社会的ネットワークを理解する
#ソーシャルグラフ
#ソーシャルネットワーク
#SESの初期段階における社会的ネットワークの役割
#社会的ネットワークを理解する
#社会関係資本の自己増殖
#社会関係資本
目次
Introduction
#つながること
社会的ネットワークは人々が互いの関係性という依存関係を通じて結びついてきた太古の昔から、人間社会の中核をなしてきた
#情報マップとしてのネットワーク
ネットワークは「情報のための地図」として機能する。構造的すきまが情報面での競争優位性を生み出す。
#リーダーとフォロワー
社会における特定の役割を担う「オピニオンリーダー」や「インフルエンシャル」という概念が存在する。権威関係もこの概念と関連する。
#コンジットとしてのネットワーク
ネットワークは情報や思想、態度、さらには病気の「伝達経路」として機能する。
#社会的ネットワーク分析の視点
2章:ネットワークの基本的な概念ーネットワークにおける個人
#ネットワークとは?
関係性の集合である。個人間の関係性から組織や国同士の過形成まで、あらゆるレベルの相互作用に適用できる概念である。ネットワークは次の2つに大別される
自己中心型ネットワーク(エゴネットワーク)
中心となる個人(エゴ)から見た関係性の集合
人々がどこまで関係性を広げるか示す
社会中心型ネットワーク(ソシオセントリックネットワーク)
特定の「箱の中」に閉じ込められたネットワークであり、その構造の細部に焦点を当てて研究されることが多い
教室の子供たちや組織内の幹部間のつながり
#関係性についての社会学的な問い
関係性とは、アクターとリソースの間の支配と関心である
ネットワークを形成する理由は以下
近接性(propinquity)
ホモフィリー(homophily)
類似の社会的属性を持つ人々の間に強い関係性や相互の知り合いが発展しやすい傾向
「同類は群れる」という原則に要約される
#ダイアドと相互性
dyadはネットワークの最も基本的な単位である
2つのノード間の関係性を指す
関係性が形成される理由とは何か?が問いの中心になる
相互性(mutuality)は2つのノードがお互いに同じ特性を共有したり、補完する特性を持ったりする傾向を指す
#バランスとトライアド
triadには16通りのパターンがある
まとめ
3章:ネットワークの基本的な概念ー全体ネットワーク
#分布
ネットワーク全体を分析するためにはノード間(ダイアド)やノードとノードのグループ(トライアド)間の関係性の分布など、ネットワークの特性を記述・要約する分析的概念と方法が必要になる
#密度
ネットワークに実際に存在する二者間の繋がりの数を、理論的に存在しうる二者間の繋がりの数で割った指標
#構造的すきま
つながりの「存在」に焦点を当てる密度に対して、構造的すきまはつながりの「欠如」に焦点を当てる
#弱い紐帯
ネットワーク内で離れたほかの場所からの情報伝達を促進する
社会システムの統合を促進する
アクターの関心と支配の分布については、システムレベルの概念として取り扱う(個人レベルではない)
「人気度」あるいは中心性
次数(個人の繋がりの数)が極端に高い個人がいる
人気度が高いと「媒介性」を有することになる
相互独立性が均等に分布している条件では、リーダーは不在で、えらーは多くなり、活動性は高く、組織化はゆっくりで、満足感は高くなる(Leavitt, 1951, p.50)
中心性の概念の重要なポイント
#距離
対人環境のサイズ
スモールワールド
#複合性
2人の人が同時に複数の関係性を持つこと
例えば、友人でありながら仕事仲間でもある状態
#役割と地位
地位とは社会学的概念のこと。
ネットワークにおいて、特定の行動や関心のパターンを示すノードの集合を指す
地位には2つのタイプがある
組織図に示される「名前の付いた地位」
フォーマルネットワークの中に組み込まれる
実際の相互作用から生じる「非公式な地位」
インフォーマルネットワークのこと?
