未来社会と「意味」の境界
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目次
第1部
AI・ロボットと人間にとっての「意味」
第1章 AI・ロボットとの次なる共存に向けて:「意味」を語る意味 3
河島茂生(メディア研究、情報倫理)
1-1社会的背景3
1-2「意味」、生き物、人間社会、AI・ロボット
1-3 意味の多様性と重要さ5
1-4 本書のアプローチ8
1-5 本書の枠組みと観察の位置4
第2章
記号創発システム : 身体と社会に基づく意味の創発 言葉の意味と環世界13
Miyabi.iconシャノンコミニケーションモデルの話
客観的からベイズ的へ
我々の認識世界は我々自身が構成している
記号論
記号学
2-2
「閉じた認知」に生じる記号過程
Miyabi.icon
何かを指し示すもの。
言語は最も複雑な記号体系
もともと認識論的な思索に基づいている。
言語の意味は個人の意味付けに帰着する
社会的慣習 habitを否定するわけではない、
慣習を解釈するのも個人
生活の上ではソシュールのような静的で差異で構築されたように感じられなくもない。
Miyabi.iconたしかにw
エクスキュル、ピアジェ、パース
↓
閉じた認知の記号と意味論
記号創発システム
サイン
対象
解釈項
サインを対象と結びつけて理解する人間の解釈者
解釈項が(観測者が)別の言語を学んだりして変化する↓
解釈項による記号と対象の関係に変化が生じる。
⚠️解釈項は人間とは限らない。
記号の本質はサインと対象の関係と、その記号がもたらす社会の文節化に恣意性があって動的に変化しうる。
2-3
記号創発システム 17
Miyabi.icon
ある創発システムに参加することは、そのシステムの体系への充足とリターン
話を配列することにより作られる文は、その合成可能性 (compositionality)(もしくは構成性)により未知の対象を表現したり、抽象的概念を生み出したりすることが可能になる。 この性質が言語に「話の並びの分布パターンから語の意味は予測されうる」という分布意味論を与える 大規模言語モデルの能力を支える基礎
意味は話と語の関係性のみで与えられるのではない
根斡的な部分を他者と共有する環境において共有することで、世界認識との関係の中で意味を持つ。
2-4
記号接地閊顋から記号創発問題へ21
文法規則
述語論理
ここでの記号は記号論理学的なもの。、
そもそも、人間の認知システムが「記号」システムからできていると言うのが誤謬
自然言語はそんなにセマンティックじゃないし、創発記号。
ニューラルネット
記号を持たずに内的表象のみを持つ。
2-5
記号創発ロボティクス22
名付けゲームの特殊なタイプとして共同注意を仮定するかわりに明示的な報酬フィードバックを要さない、
新しい名付けゲームとしてメトロポリスヘイスティングス名付けゲームを提案した(Taniguchi et al, 2022)。
2体のエージェントにより行われるこの名付けゲームは、結果としてその2体のエージェントの感覚系を統合した
認知システムにおける内的表象のベイズ推論と等価になることを示した。
複数のエージェントをまたいだ記号システムの創発は、
エージェントのそれぞれに「閉じた認知」を、記号の創発によりつなぎ合わせる機能があるのだ。
別の言い方をすれば集団としての自由エネルギー最小化を行うのが記号創発であるといえる。
Miyabi.icon納得。
ネオ・サイバネティクスと記号創発システム24
ネオ•サイバネティクス
主観的な観察世界の分析
創発
従来のサイバネティクス
客観的な世界分析
生命システム論の世代(河本 )
2000
1世代
生命が自らの状態を保つ
恒常性
動的平衡
2世代
自己組織化
3世代
オートポイエーシス
システムが自らをボトムアップに生み出す自己制作
ネオサイバネティクスはここ
構成素が相互作用する事でプロセスのネットワークをつくる
このネットワークが構成素をつくる。
部分と全体の相互産出的関係
第3章 ネオ・サイバネティクスからの接近
※生命システムによる意味創出と情報伝達というフィクション。
西田洋平(ネオ・サイバネティクス、情報学、国本®1926
3-1生命と認知の表裏一体性
システムが閉じているということは、外部との相互作用がないということでは全くない。端的にいえば、オートポイエティック・システムはその「組織(organization)」@においては閉じているが、その「構造(structure)」)においては開いている。
むしろ構造的には、オートポイエティック・システムは常にその環境とカップリングしており、だからこそ具体的なシステムとして現実に存在しうる。細胞膜にしても、それはシステム内部と外部を隔てるただの物理的障壁ではなく、環境との間で物質やエネルギーの交換が行われる動的な場として機能しているp30
