広がっており、連合が15日にまとめる春季労使交渉の集計結果を見極めて最終判断すると日経は伝えている。
先週の日銀会合での「主な意見」がさきほど公表されました。出席者(政策委員)の意見で、日銀全体の方針というわけではありません。ただ、物価目標達成やマイナス金利の解除についての議論はかなり深まっているようです。マイナス金利の解除時期は近づいているといえそうです
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