社会的ネットワークの10の基本的なアイデア
10の基本的アイデア
社会的ネットワークの理論は、人間や集団、組織、国家、アイデア、社会的ルール、あるいは社会的な実態を持つすべての社会的ユニット間の相互作用を記述し、説明し、予測することを目指している。
社会的ネットワークは物理的ネットワークとは異なる
前者はフィードバックループが生じる
社会規範や制度に影響され、社会規範や制度に反応しやすい
後者は相互作用を通じて新たに自分自身を変容させることはない
変圧器は新しい送電網を作ることはない
「複合性」(同一の社会的ユニット間で複数の関係性を持つ状態)によって特徴づけられる
人々は友人であり同僚であり上司であり部下である
これらの関係性の解釈は文脈によって異なる
伝統的権威システムの下では縁故主義=忠誠や服従を保つ規範
法律システムの下では縁故主義=規範や法律に反することもある
最も注目を集めてきた領域であり、しばしば「社会的ネットワークは単なる方法論に過ぎない」という誤解を招く原因となってきた。
ネットワークのビジュアル化や分割、仮説検定はネットワークの特徴や意味に関する理解を深めるために同時に利用される。これらの方法論は領域外の人の注目も集めてきた。そして、これらの方法論はネットワークに対する直感的な解釈と離れ、方法論としての有用性が高いがゆえに、単なる方法論としてその基盤にある概念・理論・アイデアに注意が払われてこなかった。
2つのグラフ化アプローチ(数千ものノードがネットワークにあるので手作業による配置では到底むりで恣意性だらけの配置になる)
①数学的アルゴリズムを用いてネットワークを描く
②ネットワークを分割し、意味を持った扱いやすい領域に区切る
複合性ゆえに難しさもある
が、分割されたネットワークのセグメントや要素それ自体がそれよりも巨大なネットワークに含まれるコミュニティや集団を表すことから、関心が高い
→これらの帰結として、実際の関係性と単なる偶然(チャンスレベル)によって生じる関係性との比較が、数学的モデルを用いることで可能になった。
ネットワークの原理を集合体に適用することで考えられる
結果でもありプロセスでもある
興味の中心は「何が何を生み出すのか」という因果関係の特定だった
同類性に基づく社会的ネットワークはかならずしも「よいこと」ではない
社会「システム」の原点である
16通りの組み合わせがあるが、関係性はバランスを志向するがゆえにその多くは観察されない
他の友人から嫌われている友人との関係を維持するのは難しい
様々なタイプのトライアドやダイアドの分布を予測する構造モデルは特に縦断的な予測において広く利用されるようになっている
注目すべき領域の一つらしいhiragi.icon
密度/構造的すきま、に関係する
密度:ネットワークのメンバー間における多くのつながり
安全やソーシャル・サポートに対する動機的な欲求に起源をもつ
例)家族
構造的すきま:局所的なネットワークの間の橋渡し
効果性を高めるためには人はある時点で他者に接触して、安全で快適な空間を乗り越える必要がある
閉鎖性および密度と、構造的すきまの橋渡しとの効果的なバランスについては組織研究にも深く関連する
つながりの「形式」が利益を生み出すというアイデアは非常に魅力で基ある。
ここでの「利益」は以下のようなもの
組織内で優位に立つこと
政治の舞台において優位に立つこと
「断れない提案」を誰かに行うこと
社会的ユニット(個人など)が受け取る指名の数
個人はどんなものであれ、集団が価値を置くものを自分よりも多く持つ人々とつながろうとする
一方で、安全の欲求は人々に自分よりも少しだけ価値のある他者をノミネートする傾向があることを示唆する
自分の電話に折り返し連絡してほしい
組織内での地位の安定を生み出すのは仲間からのサポートと、自分より上の地位にある相手とのかかわりのバランス
ネットワークの異なる局所間に位置し、切り替えポイントや関所としての機能をもつ地位の指標
ネットワークにおける特定の個人から他者への距離や近接性は媒介性の測定に関連する
媒介性と権力は普及や拡散の重要な要因である
弱い紐帯の強さは橋渡しと媒介性の特徴的な側面を有する
2,3ステップを介することで新たな世界へ
ネットワークの分割と地位についてのアプローチ
他者に対して類似した関係を持つ人々を集団としてまとめる
人気者グループのアプローチ
こうした「基盤を持つ人々の集まり」は社会的な「役割」とネットワーク的に等価である
教師ー生徒の関係
ブロックモデルのアプローチ
ネットワークの観察者の視点から役割を記述する
役割の中身は、その状況における他の側面から"推察される"
例)コア/周辺モデル
既存の社会学概念である役割に基づいて構築される
クリークの概念に由来するアプローチ
伝統的な社会学の考え方や常識に一致するアイデア
モジュール性の原理によるアプローチ
経験則、または「実際のつながりの数」と「同じサイズのランダムネットワークにおけるつながりの数」を比較するアルゴリズムを用いたアプローチ
両者の間で統計的に優位な差がみられなくなるまで二値分割を行う
社会システム的な視点(社会学的ともいえるか)には基づかない
結合性やモジュール性など、いずれも新しいアイデアでありアプローチである
これらの分割に伴う問題には社会学における古典的な所属の問題が反映されている
誰が実際に組織の一員なのか?
"取り巻き連中”の扱いは?
自製か購入か?
一部を製造するべきか、供給元から購入すべきか
外部経済のサポートなしでは存在できない
階層的なシステムとして分類することも可能