オートポイエーシス論ではこうした環境との相互作用の領域を、を「認知領域 (cognitive domai)」
Waturana & Varela, 19701980-1991:161-241: 171)と呼ぶ。 つまり認知とは、オートポイエティック・システムと環境との構造的カップリングの現象そのものであり、生命システムが具体的なシステムとして実現していることそれ自体に付随する現象である。
認知という現象は、神経システムの有無にかかわらず、生きている限り常に生じている。
3-2生命システムによる意味創出
情報が初めから情報である訳でも、シグナルが初めから、シグナルなわけでもない。
システムの行為的側面によって循環的に決定される。
表象される意味が、システムと独立にあると考えてはならない。
何に意味を認めるかは、いかに相互作用するかに依存し、いかに相互作用するかは、システム自身の構造に依存する。
意味は、オートポイエティック・システムと環境との構造的カップリングによって決定されるダイナミクスに応じて、個々に創出される
心に対するエナクティブアプローチ
chatgpt.iconエナクティブアプローチは、心を単なる脳の内部で起こる現象としてではなく、身体と環境との相互作用として理解しようとします。
ネオ・サイバネティックな生命観に携づいて、情報概念を捉え直す学問
3-4HACS と記号創発システムの異同
HACSはエコシステム間の非対称性を扱える。
3-5 記号創発ロボティクスの可能性
認知的閉じ、は工学的エージェントには無い。
厳密に自律的でない。
オートポエティックでない。
第4章
プラグマティズムからの接近:
記号の意味とは何か.....
加藤隆文(プラグマティズムの哲学、美学、芸術学、記号番)
実用主義
19世紀後半アメリカ
pragma 古代ギリシャ語 「行為」
物事の意味を行為の観点から判断する思想
Miyabi.iconある意味で相対論的に定義されることになる。
Miyabi.iconFEPと関係しねぇかなぁ。
記号の三類系
記号と対象の解釈項の性質によって決まる。
イコン
類似した感覚的性質
インデックス
物理的な結びつき
シンボル
慣習によって定まっていること。
集合的な解釈項があり得る。
パースは人間の心も一種の巨大な記号課程と考えた。
解釈項は記号と対象の三項が揃ってこそ意味がある。
人間の心は、様々な解釈項が介在して、様々な記号を様々な対象と結びつけている記号過程の集合体と考えられるのだ。
パースは自意識についても論じる。
子供の発達段階において
「この無知が宿る場である自己というものを借定する」
peirce,1868 1882: 20
自己という概念は自らの無知や過ちから推論的に導かれる。
Miyabi.iconこれって、他者の解釈項の予測符号化を自分に内化した時の予測誤差の学習?
まとめ
人間の心は巨大な記号
外的環境の記号課程に適応した習慣の束
記号課程の観点からも、解釈するエージェントが環境との相互作用で適応的な習慣を獲得していく。
記号創発〜と相性よく適切
4-1意味について45
4-2 記号について:パースの記号論
パース記号論の強み
解釈項を設けるることにより、記号と対象の恣意的な結び着きを考察出来る。
記号の意味に可塑性があることに一定の説明がつく。
記号の3項の関係
セミオーシス
記号過程
4-3 記号創発システムにおける人間の自己像
記号創発システム論は人間やロボットを含めた新しい共同体の姿を示す。
頭蓋の外側にまで心的過程が生じている。
パースの考え
自己とは巨大な1つの記号過程であり、外的世界の記号過程を取り入れながら成長する。
例
スマホを使ったAさん
スマホを使うことで自己が「拡張された」というより、「スマホを使う自分を自己と認識するようになった」
つまり、記号課程の更新と対応する。
Miyabi.icon訂正可能性でもいいな。
例えば、
共同体や道具の記号課程も、自己という記号課程に取り入れられる
カナダの人類学者エドゥアルド・コーン (Eduardo Kohn, 1968-)は、パースの理論を引きながら、エクアドル東部の森林地帯に住むル ナ族の人々が持つ特殊な自己概念について論じている。ルナ族の人々は、自分の身体 を包み込んでいる森の環境全体に自己は広がっているのだと考える。 この場合、自己概念は生態系の記号過程をも含み込んだものなのだ (Kohn, 2013-2016)。
4-4 プラグマティズム、探究共同体、記号創発システム
科学的探究を適切に進めることを念頭に、概念を明晰にするため