インフォーマルな地位と関係性
インフォーマルな関係性と階層
制度化された、あるいは特定のネットワークの内部に埋め込まれたインフォーマル・ネットワーク
観察された役割
まとめ
ネットワーク全体の理解には、その特性の分布やノード間の複合的な関係性、役割や地位といった概念が必須
特に、インフォーマルネットワークや構造的等価性といった概念はネットワークの複雑な構造をとらえるうえで重要
4章:ネットワークの基本的な概念ーネットワークの分割
#ネットワークのセグメントとその呼称
3つのセグメントに分割可能
一次的集団
親密な対面での交流と協力を特徴とする。
個人の社会的性質や理想を形成する上で一時的かつ根本的なセグメント
クリーク(cliques)
クラスター
#観察者の視点に基づくネットワークの分割
結合性に基づくネットワークの分割
ネットワークの分割やセグメンテーションに関する研究のほとんどは、観察者の視点から実行される。
ブロックモデル
ネットワークを複数のブロックに分割し、それぞれのブロック内のノードがお互いに、または他のブロックのノードとどのように関係しているかを示すことでネットワーク構造を抽象化する
コア・ペリフェリー構造
ネットワークの中心部に密接につながったノード群(コア)と、その周縁部に位置し、コアまたはほかのペリフェリーのノードとまばらにしか繋がっていないノード群(ペリフェリー)で構成される構造
分裂に対する抵抗
構造的類似と構造的同値
コア・周辺構造
まとめ
5章:社会的ネットワークの心理学的基盤
#物事を成し遂げること
ネットワークは、個人の目標達成を助けるうえで重要な役割を果たす
例えば、シチリアの学者が息子の教育問題解決のために親せきや友人の広範なネットワークを動員した事例が挙げられている
#コミュニティとサポート
ネットワークにおける「密度」はコミュニティ、社会的支援、高い可視性の核心をなす
密度が高いほどネットワークはより結束力の高いコミュニティとみなされ、社会的支援の源となり、アイデアや情報、病気の効果的な伝達経路となる
#安全と親密さ
人間の社会的ネットワーク行動の根底にある心理学的基盤とは、「手を差し伸べる」という欲求である
信頼と安全はネットワークのインサイダーとアウトサイダーの関係性に依存する
インサイダーとの関係性
より密接で、支えあい、信頼できるものとなりがち
アウトサイダーとの関係性
より密接ではなく、構造的すきまによってもたらされる操作の余地がある
#効果性と構造的すきま
非連結な2つのノード間にある情報のギャップのこと
この隙間を埋めるブローカーは情報とコントロールの両面で競争優位性を持つことができる
#安全の欲求と社会的ネットワーク
安全の欲求を満たすうえで不可欠な要素
#効果性と社会的ネットワーク
効果性を高めるうえでも重要
#安全と、効果性への両方の欲求?
