肝腫瘍鑑別診断
https://gyazo.com/129a197d27fde4070bcaa85f547ee1ca
鑑別
結節性病変の鑑別 well-HCC VS FNH
STEP1:H.E.でwellっぽい !この段階でH.E.ではHCCとFNHとHCAの鑑別はできない。
STEP2:鍍銀で細胞線維が消えている→HCC
STEP3:画像が乏血→HCC
STEP4:画像が多血→FNHかHCA→免染追加(FABP,GS,βcatenin,SAA)
* 肝臓 48巻5号 233-239 (2007) 若年正常肝に発生したFNH,HCC合併の1例 → FNH合併例の報告は少ないがRFAなどで気づかれず治療されているのでは無いか?
* 肝臓 56巻9号 461-468 (2015) 症例報告 先天性肝線維症に合併したFNH 免疫染色
* 日消誌 2016;113:761-766 肝細胞癌の分子病理と悪性度 → well HCCの間質浸潤の写真有り HSP70:CAP2:GPC3:Bmi-1:使えるときは上記文献を参照のこと。
GS:正常肝の中心静脈周囲に陽性を示す。悪性度とともに陽性率が上昇する。
* 肝臓 50巻11号 626-633(2009)肝細胞癌を合併したNASHの検討 ! NASH肝癌は脂肪肝炎からの発癌が多く、多中心性発癌をきたす傾向にある
○ Well-differentiated hepatocellular carcinoma
肝細胞類似の腫瘍細胞が採れています。細胞は小型化し,核は軽度腫大しており,相対的にN/C比は高くなっています。胞体の染色性はやや増強しています。索状構造は不連続となっています。偽腺管構造ははっきりしません。Well-differentiated hepatocellular carcinomaです。
慢性肝疾患の2cm以下の腫瘤のため、large regenerative nodule, dysplastic nodule, 高分化型肝細胞癌(早期肝細胞癌)を鑑別とします。
背景肝が採取されていないため、比較評価は困難です。
背景肝と比較し細胞密度の上昇を認めます。
領域性に細胞密度の増加があるためdysplastic noduleです。
細胞密度が上昇した部位では肝細胞が小型化しています。
High-grade dysplastic nodule
*病理診断講習会肝腫瘍(神戸大学:全陽)
* 肝臓 54巻10号 692-697 (2013) 同一亜区域内HCCと混合型肝癌(HCC+CCC)が存在した重複癌の初の報告 ○ Combined hepatocellular and cholangiocarcinoma
! 少しでも肝細胞癌の中に明確な肝内胆管癌成分を認めたら診断とする (混在の程度の定義は無い)。
! 治療法として肝切除時にリンパ節郭清が強く勧められるため,肝生検での鑑別が重要
* 2010 WHO分類
○ Classical type
豊富な好酸性胞体を有し,索状構造が明瞭な肝細胞癌の成分と好塩基性胞体と楕円形核を有し,管状に増殖する肝内胆管癌の成分を認め,混在しています。
○ Subtypes with stem cell features
Typical subtype:肝細胞癌の腫瘍胞巣の辺縁がN/C比の高い小型細胞で縁取りされています。
Intermediate cell subtype:中間細胞といわれるN/C比の高い小型の卵円形細胞が索状ないし充実性に増殖しています。
Cholangiolocellular type:異型に乏しい小型の細胞が不規則に吻合しつつ管状に増生しています。
* 日消誌 2016;113:828-836 MCTDの経過中にNRH様結節を伴ったIPHの1例 ! 特発性門脈圧亢進症(IPH)は門脈末梢の血行不全に関連し、過形成性結節を伴う
○ Nodular regenerative hyperplasia
○ Focal nodular hyperplasia
○ Liver metastasis of adenocarcinoma (c/w colon primary)
肝の結節には軽度の出血壊死を伴った、腫瘍細胞の増殖を認めます。癒合管状構造を呈して胞巣状の増殖がみられ、高分化腺癌の像です。結腸癌の転移として矛盾しません。標本上は肝表面及び切除断端への露出はありません。背景肝にはごく軽度の脂肪変性とグリソン鞘周囲のリンパ球浸潤がみられます。