「パース氏がその格率を表現した よりも広い意味を表すように表現されるべきである」 (James, 19071975: 258-59)。 「真理が何を意味するのかについての、私たちにとっての究極的なテストは、実際に は、その真理が指令する、あるいはその真理によって生じさせられる、行動なのであ ある … 。 パースの原理は次のような言い方で表現した方が好ましいはずだと思う。 すなわち、哲学的命題の実効的意味はいずれにせよ、常に、私たちの未来の実践的経 験における、ある特定の帰結へと帰着させることが可能である」 (James 1907 1975: 1 真理や哲学的命題の意味を、私たちの未来に生 じる帰結に帰着させようとしている
そのまま 受け取れば、真理が私たちの主観に左右されることがあるかのようである。
統制的想定がトップダウンに制約
ボトムアップに統制を作り出す。
Miyabi.icon体系
これは記号創発システムにおけるミクロマクロループにあたる。
ロボットも含めた探究共同体
人間との共創的な記号課程
第2部
意味はどこから立ち上がるのか
第5章
記号創発ロボティクス:意味の工学的探究
....59
長井隆行(知能ロボティクス)
5-1 意味とは何か
5-1-1 ロボットは意味を理解できるか
5-1-2 素朴な問い
5-1-3 言葉の意味
オグデンとリチャーズの意味論
例えば、「犬」という言葉と、われわれがよく街頭でみかける動物(犬という物) との間には、何ら直接の繋がりは存しないということ、および両者の間に在る唯 一の関係は犬を指すときにこの言葉を用いるということだけであるということは 改めて述べるまでもない。しかしながら、 言葉と事物との間に直接の意味関係が あるという従来の定説が表わす一種の単純化こそは、われわれが物を考える時に 遭遇する、ほとんど一切の困難の源である。 あとで分かるように、かような単純 化のために生ずる混乱と妨害とは主として伝達の状態に基因する (Ogden & Richards, 1923 1949=2001:56-57)。 『意味の意味』https://scrapbox.io/files/653c7cd595a3dd001b55ebe6.jpeg
意味の三角形
心的課程
象徴
指示物
パース記号論に影響されている。
意味の三角形から工学的に意味論を捉えられる。(筆者)
5-1-4 意味の三角形
5-2 意味の三角形を構成する
5-2-2確率的生成モデル
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確率的生成モデル
ある観測データがその裏に想定された確率分布から確率的に生成されたと考えるモデル。
良いところ
一回パラメータが推定されて分布が決まればその分布から値を確率的にサンプリングすることでデータを生成(予期)できるところ
パラメータ推定が学習
学習に必要なのは観測データのみ。
実際にはより複雑なモデルを想定する。
意味の三角形の一辺を確率的なデータの生成 という形で数学的に表現できる
zが心的過程
o指示物。.
wが象徴に相当する。
数学的には、ある確率分布から 二つの観測データが独立に生成されることを意味する。
このような複数のデータ が生成される生成モデルをマルチモーダル生成モデルと呼ぶ (Suzuki & Matsuo, 2022)。
• このモデルは、変数 o の出現の可能性が変数 z と w の両方に依存する場合に使用される。
• しかし、このモデルでは、変数 z の出現が変数 w には依存しないと仮定している。
• したがって、P(z, o, w) の関係は以下のようになる:
$ P(z, o, w) = P(o, w|z)P(z) = P(o|z)P(w|z)P(z)
これは、z と o, w の関係性を示すものであり、o と w が z に条件付けられた独立性を持つことを示唆している。
P(z, 0, w)=P(o.wlz)P(z)=P(oz) P(wz)P (2)
P (z) は事前分布であり、
どのような心的過程がそもそも起こりやすいか
人の偏りのようなものを表現
P(o|z)
心的過程と対象の因果関係
P(wz)
心的過程と象徴の因果関係
P(z, 0, w) が 分かるということは、 変数間のすべての条件付き分布が計算できることを意味する。
たとえば、意味の三角形においてある象徴wの意味を理解するとは想定される関係を推論することであるから、wを条件とした指示物の分布P(ow) を計算できればよい。
$ ( P(o|w) = \frac{\sum P(z, o, w)}{\sum_z P(z, o, w)} )$ =$ ( P(o|w) = \frac{\sum P(o|z)P(w|z)P(z)}{\sum_z P(w|z)P(z)} )
パースの記号論流にこれらを解釈
内的表象の形成は生成モデル