密度と構造的すきまという2つのネットワークの基本的側面は、それぞれ安全と社会的支援、そして連結されていない部分をつなぐという「動機づけの基本的欲求」に対応しているとされる
#地位や階級に動機づけられること
地位や階級を追求する動機もネットワーク形成の心理的基盤となる
#安全、エフェクタンス、地位の文化差
文化的な違いによっても影響を受ける
#動機づけと実践的ネットワーク
これらの動機づけは、個人が実際にネットワークを構築し、利用する実践的な行動と結びつく
#企業人の動機づけ
企業アクター(法人組織)はシステムとして行動する(コールマン)
その行動は組織内のアクターとイベント、そして彼らの関心と支配によって決定されると論じている
#個人のネットワークにおける認知的限界
ネットワークを管理する能力には認知的限界がある
まとめ
ネットワーキングを行うための3種類の基本的な動機付け
安全
個人の社会的環境からサポートを引き出そうとする
密度や凝集性の高いネットワークに対応する
エフェクタンス(効果性)
現在の状況や快適な環境の外部へとアウトリーチしようとする
構造的すきまを持つネットワークに対応する
安全のネットワークにおいて「信頼」はネットワーク全体に帰属するが、エフェクタンスのネットワークにおいて信頼はプレイヤーの側に帰属されやすい。
地位の追求(隣人に負けないように見栄を張る)
階層型のネットワーク構造(職業ピラミッド/社会経済的ピラミッド)に対応する
ネットワークの構造と対応するネットワークの動機づけが存在する
それは、ネットワークのプロセスと同様である
小集団のリーダーシップ形成において
安全とエフェクタンスの動機づけ
組織をマネジメントする上において
階級と地位
スモールワールド・サークル・コミュニティ
いずれも安全とエフェクタンスによって決定される
これらのほとんどすべては人々の直近のサークルにおけるネットワークサイズによって決定される
普及・拡散において
仲介・構造的すきまのメカニズムによって決定される
一方で、最も急速に普及・拡散が発生するのは密度の高いネットワーク
ネットワークそのものが動機づけを生むが、動機づけもまたネットワークを形成し、維持する役割を持つ
6章:小集団、リーダーシップ、社会的ネットワークーその基本的構成単位
イントロダクション
小集団(一次的集団)=社会的ネットワーク分析の原型
#一次的集団とインフォーマル・システムーいくつかの命題
すべてのネットワークは小規模な単位で構成されている
ここにおける「小規模な単位」とは、全員がお互いを知っており、メンバーの行動はすべての人に可視的であるものを指す
コールマンやホマンズらは小集団研究において「インフォーマル・システム」という概念を提示した
公式な組織構造とは異なる、メンバー間の自然発生的な相互作用や感情によって形成される関係性のパターンを指す
小集団における人間社会性のトライアドの分布=相互的または非相互的なダイアドの分布、中心性、全体的なネットワーク密度はほとんどの分散を説明する
#純粋なインフォーマル・システム
境界が明確なネットワークにおいて発生する
関係性は対照的になりやすく、明示的な身分や役割がほとんどない(あるいはまったく存在しない)
#インフォーマル・システムを見つけるためには
#非対称な紐帯と外部システムの影響
ロジャー・V・グールドの小集団モデル
非対称な関係性や外部システムの影響が、小集団の相互作用や感情、活動にどのように影響するかを分析する上で役立つ
非対称な紐帯とは、あるノードが別のノードに影響を与える一方で、その逆はそうではない関係性を指す
#システムを定式化する
まとめ
7章:組織とネットワーク
#権威の矛盾
マックスウェーバーの理想形としての官僚制モデルは形式的な権威システムの基礎となってきた
コールマンは官僚制モデルと理想と現実的な欠陥は「人間はリソースだけではなく関心もある」という点を無視していることにあると指摘
人は労働を疎外してリソースコントロールを放棄することもあるが、完全にそうはしない
彼らの関心は常に存在し、企業アクターによるリソースの完全な利用とは対立することが多いため、組織の産出には限界が生じる
#組織における自然発生的なネットワーク
政治正統派ほとんどの憲法で規定されていないが、多くの政治システムで自然発生的に生まれる組織の例
このような組織がなぜ出現するのかを理解することは
マクロレベルへの移行がどのように行われるのか
既存の制度的構造の欠陥
について洞察を与える
#箱の中(型通り)、箱の外(独創性)、もしくは両方
市場と企業の関係性について、そしてこれらがどのように組織内で社会的及び感情的なネットワーク構造を形成するかについて焦点を当てている
コールマンは形式的な取引が「半取引」を可能にする重要な手段であることを述べている
これにより、個人が他の個人に補償的なタスクやサービスを直接提供することなく、組織から給与や賃金を受け取ることでタスクを遂行できるようになる
#ギャップを埋める:
#ネットワークサイズ
バートはネットワークの実効サイズと効率性という概念を導入した
実効サイズ
ネットワーク内の非冗長なコンタクトの数
効率性
実効サイズを実際のコンタクト数で割った比率
効率的で効果的なネットワークは新しいコンタクトが完全に非冗長な場合に、効率性が最大になる
#多様性
#社会的結合性のトレードオフ
ネットワークサイズ、多様性、社会的結合性の間にはトレードオフが存在する
規模の大きいネットワークや多様性に富むネットワークは一般的に結束性が低い傾向にあることを示唆している
まとめ
8章:スモールワールド、サークル、コミュニティ
#あなたの知り合いは何人?