→ 高分化肝細胞癌によく似る? 画像で指摘されていないと診断が困難か
* 肝臓 50巻11号 650-656(2009)肝腫瘍と鑑別が困難であったHCV陽性副腎皮質癌 良性肝細胞性結節
門脈域形成異常症候群 (APTS)
* 日消誌 2016;113:828-836 MCTDの経過中に肝結節性再生性過形成様の病変を伴ったIPHの1例 ! IPHやNRH、FNHなどの門脈末梢血行不全に関連した過形成結節を類縁疾患としてまとめて呼ぶ
○ Anomalous portal tract syndrome
○ Idiopathic portal hypertension 特発性門脈圧亢進症
門脈域で小型門脈域の硬化像がみられ、弾性線維の沈着を伴います。炎症性細胞浸潤は軽度です。
○ Nodular regenerative hyperplasia 結節性再生性過形成
数mmの線維性隔壁の無い結節がびまん性に認められます(狭義)。
不揃いで線維性隔壁の無い結節が認められます(広義)。
○ Focal nodular hyperplasia 限局性結節性過形成
前癌病変と早期肝細胞癌
* 診断病理 2015,32 (4) 総説 早期肝細胞癌と前癌病変の病理 異型結節 (DN)
○ Dysplastic nodule
○ Low-grade DN (LGDN)
周囲肝組織に比して細胞密度は2倍程度に増加しており,肝細胞の配列に乱れはなく,門脈域が残存しています。構造異型はありません。
○ High-grade DN (HDGN)
細胞密度は2倍以上,構造異型がわずかにみられ,脂肪化を認めます。
○ Early hepatocellular carcinoma
構造異型が領域性にみられます。間質への浸潤がみられます。好酸性が増強しています。脂肪化や淡明細胞化を伴います。
○ hepatoblastoma (crowded fetal type)
○ hepatoblastoma (small cell undifferentiated type)
胎児型 Fetal type
Well-differentiated subtype (pure fetal type)
Mitotically active subtype (crowded fetal type)
胎芽型 embryonal type
胎児・胎芽混在型
大索状型 macrotrabecular type
未分化小細胞型
上皮・間葉混合型
日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会
○ Angiomyolipoma
* 脂肪性分は5~90%で少ない場合には肝細胞癌と鑑別が困難
免疫染色Level1 HMB-45,MelanA,αSMA
石灰化を伴う肝腫瘍
* 肝臓 54巻2号 152-160 (2013) 石灰化を伴ったPHNET 考察 * 肝臓 54巻10号 682-691 ソナゾイド造影超音波による肝細胞癌腫瘍内血管の観察 ! 造影され視認できる線状の血管は400μmから100μm(平均150μm)の筋性血管である。
! MIP(maximum intensity projection)法であれば類洞血管レベル(50~100μm),までリアルタイムに観察ができる。
G-CSF産生肝細胞癌
* 肝臓 2012;109:2088-2096 UFTが著効したHBV肝炎合併G-CSF産生肝細胞癌の1例 ! 画像で骨髄腔のPET高集積(造血能亢進)やWBC増多がみられ,血清G-CSF値高値より疑う。
○ Granulocyte colony-stimulating factor producing hepatocellular carcinoma
肝細胞癌はG-CSF抗体による免疫組織学染色で陽性を呈しています。G-CSF産生腫瘍が疑われます。
◇ 診断基準
①著明なWBC増多 ②G-CSF活性値の上昇 ③腫瘍切除によるWBC減少 ④腫瘍内G-CSF産生の証明 上記①~④が必要。
多発結節性の肝脂肪沈着
* 肝臓 57巻10号 548-553(2016) 肝脂肪沈着を来したアルコール性肝線維症 ! アルコール多飲者に発生。限局性脂肪肝に近い可逆性の脂肪沈着。
肝静脈や門脈域に沿った類円形、索状脂肪沈着(perivascular fatty infiltration)を認め