P(olz)に対して事後分布 P(alo)を推論することに相当
サインの学習はP(o, 2)の同時分布を学習する問題に帰着される。
サインから対象を想起するプロセスはP(o120)
対象からサインを想起するプロセスはP(wlo)で表される。
確率的生成モデルは深層ニューラルネットワークを用いて実装可能
変分オートエンコーダー
そもそも人工知能の始まりは、
ニューウェルとサイモン
世界のすべてのことを記号で置き換え、記号の操作によって説明できるという仮説
これは意味の三角形が否定していること。
実際に存在しない直接的な象徴と指示物を仮定すると、どうやって存在しない繋がりをシステムに学習させるのかという問題が生じる
5-2-4大規模言語モデルの躍進
対話の学習の例
二人の人が対話した文章のペアが学習デー タとして存在し、片方の人の発言 Aからもう片方の人の発言Bを予測するように学習する。
明示的に正解ラベルを与えるわけではない。
しかし、実際にはAとBの対からなるデータを与えてい ることがある種の正解を与えていることに相当している。
意味の三角形で考えるとどうなるか。
因果関係という視点で意味の三角形をみる
思想あるいは指示の頂点が交絡因子になっていることが分かる。
対話システムのなすべきことは、象徴であるAの発言から指示物たるBの発言を予測すること
ここでAとBには直接的な関係がないとはいえ交絡因子を介した疑似相関がある
この疑似相関を捉えることができれば対話の学習が成立するはず。
Transformer は、 この疑似的な関係を大量の対話データから学習していると考えられる。
しかし疑似的な関係はあくまで疑似的なものであり、これが完全であることはない。 現在の対話システムはいとも簡単に人間の発言と区別のつかないそれらしいことをい いながらも、容易に常識的にはありえない矛盾したことをいう。 決して意味を理解し ているわけではなく、発言同士の間に存在する疑似的な関係性を、大量のデータを使 って捉えている。もちろん人間であっても常に意味を理解しているわけではなく表層的な会話をすることもあり、そうした表層的な会話が可能であることを考えれば、現 在の人工知能がそれらしい対話をしつつも表層的であることに納得ができる。
ただし意味を理解していないという問題は、Transformer 自体の問題ではない。こ の先みていくように、意味の三角形を考慮した計算の構造や学習データの収集が実現 できるかどうかがカギである。 実際、 Transformer の仕組みを応用して、先に述べ た生成モデルと同様の仕組みを実現することが可能である (Miyazawael etal,2019
5-3-4
ロボットの身体性
硬さ
動的制御がしやすい
柔らかさ、
Miyabi.iconどんな身体性がどんな感覚入力や記号課程、意味を形作るか
ロボットの世界モデルに生まれる意味
状態表現学習
記号創発ロボティクス
MLDA
物体カテゴリの形成
残る問題
感情
内需要感覚
感情概念との結びつきは意味の三角形である程度説明できる。
他者
他者のモデル化
意味の身体性
情報学
コンピューティングパラダイム
対象となるシステムを俯瞰的に外部観察する。
所与の一元的世界における環境とシステムの相互作用を考える
内部も考慮されてきた
しかし、システムの観測者が見る外部の表象
観測様式とシステム、環境モデルが異なる
サイバネティックパラダイムにおける世界
システムの周りの客観的世界ではなく、システムが見ているままの世界
主観的
コンピューティングパラダイム
知能を計算と見なす (Turing, 1950=1997) 計算主義 (とくに古典的記号主義やコネ クショニズムのように計算機内で完結しうるもの)のみならず、 計算主義に批判的な 人工知能研究やロボティクス (たとえば表象なしで知能の問題に取り組みあるいは計 算機を取り巻く事物まで知能の範囲に取り込む 「身体性人工知能」 (Brooks, 1988 1991=1990; Pfeifer & Bongard, 2007=2010) など)であっても、採用する観察様式と システム/環境モデルによっては含まれることがある。 たとえば相互作用するシステ ムと環境を一つの情報処理システムとして外部観察する場合はこれにあたる 情報基礎学
社会情報
機械情報
生命情報
6-3情報学的展開
20世紀、言語への学問探究が盛んだった。
ソシュール言語学
構造主義
ポスト構造主義
総じて、「人間の思考は、意識よりも言語に制約されている」
1
言語を論理的に分析して、記号の形式化を徹底し、客観的合理性を追求した。
2.
言語共同体の言語や思考の相対性に注目
差異の多様性
7章子供とロボットの発達
Miyabi.icon後で読む
3部意味はどのように作用するのか?
英語教育