「あなたは刑務所に何人知り合いがいますか?」といった質問を通して、個人が知っている人の数の分布を推定し、社会構造に関する洞察を得ることが可能
#個人の知人数に関する非対称分布
人々が知っている人の数の分布はべき乗分布に従う=非対称な分布
#スモールワールドのモデル
高いクラスター性
短い経路長
これらの特徴を持つネットワークはスモールワールド現象を引き起こす
#社会的ネットワークにおけるクラスター化
ノードが密接にグループ化される傾向
コミュニティ・社会的支援・高い可視性の核心をなす
#社会的サークル
特定の共通の興味や活動、属性に基づいて人々が集まる非公式なグループ
社会的サークルが重なり合うことによって異なるグループ間の橋渡しが行われ、情報の流れや影響の拡散に貢献する
#スモールワールドの探索
#より小さな世界へのスモールワールド理論の適用
まとめ
9章:ネットワーク、影響、普及と拡散
#ネットワークと普及・拡散
普及と拡散(diffusion)とは、地理的な広がりを指す
伝統とは、時間を経た内部的な伝達を指す
(Kroeber, 1984, p114)
基本的な普及モデルは通常、S字型の普及曲線に従う
このS字曲線は、初期段階で採用が遅く、その後急速に広がり、最終的に飽和するパターンを示す
#影響と意思決定
個人的影響は人々の意思決定に影響を与える主要な要因の1つである
「オピニオンリーダー」や「インフルエンシャル」
特定の社会的位置を占め、情報を伝達し、他者の態度や行動に影響を与える可能性が高い人々
2段階フロー仮設
メディアからの情報がまずオピニオンリーダーに到達し、そこから彼らの影響を受けて一般の人々に伝達されると考えられている
#疫学とネットワーク上の拡散
#ティッピングポイントと閾値
ティッピングポイント
あるアイディアや行動が社会内で急速に普及し始める転換点を指す
ゆっくりとはじまり、徐々に勢いを増し、最終的にピークに達し、その後減少するという特定のパターンを指す
閾値モデル
個人が特定のイノベーションを採用するか、あるいは特定の行動に参加するかを決定する際に、周囲の他者の行動がどれだけ影響を与えるかを説明するために使用される
まとめ
10章:社会関係資本としてのネットワーク
イントロ
社会関係資本の概念の前提には、「社会的ネットワークには価値がある」(Putman, 2008)という意味が含まれている。
2つの帰結
社会関係資本への投資
より多くの社会関係資本を生み出すため
個人レベルの社会関係資本
個人のWBを増幅させる?
#個人レベルの社会関係資本
ソーシャルサポート
ネットワーク上の個人レベルの資源:ポジション・ジェネレーターとリソース・ジェネレーター
個人レベルの社会関係資本の関連要因
ネットワーク上の資源に関するその他の指標
#社会システムの属性としての社会関係資本
社会システムとしての社会関係資本の理論家たち
孤独なボウリング
社会システムレベルの社会関係資本とその帰結に関する近年の知見
まとめ
2つの前提があるが、検証されることはまれである
前提①:行為者は将来のアドバンテージを見越して、能動的に社会的ネットワークに投資する
前提②:社会的ネットワークは、行為者が自身の利益のために引き出すことができる資源を含む
個人レベル
集団レベル
11章:倫理的ジレンマ
12章:社会的ネットワークの10の基本的なアイデア